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北陸新幹線 敦賀延伸は22024年3月16日開業、所要時間は 大阪〜富山2時間35分(29分短縮)大阪〜金沢間 2時間9分(22分短縮)に!



 

JR西日本は2023年8月30日付のニュースリリースで、建設中の北陸新幹線の金沢~敦賀間を2024年3月16日に開業すると発表しました!北陸新幹線は、1997年に東京〜長野間が「長野新幹線」として部分開業、2015年に長野〜金沢間が開業。現在、金沢〜敦賀間の125kmの工事が進められており、来年3月16日に敦賀まで開業する事になりました。

各社のニュースでは、東京と福井・敦賀が結ばれる事が話題になっていますが、今回の敦賀延伸は、実は「北陸」〜「近畿」の時間短縮効果と、北陸三県が新幹線で約1時間で結ばれる事が最大のトピックスと言えます。この記事では、大手マスコミとは違った目線で北陸新幹線の敦賀延伸を考察して行きたいと思います。

【出典元】
北陸新幹線 金沢~敦賀間開業に伴う運行計画の概要について

サンダーバード等に接続する『つるぎ』を25往復運転!


まずは運転計画から見ていきます。東京から敦賀へ直通する、速達タイプの「かがやき(9往復)」と各駅停車タイプ「はくたか(5往復)」が計14往復運転されます。

関西・名古屋方面への特急サンダーバードしらさぎは「敦賀発着」になります。敦賀で「特急」に接続する「つるぎ」を、富山~敦賀18往復、金沢~敦賀7往復の計25往復運転。新たにつるぎにも、速達タイプと各駅停車タイプを設定しますが、これはちょっと「ややこしい」です。南海ラピートの様に「速達型:つるぎα」「各駅停車型:つるぎβ」に区別してほしい所ですね。※加えて、特急と接続しない「つるぎ」を朝夜時間帯に5本運転。

 

 



北陸新幹線 金沢~敦賀間開業に伴い、「サンダーバード」の敦賀~金沢・和倉温泉間 、「しらさぎ」の敦賀~金沢間、特急「おはようエクスプレス・おやすみエクスプレス」(敦賀~金沢間) 、特急「ダイナスター」(福井~金沢間)の運転が終了します。

大阪方面からの所要時間が大幅短縮!



今回の金沢〜敦賀間の開業による時間短縮効果を見ていきます。まず、東京〜福井間の所要時間は、東海道新幹線と「しらさき」を乗り継ぐ現在と比べて約36分短縮され、最短2時間51分となります。全線フル規格で繋がるので流石にインパクトがあります。

次に注目されるのが大阪〜金沢・富山間です。敦賀延伸によって、大阪~福井間 1時間44分( 3分短縮) 、金沢間 2時間 9分(22分短縮) 、富山間 2時間35分(29分短縮)となります。大阪〜金沢2時間9分はかなりのインパクトを感じます。特に富山には現在と乗り換え回数が変わらずに29分も短縮され、3時間を大きく切る事になりました。

最速達列車の到達時分 
・東京~福井間 2時間51分(36分短縮)
    敦賀間 3時間 8分(50分短縮) 

 

・大阪~福井間 1時間44分( 3分短縮)
    金沢間 2時間 9分(22分短縮)
    富山間 2時間35分(29分短縮)

 

・名古屋~福井間 1時間33分( 3分短縮)
     金沢間 2時間 9分(16分短縮)
     富山間 2時間35分(23分短縮)


冬季の定時性の大幅向上が見込まれる!

 

今回の敦賀開業によって「サンダーバード」や「しらさき」から敦賀駅で「つるぎ」への乗り換えが発生する事になります。これは大きなデメリットです。しかし、敦賀開業によるメリットは、それを上回るものがあります。

まず、前述のとおり時間短縮効果があります。大阪〜金沢:22分・富山:29分の短縮は、在来線では成し得なかったスピードアップで、乗り換えの手間を考えても大きなメリットと言えます。富山まで2時間35分は凄いです。さらに大きなメリットが「冬季の定時性の大幅向上」が見込める事です。

 

 

筆者撮影:大雪の時の今庄駅構内

次に、サンダーバードを日常的に使っている方なら身にしみて解ると思いますが、雪の季節のサンダーバードは頻繁に遅延・運休します。特に敦賀〜今庄間は豪雪地帯として有名で、大雪の時は「敦賀止まり」になる事が多いです。この、もっとも雪深い区間がフル規格の新幹線に置き換わる事で、豪雪時の定時性が大幅に向上すると予想しています。一方、湖西線の強風による米原経由に迂回運転の解消については、新大阪までの全線開業を待たねばなりません。

 

大阪・京都〜北陸〜東京を結ぶ「第二のゴールデンルート」を形成!?



