大阪府がインバウンド(訪日外国人)に一定額の負担を求める全国初の「徴収金」制度の創設を検討。観光税を使って街の魅力を高め経済的な好循環を生み出す方策を打ち出す


大阪府の吉村知事は、2024年3月6日に行われた府議会本会議で、大阪府内に宿泊する訪日外国人に一定額の負担を求める「徴収金」制度の創設を検討すると表明しました。既に導入している宿泊税とは別に徴収し、観光資源の保護やオーバーツーリズム(観光公害)対策に充てるとのことで、導入されれば全国初となり、2025年国際博覧会(大阪・関西万博)が開幕する同年4月の運用開始を目指します。

大阪府は2017年から「宿泊税」導入しており、1泊7000円以上の国内外の宿泊客を対象に100〜300円の宿泊税を課税しています。国内では、東京都や京都市、金沢市などが宿泊税を導入しています。外国人向けの徴収額は、宿泊税と同程度を想定。4月にも有識者会議を設置し、対象となる宿泊客や徴収金の額などを詰める予定です。

各国・都市に導入される「観光税(追徴金)」



外国人観光客への徴収金は、オーバーツーリズム対策などを目的に各国で導入が検討されています。追徴金は、ホテル宿泊料や公共交通の運賃に上乗せする形で徴収され、地元の観光インフラの整備や拡充の財源に充てられています。

海外の事例を見ると、アフターコロナで観光客が押し寄せた観光地が多く、観光税の導入に踏み切った場所や、すでに導入していた観光税を値上げした場所が増加しています。

観光税は各国、州や都市によって異なりますが、バルセロナ(スペイン)は2024年4月か、3.25ユーロ(約510円)、オーストリアのウィーン、ザルツブルクでは、1人あたりホテル代の3.02%の宿泊税を加算、ベルギーは1トリップあたり最大7.5ユーロ(約1,190円)程度、フランスの「セジュール税」は1泊あたり1人0.2~4ユーロ(約30円~630円)程度、アメリカのヒューストンのホテル税は宿泊代金の17%。インドネシアのバリ島は、1人1あたり5万ルピア(約1400円)となっています。

大阪市内1泊10万円のホテルでも「バーゲン価格」


日本に観光に来る外国人はアクティビティにお金を支払うのは当然だと考えています。また、最近の円安トレンドも加わり、円に対する米ドルの相対的な価値は十数年前の2倍近くになっています。

アメリカ人から見た1泊10万円の大阪のラグジュアリーホテルは、彼らにとって「5〜6万円程度」の価格でしかなく激安プライスに見えているはずです。

それに対して、現在の大阪の宿泊税、一泊100〜300円は、あまりに低過ぎます。今後は宿泊税を2倍以上に引き上げ、外国人向けの追徴金(観光税)はもっと高くすべきだと思います。追徴金やホテルの料金は円ベースではなくドルベースで考える必要があります。

観光税を使って街の魅力を高め、経済的な好循環を生み出す


大阪は、世界有数のインバウンド人気都市で、2025年には大阪・関西万博が開催され、2030年台初頭には世界最大級の総合型リゾート施設「大阪IR」が開業するなど、大阪への外国人観光客はさらに増加する事は確実です。

宿泊税と外国人向けの追徴金によって得られた収入は、オーバーツーリズム対策に加え、大阪府・市内の観光地の美装化など、街の魅力を高める施策に振り向け、さらに魅力的な観光地に磨き上げ、さらに観光客を増やし経済効果を雪だるま式に増やして行く。それが税収増加に繋がり、最終的には住民サービスに還元される。何かとネガティブ思考で捉えられがちなインバウンド需要ですが、そんな好循環につながって欲しいと思いました。


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