2021年に開催された東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京五輪)と、2025年に夢洲で開催される大阪・関西万博。いずれも日本を代表する国家的プロジェクトであり、巨額の公費が投じられることから、その是非をめぐって世論が揺れています。とりわけ近年、「大阪万博の費用は高すぎる」「復興支援を優先すべき」といった声も上がるなか、本当にそれらの主張は正当と言えるのでしょうか?
本記事では、東京五輪と大阪・関西万博の「費用」「経済効果」「国家予算への影響」などを冷静に比較・検証。特に大阪万博の“費用対効果の高さ”を、客観的データから読み解きます。都市開発ファンはもちろん、今後の国家プロジェクトの在り方を考えるすべての人に届けたい、「数字で語る」徹底分析です。
国家イベントの全体像を整理:東京五輪と大阪万博の開催体制

東京五輪は、東京都、日本オリンピック委員会(JOC)、国が出資した「東京2020組織委員会」が主催。国際オリンピック委員会(IOC)のもと、2021年7月23日から8月8日まで開催されました。パラリンピックは同年8月24日から9月5日まで実施されています。
一方、大阪・関西万博は、経済産業省、大阪府市、関西経済界が連携する「2025年日本国際博覧会協会」が主催。2025年4月13日から10月13日までの184日間、夢洲を舞台に展開される予定です。
気になる開催費用の中身を分解して比較
東京五輪の費用構造

出典:(独)日本スポーツ振興センター
負担主体 | 金額(億円) | 主な内容 |
---|---|---|
組織委員会 | 6,404 | 大会運営費、施設整備費、人件費など |
東京都 | 5,965 | 仮設施設整備、保安警備、都市整備関連費用など |
国(中央政府) | 1,869 | 会場整備支援、パラリンピック費用、セキュリティ対策等 |
補足:会計検査院の報告では、関連施策も含めた総経費は1兆6,989億円に上るとされ、国の支出3641億円にJSC(日本スポーツ振興センター)分の1,026億円を加えた試算が示されています。
大阪・関西万博の費用構造

同一基準による計算では、大阪万博の開催費用は約3,500億円。内訳は以下の通りです。国費の総額は約1647億円、地方自治体(大阪府・市)は約850億円を拠出予定であり、民間からも900~1000億円が投入される見込みです。三者分担の原則により、一方的な財政負担の偏りは避けられています。
費目 | 金額(億円) | 内容 |
会場建設費 | 2,350 | 国・大阪府市・経済界が三分の一ずつ投資 |
運営費 | 1,160 | 実施・警備・人件費。チケット収入や協賛金で財源確保 |
国の追加支援 | 647 | 日本館、途上国支援、警備など |
「高すぎる」は本当か?整備費の妥当性と象徴的デザインの評価

大阪万博の会場建設費は約2,350億円です。この金額だけを見ると高額に感じられるかもしれませんが、過去の万博と比較すれば、その妥当性は見えてきます。
たとえば、2005年の愛知万博の整備費は約1,350億円でした。これに対し、近年の建設物価上昇(約1.5倍)と大阪万博における会場規模の拡大(約1.2倍)を考慮すると、費用は比例的に増加しており、むしろ抑制的であるといえます。

特に注目されているのが、会場中央に位置する「大屋根リング(グランドリング)」です。その建設費は約350億円で、総床面積は約8万5,000㎡、高さは12〜20m。内部にはエスカレーター、エレベーター、公衆トイレなどの設備が整備されており、坪単価換算で約136万円という水準は、特殊構造物としては適正価格と評価できます。
このリングは単なる会場構造物にとどまらず、訪問者に強烈な印象を残す「記憶装置」として機能する象徴的存在です。万博全体の空間設計の中核を担い、都市の先進性と文化的独自性を国際的にアピールする戦略的なデザインでもあります。

さらに、リングに代表される木造建築の採用は、脱炭素・循環型社会を象徴するサステナビリティのメッセージとも重なります。環境意識の高まりを背景に、こうした構造物は国際的にも評価されやすく、メディア露出やインバウンド誘致にも波及効果をもたらすと期待されます。
したがって、単なる「箱モノ」として整備費を批判するのではなく、その機能性・象徴性・持続可能性を総合的に捉えることが重要です。大阪関西万博の整備費は、都市の未来像を世界に提示するための“戦略的投資”として合理性のある内容といえるでしょう。
経済効果はどれほど?費用対効果で読み解く万博の真価
投資効率の比較
指標 | 東京五輪 | 大阪関西万博 |
投資額 | 約1兆4,238億円 | 約3,500億円 |
経済効果 | 約5.2兆円 | 約2.9兆円 |
投資効率 | 約3.65倍 | 約8.29倍 |
東京五輪については、開催前の試算で全国ベースの経済波及効果が約5.2兆円と見積もられていました。しかし、無観客で開催されたことにより、観客消費が発生せず、当初期待されていた効果の多くが得られなかったと推察されます。加えて、大会後の正式な経済効果に関する検証結果は、2025年現在も公表されていません。

