日本政府観光局(JNTO)は、全国のコンベンション推進機関等からの情報をもとに取り纏めた、2019年国際会議統計を発表しました。2019年に日本で 開催された国際会議の参加者総数は前年比 8.4%増の 200 万人に迫り、うち外国人参加者数は前年比 1.8%増の21.3 万人と双方とも過去最多水準を記録、開催件数は、前年比 5.5%増の 3,621 件となりました。
コロナ禍明けの将来展望を見据える上でも参考になるデータだと思い、発表数値をExcelで集計してグラフ化してみました。それでは、発表された統計データを少し深掘りしてみて行きましょう。
【出展元】
→2019 年 JNTO 国際会議統計を発表 ~参加者数は過去最多水準を記録、開催件数は 8 年連続で過去最高~
都市別 国際会議の開催件数
2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | |
東京(23区) | 557 | 574 | 608 | 645 | 561 |
神戸市 | 113 | 260 | 405 | 419 | 438 |
京都市 | 218 | 278 | 306 | 348 | 383 |
福岡市 | 363 | 383 | 296 | 293 | 313 |
横浜市 | 190 | 188 | 176 | 156 | 277 |
名古屋市 | 178 | 200 | 183 | 202 | 252 |
大阪市 | 139 | 180 | 139 | 152 | 204 |
北九州市 | – | 105 | 134 | 133 | 150 |
仙台市 | 221 | 115 | 120 | 116 | 136 |
札幌市 | 107 | 115 | 116 | 109 | 102 |
千里地区 | 94 | – | – | – | – |
ブロック別 国際会議の開催件数
ブロック | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 |
近畿 | 564 | 718 | 850 | 919 | 1025 |
関東 | 747 | 762 | 784 | 801 | 838 |
九州 | 363 | 488 | 430 | 426 | 463 |
中部 | 178 | 200 | 183 | 202 | 252 |
東北 | 221 | 115 | 120 | 116 | 136 |
北海道 | 107 | 115 | 116 | 109 | 102 |
日本の国際会議開催件数の推移
2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | |
全国際会議 | 2,159 | 1,892 | 2,337 | 2,427 | 2,590 |
中・大型国際会議 | 319 | 246 | 345 | 350 | 377 |
2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | |
全国際会議 | 2,847 | 3,112 | 3,313 | 3,433 | 3,621 |
中・大型国際会議 | 406 | 430 | 350 | 464 | 471 |
2019 年に日本で開催された国際会議の件数は、前年比 5.5%増の 3,621 件でしたが、中・大型国際会議の件数は、前年比 1.5%増の 471 件で過去最高を記録したものの、開催件数に占める割合は 1 割強でした。しかし中・大型国際会議の貢献度は非常に高く、参加者数全体の約5割、外国人参加者数では 6 割を超えるなど、訪日外客の拡大への貢献度は高くなっています。今後は件数ベースでの増加に加え、会議の大規模化を目指す必要があります。
中・大型国際会議の実例
・第 25 回 ICOM (国際博物館会議)京都大会: 参加者総数 4,590 人(うち外国人参加者数 2,724 人)
・第 17 回国際義肢装具協会世界大会(神戸): 参加者総数 4,531 人(うち外国人参加者数 1,810 人)
・第 12 回アジア制御会議(北九州): 参加者総数 1,950 人(うち外国人参加者数 1,200 人)
都市別 外国人参加者数
2019年 | 外国人参加者 | 件数 | 1回毎参加者 | |
1 | 東京(23 区) | 42,398 | 561 | 76 |
2 | 京都市 | 30,585 | 383 | 80 |
3 | 横浜市 | 27,919 | 277 | 101 |
4 | 神戸市 | 15,641 | 438 | 36 |
5 | 福岡市 | 11,590 | 313 | 37 |
6 | 大阪市 | 11,060 | 204 | 54 |
7 | 名古屋市 | 9,646 | 252 | 38 |
8 | 札幌市 | 8,218 | 102 | 81 |
9 | 北九州市 | 7,947 | 150 | 53 |
10 | 広島市 | 6,642 | BEST10外 | – |
1 位:東京 23 区(42,398 人)、は変わりませんが、2 位は京都市(30,585 人)、3 位:横浜市 (27,919 人)の結果で、件数2位の神戸市は外国人参加者数では4位、実数では2位の京都の半分程度となりました。これは神戸市が件数ベースでの実績を上げるために、比較的小規模な会議、かつ外国人参加者が少ない会議を多数勧誘した結果と思われます。
件数ベースで躍進中の神戸市への提言
最後は国際会議1回の外国人参加者数の比較です。1位:横浜市(101人)、2位:札幌市(81人)、3位:京都市(80人)、4位:東京23区(76人)、5位:大阪市(54人)の結果でした。
件数ベースで躍進著しい神戸市ですが、次の改題として浮かび上がるのは規模の拡大、中・大型国際会議をより多く勧誘する事で外国人参加者を増やす事です。その為に必要な事は、老朽化したMICE施設の刷新と国際級ホテルの勧誘でしょう。特にMICE施設の大型化は待ったなしの課題で、会議規模を拡大するためにも可及的速やかに整備を進める事が必要です。
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