JR西日本は2025年9月11日、N700系16両編成を8両編成に短縮改造した車両について、第1編成を10月1日から営業運転に投入すると発表しました。山陽新幹線の「こだま」運用に充当され、老朽化した500系や700系を順次置き換えていきます。これにより、山陽新幹線は全列車がN700系ファミリーで統一され、事実上「全列車300km/h対応」という新時代に入ることになります。
置き換えの背景
今回の短編成化は、2024年2月に発表されていた取り組みで、山陽新幹線の安全性・快適性の向上を目的としています。従来の16両編成「のぞみ」用N700系を活用し、効率的に8両編成化することで、停車駅の多い「こだま」に適した車両を確保。新造車投入よりも低コストで世代交代を進められる狙いがあります。
車内の特徴

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座席配置
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1〜3号車・7・8号車:2+3列の普通車座席
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4〜6号車:2+2列配置(グリーン車由来の座席を転用、フットレストなど一部設備は撤去)
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バリアフリー対応
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7号車に車いすスペース4席を新設
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その他
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化粧室は奇数号車に配置、乗務員室は4号車に設置
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指定席車両にグリーン車由来のシートを導入することで、普通車でも快適性の向上が期待されます。
山陽新幹線の“静かな革命”

「こだま」のN700系化によって、山陽新幹線の車種構成は次のように整理されます。
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存続・主力
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N700S(16両)
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N700A(16両)
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N700A改(8両、今回の短編成改造車)
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置き換え対象
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500系(8両)
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700系E編成(8両、旧レールスター)
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この結果、山陽新幹線に残るのはN700系ファミリーのみとなり、すべての列車が300km/h対応車両に揃うことになります。
今後の展望

N700系統に統一されることで、以下の効果が期待されます。
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効率化:部品や整備体制の共通化により、メンテナンスコストの削減。
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運用柔軟性:編成の差替えやダイヤ調整が容易になり、輸送力調整の幅が広がる。
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安心感:利用者は“古い編成に当たる”不確実性がなくなり、常に最新水準の車両に乗れる。
一方で、独自のデザインで人気を集めた500系が姿を消すことになり、鉄道ファンにとっては惜別の時期を迎えることになります。
まとめ

「こだま」のN700系化は単なる老朽車両の置き換えにとどまりません。車両の統一によって整備・運用コストを下げ、ダイヤ編成の自由度を高め、利用者にとっては常に最新水準の快適性を提供する仕組みを築く取り組みです。山陽新幹線は今後、効率性と安心感を兼ね備えた“全列車N700系時代”へと移行していきます。
出典
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JR西日本 プレスリリース(2025年9月11日)
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鉄道コム(2025年9月11日配信)
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鉄道ニュース編集部(2025年9月11日)