一方、大阪・関西万博の経済波及効果は、2024年3月に経済産業省が発表した最新推計によると、全国で約2.9兆円にのぼるとされています。そのうち約1.6兆円が大阪府域に波及し、地域経済の活性化に直結する構造となっています。さらに、国内総生産(GDP)に貢献する「付加価値額」として約1.5兆円が見込まれており、これは雇用創出や地域企業への受注拡大など、中長期的な波及効果を意味しています。単年度の一過性イベントにとどまらず、大阪万博は建設・運営・観光の三位一体の支出構造によって、広範な産業に波及しうる設計がなされており、持続的な経済刺激策としての側面がある点にも注目が集まっています。
中止で浮く予算はある?財政インパクトと復興支援の実情
区分 | 東京五輪 | 大阪万博 |
国家予算比(総費用) | 約1.3% | 約0.3% |
国家予算比(国費) | 約0.3% | 約0.15% |
能登半島地震の復興対応では、政府が2024年以降に予備費から累計8,200億円以上を充当しています。これに対し、大阪万博への国費支出は約1,647億円。財源の性質が異なるため、復興予算を圧迫するものではありません。さらに、万博関連事業の多くは既に契約済みであり、仮に中止した場合には多額の違約金や整理費が発生します。特定目的で計上された国家予算は、災害復興に自由に転用できるものではなく、実務上の障壁が存在します。

復興支援は、予備費や補正予算を活用することで柔軟に対応できる仕組みが整っており、「万博中止で復興が加速する」といった主張には、財政面でも制度面でも実効性が乏しいのが実情です。
結論:大阪・関西万博は“最小限の支出で最大の効果”をもたらす国家イベント

東京五輪が都市改造と大規模建設に重きを置いた「建設型イベント」だったのに対し、大阪・関西万博は持続可能性や社会課題解決をテーマとする「体験型イベント」として設計されています。
注目すべきは、その“コスト効率”の高さです。万博の総費用は約3,500億円と、東京五輪の約4分の1にとどまりながら、約2.9兆円の経済波及効果を生むと見込まれており、投資効率は8.29倍に達します。これは、1円の支出が8.3円の経済効果を生む計算であり、国家イベントとして極めて効率的です。

また、国家財政への影響も小さく、2024年度の一般会計予算に対する国費負担の割合は約0.15%。災害復興支出や社会保障といった他の重要政策との財源競合も起こりにくい構造となっており、「万博中止で予算が浮く」といった主張には現実的根拠が乏しいのが実情です。
さらに、建設費の内訳やデザイン面を見ても、木造の巨大リングなど象徴性ある建築物に適正なコストを投じており、来場者体験の質を高め、都市ブランドを世界に発信するツールとしての役割を担っています。

