IRオペレータの熱狂がすっかり冷めた日本。誰が黄金のガチョウを殺してしまったのか?


出展:横浜市>IR(統合型リゾート)

大阪府市が推進してきた大阪IRの『区域整備計画』が政府から認定され、大阪IRが実現する見通しとなりました。大阪IRは、MGMリゾートの忍耐強さによって日本における残存者利益を得られそうです。しかし、2018年頃にあれだけ日本版IRに熱狂した世界中のIRオペレータの熱はすっかり冷めてしまった様に見えます。何故そうなってしまったのでしょうか?

熱狂がすっかり冷めた


出展元:Hard Rock International

2018年にIR整備法が成立すると、日本で提供される3つのIRライセンスは業界の大きな興奮を生み、アナリストは、日本のIRが合わせて年間200億米ドルを生み出すと推定しました。2018年5月に開催されたジャパンゲーミングコングレスでは、世界各地から20社以上のオペレーターと600人以上の代表者がコンラッド東京に集まり、最新の開発状況を把握し、現地での重要なコネクションを確保し、この黄金のゲームパイの一部を獲得するための主張を展開しました。

しかし、それから5年が経ち、初期の興奮はすっかり冷めてしまいました。12以上の都府県が統合型リゾートの誘致に興味を示していたにもかかわらず、最終的に日本の中央政府に提案したのは大阪と長崎の2つだけで、20以上のオペレーターは、誘致候補者がオペレーターパートナーを選ぶ頃にはほんの一握り(大阪はMGMリゾート、長崎はカジノオーストリア)に絞られていました。

では、何が問題だったのでしょうか?誰が日本の黄金のガチョウを殺してしまったのか。

 

誰が金の卵を産む鳥を殺してしまったのか?



あれだけ熱狂した世界中のIRオペレーターが冷めて締まった原因は日本政府にあります。真のPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)であったはずの日本政府が、事業者候補に対して明らかに協力的ではありまでんでした。

最悪だった点は、税率、カジノの床面積、コストなど、ほとんどすべての運営基準が業界の意見を聞くことなく設定されため、ほとんどの事業者は、潜在的なROI(投資利益率)が魅力的な機会ではなくなってしまったと判断した事です。

またIRの誕生を妨げたのは、国や地方自治体の政府が、IRとは何か、IRが地域社会にどのような利益をもたらすのか、国民に正しく説明できなかったことです。その結果、横浜や北海道といった初期の候補地が撤退することになり、世論の反発を招きました。

さらに、事業者は地方自治体と提携した上で国に申請する必要があり、その手続き自体が複雑で、コストや時間がかかることも問題でした。日本政府の動きは『カタツムリ』と表される有様です。2022年4月に大阪と長崎が整備計画の申請上げてから開始してから1年経った今でも、政府は整備計画の可否を判断する気配すらありません。

※大阪は2023年4月14日に政府から認定されました。

 

日本は薄鈍で太った負け犬か?


日本版IRの一連の動きから言える事は、1:カタツムリの様なスピード、2:市場のニーズを無視した馬鹿な条件設定、3:世論を説得するリスクを取る勇気の無さ、のトリプルCOMBOで、失われた30年の間、たびたび繰り返されてきた負けパターンを「また繰り返した」という事です。これらの動きを見るとルールを決めている連中が『驕り高ぶっている』と感じざる得ません。今や日本は圧倒的勝者ではなく挑戦者です。認識を変える事なく、このままの状態が続けば、日本は薄鈍で太った負け犬のままです。

シンガポールでは、政府が世論を味方につけただけでなく、明確で簡潔な入札プロセスを経て、アジアで最も成功した象徴的な統合型リゾートが誕生しました。

現在、カジノ解禁に動いている「タイ」もラスベガス・サンズやウィン・リゾーツといった世界最大の統合型リゾート事業者の関心を集めています。タイは日本と同じ轍を踏まないためにも、日本を反面教師にする事になりそうです。

【出展元】
Thailand must learn from Japan’s IR mistakes