神戸空港、年間700万人級を見据えターミナル機能拡張へ PBBを基本に2030年の国際線定期便に備える



神戸空港が、2030年4月を目標とする国際線定期便の就航に向け、ターミナル機能の本格拡張に入ります。

神戸市は2026年8月24日、基本計画策定支援業務の委託先候補者にジャイロス・畑設計共同体を選定し

ました。ニュースの核心は事業者の決定だけではありません。2025年4月に開業した第2ターミナルが「PBBなし・バス搭乗」だったのに対し、今回の仕様書はPBB(ボーディングブリッジ)を基本としました。国際チャーター便の早期受け入れから、国際定期便を恒常的に処理する段階への移行を象徴する変化です。(神戸市ホームページ)

基本計画策定の概要


項目 内容
委託先候補者 ジャイロス・畑設計共同体
審査結果 82.8点/100点、次点72.8点
契約上限額 3,000万円(税込)
履行期限 2026年12月28日
整備目標 2030年4月を目標とする国際線定期便への対応
主な成果 施設規模、配置・動線、概算事業費、工程、完成イメージ
次段階 条件が整えば同受託者に基本設計を随意契約で発注予定
基本設計への移行は、予算成立と見積額が市の設計予算内に収まることが条件で、契約が確約されたわけではありません。また、今回選ばれたのは基本計画をつくる事業者であり、提案された建物の形状や配置がそのまま採用されるわけでもありません。(神戸市ホームページ)

2030年は「年間700万人級」が計画の基準



神戸市は「神戸2030ビジョン」で、空港利用者数を2024年の361万人から、2030年に700万人へ引き上げるKPIを設定しています。一方、基本計画が前提とする2022年の需要予測は、国内線512万人、国際線190万人の計702万人です。
2030年の指標 国内線 国際線 合計
年間旅客需要予測 512万人 190万人 702万人
1日当たり発着回数 120回 40回 160回
国際線40回は、往復換算で20往復相当です。

ただし、700万人は市の政策目標、702万人は需要予測であり、新ターミナルの確定処理能力ではありません。今回の基本計画で、ピーク時の便数や混雑を踏まえ、必要な床面積、PBB数、手荷物搬送設備、保安検査設備などを具体化します。いわば「700万人級の需要を、施設としてどう処理するか」を決める作業です。(神戸市ホームページ)

第2ターミナルの「早期整備」から2030年仕様へ


項目 2025年・第2ターミナル 2030年対応
主目的 国内線増便、国際チャーター便の早期受け入れ 国際定期便の恒常運用
搭乗方式 バス搭乗、PBBなし PBBを基本
処理の考え方 早期供用を優先 ピーク時・同時複数便を検証
整備範囲 第2ターミナルを新設 ターミナル機能拡張と既存施設改修を検討
旅客サービス 基本機能を中心に整備 店舗・ラウンジなどを充実
将来対応 需要に応じて検討 追加拡張・設備更新に配慮
第2ターミナルは、大阪・関西万博期の需要と国際チャーター便に短期間で対応するため、設計・施工一括方式で工期短縮とコスト抑制を図った施設でした。PBBを恒久的に否定したのではなく、需要拡大に合わせて次の機能強化へ進む段階的な整備だったと読み取れます。

なぜPBBが必要になったのか

仕様書はPBB採用の理由を一文では説明していません。ただ、同時複数便への対応、旅客利便性、作業効率、ユニバーサルデザインを同時に求めていることから、PBBは単なる快適設備ではなく、国際定期便を安定処理する運用基盤と考えるのが妥当です。

バス搭乗は便数が増えるほど、車両、運転要員、地上スタッフ、エプロン内の車両動線も増えます。PBBなら待合室から機内へ直接移動でき、地上運用を簡素化しながら、雨や猛暑への対応、高齢者や子ども連れ、車いす利用者の負担軽減も図れます。

なお、PBB以外の搭乗方式が排除されたわけではありません。神戸市は質疑回答で、ランプバスとタラップを補助的な搭乗手段として計画するかは任意としています。

PBBだけでなくターミナル機能全体を再設計


分野 主な検討内容
需要・処理能力 ピーク時便数、同時複数便、必要面積、設備処理能力
建築・旅客動線 計画敷地、既存施設改修、国内・国際線のゾーニング、出発・到着動線
空港設備 PBB、手荷物搬送設備(BHS)、保安検査設備、既存設備の容量
旅客サービス 搭乗待合室、商業店舗、ラウンジ、ユニバーサルデザイン
事業計画 概算事業費、整備工程、空港を運営しながら施工する方法
防災・環境 BCP、脱炭素化、将来の機能拡張・設備更新
成果品には外観・内観各3カットのイメージパースも含まれます。2026年12月28日までに基本計画案を神戸市へ納品する予定ですが、一般への公表時期は現時点で示されていません。

700万人は「上限」ではなく、現時点の計画基準



神戸市は今回、2030年度より先の需要予測を求めておらず、国際線需要を中長期的にどこまで伸ばすかという具体的なビジョンも示していません。一方、施設には将来の追加拡張や設備更新へ対応できる柔軟性を要求しています。

したがって、年間700万人級は将来の上限でも、次の目標値でもなく、現時点で施設計画を組み立てる基準です。需要が上振れした場合にも空港を止めずに拡張できる余地と、建設費高騰下でのコスト抑制をどう両立させるかが計画の焦点になります。(神戸市ホームページ)

今回の基本計画は、神戸空港を国際チャーター便に対応する空港から、国際定期便を日常的に運用する空港へ進める次の整備段階と位置付けられます。

今後の注目点は、施設規模、PBBと国際線ゲートの数、第1・第2ターミナルとの機能分担、概算事業費、着工・供用時期です。これらが固まれば、年間700万人級を見据えた神戸空港の具体像が見えてきます。




主な出典

Visited 131 times, 131 visit(s) today