夢洲という未利用地を活用する点も注目です。インフラ整備と会場建設が一体的に進められることで、将来的には関西経済圏の拠点整備にも波及し、長期的な都市成長にも寄与する可能性を秘めています。
今後も準備の進捗や経済波及効果の実現状況を丁寧に検証していく必要はありますが、現時点で明らかなのは、大阪・関西万博が「最小限の支出で最大の効果」を目指す、極めて戦略的な国家イベントであるという事実です。
未来の国家プロジェクトの在り方を考える上でも、冷静かつ多面的な評価が求められるタイミングに来ているといえるでしょう。
出典・参考資料一覧
- 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会 最終報告書(2022年)
- 会計検査院「東京オリンピック・パラリンピック競技大会に関連する事業等の財務状況調査報告書」(2022年)
- 経済産業省「2025年日本国際博覧会 経済波及効果試算」(2024年3月発表)
- 日本総研「2025年大阪・関西万博に係る財政支出と意義」(2023年12月)
- 読売新聞・毎日新聞・NHK等の報道記事(2023年~2025年)
- 万博公式サイト(https://www.expo2025.or.jp/)
- 文部科学省・財務省・内閣府の公式発表資料
たった20日で観客もゼロの東京のオリンピックの経済効果が5.2兆円で、たっぷり半年間で2500万人の入場者が期待できる大阪万博の経済効果が2.9兆円という試算もあり得ないと思いますね
サジャさんが書かれている事で万博の邪魔をする人、それの中に万博を開催する日本国政府の中にさえいるのですから始末に負えない。
昨夏から建設を間に合わせる為に残業規制の緩和を求めたら一蹴し、2月に入ってから夜間作業を認めるデタラメさ。
だったら昨夏から夜間作業を認めろよ、という話ですが、それが万博の邪魔をしたい、という理由ならさもありなん、という他にない。
なんのことはない、単なる破壊工作な訳です。
昭和45年(1970年)の大阪万博も、大阪は東京の日本国政府との折衝がとにかく大変だったそうです。
55年経って良くなるどころか東京の日本国政府の大阪敵視政策は加速するばかり。
現総理からしてそうで万博会場を視察に来た時には万博を腐すような事を良い、開幕間近の今頃になって、責任問題を恐れたか、万博を盛り上げようとか言い出して。
その点、地元の自民は万博を盛り上げようと一生懸命なのは好感が持てますが、連立政権相手の公明党は衆議院選挙で維新にコテンパンにやられた意趣返し、江戸の仇を長崎で討つ、ではないですが、大阪府議会で維新への攻撃に終始する始末。
万博会場の整備遅れの責任は建設を所管する国土交通省にあり(何しろ諸外国では遅くても申請してから数日で出る建築許可が、未だに紙の申請で出るまで月単位、挙げ句に安全確認と称してモックアップを作らせる始末)、その国土交通省の大臣は公明党から出ている事はガン無視。もうめちゃくちゃです。
極めつけは複雑極まるチケットの購入方法で、事ここに至り、ついに諸外国の日本国への不信と怒りは爆発。欧州諸国は数カ国が共同で「やる気あんのか!!」と怒りの抗議に出る事態に。
で、矢面に立たされるのは大阪なんですから、どうかしているにも程がある。
せっかく万博の内容が明らかになり「スゲェ!!」と唸るもの目白押しなのにそれが表に出てこない。紹介しようともしない。
万博開幕一ヶ月前の「皆様の」NHKの特番は関西ローカルなのですから、どうかしています。
体制が非協力的ならば、個々で足を運び、情報発信に務めましょう。
リングについてだけ。
私も駅からしか見てないですが、あのリング、マジでデカいです。
何となく野球場くらいのイメージでしたが
大阪城二の丸くらいありますよね。
来場者が実物見出したら結構流行ると思いますよ。
分かりやすく訴求できるという意味では万博最大の見所と言ってももよいですよ。
協会や府ももっとアピールすれば良いのですけど
巨大構造物を展示することが万博の本筋ではないということでしょうか。
マップ見てもエスカレーターマークとかがあるだけなんですが
いやそこは大屋根リング出入り口として記載すべきというか、
そもそもどんなふうに案内誘導するんでしょう。
ただマジでデカいので、私も初めて見たときは
よくこの時代に民主主義国家であんなもの作れたな
と思いました。
中途半端に縮小されることもなく、
発案者のコンセプトが体現されていると思います。
こんなこと滅多にないので私としては賞賛したいのですが
まああれだけクソデカいので
価値を見いだせなければ只の無駄の塊に見えると思います。
地元でも否定的な論調が多いのは残念ですが
過去の大阪市政の経緯ですとかも踏まえ仕方ないというか
どちらにしろ公共であれだけのことをやるならちゃんと説明はつかないといけないとは思います。
その点、あとはもう実際に見てもらうのと
万博を(動員客的に)成功させるしかないと思います。
あの巨大リングの中に世界各国のパビリオンが集結するというのは
この分断の時代において非常に意義があることだと思っています。
万博と五輪でこれ程の金額差が有り、万博は半年に亘って国内外から観光客を呼べてしかも日本を世界にアピール出来るにも関わらず本気で高いと思っているとしたら、相当頭の程度が低いと思います。
分かっているんです、ただ開催地が大阪なのが気に入らないだけ。
しかもその後IRが出来ると言うのも腹立たしい展開なのでしょう。
それだけです。
韓国は長年万博を招致したかったそうですが、やはり大阪で開催してすぐには無理だった様ですね。
彼らは万博を非常にコスパの良いイベントと捉えています。
太平洋戦争後、朝鮮戦争で苦しめられ復興が遅れた韓国ですが、日本の携帯がガラパゴス的でしかないのにしっかり世界にアピール出来る製品を送り出してくるだけの事はあります。
IRもとっくに出来ていますしね。英語教育でも完璧に日本は負けました。
ずるずるとGDPも下がり、開発国だった筈なのに下請け国になりつつある。
そりゃそうです。政府自体が利権優先で地方が困窮していくのを嘲笑し、特に大阪に対して目の敵ですから、IR絡みで万博を招致したのは不本意だったのでしょう。
だから盛り上がらないし盛り上げないのが当然。
大阪が注目されるのが困る人が本当に多いんですよ。
どれだけ言おうが全国ネットで邪魔をされてはどうしようもありません。
せめて大阪人だけでもそういう雑音に惑わされない様にしましょう。