敦賀開業により、北陸 対 近畿圏の所要時間が大幅に短縮、大阪〜富山間が2時間台にスピードアップする事で、大阪・京都方面からの観光客の増加が見込まれます。北陸3県の3知事は懇談会を開き関西へのPRを連携して行う方針を打ち出し、来年春に開業するJPタワー大阪の2階に、北陸の特産品の販売や観光案内を行うアンテナショップをオープンさせる予定です。

アンテナショップでは北陸の「日本酒」を軸に海外旅行者にもPRを行う予定で、インバウンド需要に湧く大阪・京都から、北陸新幹線を通じて、その熱気を北陸地方にも波及させたい、という思惑が透けて見えます。北陸新幹線の敦賀開業により、大阪・京都〜富士山(観光)〜東京のゴールデンルートに加えて、大阪・京都〜北陸〜東京という第二のゴールデンルートを形成する可能性があります。

 

北陸三県を巡る「マイクロツーリズム」が発展する可能性



 

北陸地方には、若狭湾や東尋坊の美しい風景、あわら温泉、加賀温泉、宇奈月温泉、古都金沢の街並み、五箇山の合掌造り集落、立山の雄大な山並みなど、まだまだPRしきれていない、美しい風景や温泉、文化財が目白押しです。自然観光が盛り上がるかもしれません。

北陸新幹線を利用すれば、富山の最も東にある「黒部宇奈月温泉駅」と「敦賀」が1時間半以内で結ばれます。これは革命的な変化といえ、福井・石川・富山の3県間を移動する「マイクロツーリズム」が発展する可能性があります。

 


筆者撮影:JWマリオット奈良

インバウンドを受け止めるためには、世界中から会員ネットワークを通じて送客可能な、外資系ホテルのメジャーブランド誘致が必要です。自分がマリオットやヒルトンのロイヤリティプログラムに加入して心の底から実感した事は「行きたいホテルがある所に旅行する」という行動パターンがメチャクチャ多いという事です。日本国内のホテルや事情に詳しくないインバウンド客であれば、なおさら知っているホテルブランドに泊まりたいと思います。

また、旅行者はマリオットボンヴォイのアプリや、HPCJ(ヒルトン・プレミアムクラブ・ジャパン)のサイト等から、泊まりたいホテルを常にチェックしていて、オトクなプランがあれば、そこに泊まりに行きます。「金沢に行きたい!」よりも、「ウェスティン金沢(実在しませんが)に泊まりたい!ついでに近江町市場にも行こうかな?」という行動パターンが相当数あります。

 


筆者撮影:名古屋の都心部に開業したTIAD・AUTOGRAPH COLLECTION

逆に意中のホテルが無いと旅の選択肢から外されます。現状のタブツリー富山やコートヤード福井、ハイアットセントリック金沢だけでは全く足りません。理想を言えば、ウェスティン金沢、JWマリオット金沢、シェラトン富山、インターコンチネンタル富山、ヒルトン福井、インディゴ東尋坊、位は必要になってくると思われます。

 

まとめ



北陸新幹線の敦賀延伸により、北陸対近畿圏の所要時間が大幅に短縮されます。特に大阪〜富山が2時間台になるのはインパクトが大きいです。さらに豪雪地帯がフル規格新幹線になるので、冬季の定時性向上が見込まれます。敦賀での乗り換えはデメリットですが、それを補って余りあるメリットが発生します。

北陸対近畿圏の所要時間が大幅に短縮される事により、西から北陸への送客が増えると予想されます。北陸三県は京阪神をターゲットにPRを強化する方針を打ち出しています。さらに京阪神から北陸にインバウンド客を迎え入れ、その需要を取り込みたいと考えています。

さらに北陸三県が新幹線で結ばれる事により、北陸地方を巡る「マイクロツーリズム」が発展する可能性があります。その下地として、北陸地方には、美しい風景や多くの温泉郷、文化財など、まだだ海外には知られていない観光資源が豊富で、特に「自然観光」が注目され、大阪・京都〜北陸〜東京を結ぶ第二のゴールデンルートが形成される可能性があります。ただし、インバウンド需要、特に富裕層を取り込みたいのであれば、国際メジャーブランドの外資系ホテルの誘致が必須となるため、自治体の戦略的な誘致策が重要になります。

2 COMMENTS

再都市化大ファン

関西からはデメリットばかり考えていました。
たしかに金沢までの2時間9分は素晴らしいです!JR西日本も、東京に向いてて今までより儲かるからいいやというスタンスなのかなと悲しく感じてましたが、関西からのメリットをもっとキャンペーンしてほしいと強く感じました。

よっさんdsnmb

プルルル…

「金沢発関西国際空港行きエアポートつるぎ3号、間もなく発車です」

…というアナウンスを金沢駅で聞きたかったがそれは叶いそうもない。
しかし新大阪まで延伸となれば北陸から関空へ、そこから各地へという使い方も出来よう。
一刻でも早い新大阪までの延伸の実現を。

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