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『Zacaffè(ザカフェ)』ZARAが大阪・心斎橋に日本初のカフェ併設旗艦店を出店!「ザカフェ」世界5号店、日本初進出の戦略拠点とは?


出展:ZARA(Zacaffè)

スペイン発のファッションブランド「ZARA(ザラ)」を展開するインディテックス(INDITEX)は、2025年10月末に大阪・心斎橋に新旗艦店を出店すると発表しました。日本初となるカフェ「Zacaffè(ザカフェ)」を併設し、ブランド体験を深化させる新たな拠点とします。マドリードを皮切りに展開が始まった「ザカフェ」としては世界で5店舗目であり、日本初進出となります。

マドリードで始動した「ザカフェ」

出展:https://www.consumidorglobal.com/

『Zacaffè(ザカフェ)』は、2024年秋、マドリードのメンズ旗艦店内に誕生しました。クリエイティブ・ディレクターのラムダン・トゥアミ氏が空間デザインを手掛け、イスラム建築を想起させる温かみのあるインテリアを演出しています。トゥアミ氏は「ザラにとって“ブランド・イン・ブランド”を作ることが目的であり、買い物以外の体験を提供することでブランドの価値はさらに高まる」と語り、店舗体験の拡張を戦略の中核に据えています。

中国市場での先行事例:南京「Zacaffè」

出展:ZARA(Zacaffè)

ZARAは2025年5月、中国・南京の旗艦店にも「Zacaffè」を設置しました。中国市場での初展開であり、アメリカーノやラテなどシンプルなメニューを提供し、コーヒー豆は地元ブランド「UNiUNi」を採用しています。買い物とカフェを融合させることで顧客の滞在時間を延ばし、ブランド体験を強化する狙いがあります。コーチやグッチ、ルイ・ヴィトンなどが中国でカフェを展開する動きと並び、ZARAも新たなブランド戦略の一環として注目されています。

日本初進出が「大阪・心斎橋」である理由

ZARAが日本での「ザカフェ」開業地に大阪・心斎橋を選んだ背景には、このエリアが持つ特殊な国際的ポジションがあります。

心斎橋は「アジアのショーケース」と呼べる街です。


  1. フルラインナップが揃うブランド街
    ルイ・ヴィトン、エルメス、シャネル、グッチなど欧米の主要ラグジュアリーメゾンが旗艦級の大型店舗を展開しており、欧米以外の都市では稀有な「ブランド集積地」となっています。

  2. インバウンド実需の中心
    香港やソウルが政治・経済リスクで苦戦する一方、心斎橋は中国や東南アジアからの観光客にとって必訪コースです。ショッピングと観光が直結し、実際の購買額が極めて大きいことが特徴です。

  3. 買い物・食事・観光がシームレスにつながる街
    心斎橋筋にはZARAやユニクロからラグジュアリーブランドまでが並び、誰もが歩きながら多様なブランドを体験できます。さらに戎橋や道頓堀と直結しているため、ショッピングの後に食事や観光を自然に楽しめる動線が形成されています。

  4. アジア戦略拠点としての役割
    多くのブランドが東京と並んで大阪に旗艦店を置くのは、ここがアジア市場の消費動向を測る最前線だからです。銀座が「世界に向けた発信拠点」であるならば、心斎橋は「アジアの実需を反映する舞台」といえます。

このように、心斎橋は単なるブランド街ではなく、アジアの観光・消費ダイナミズムを映し出すショーケースとなっています。ZARAにとっても、ここに日本初の「ザカフェ」を出店することは、アジア戦略を加速させる必然的な選択といえます。

広がる「カフェ・レストラン×リテール」潮流

アパレルやラグジュアリーブランドによるカフェ・レストラン展開は、いまや世界的な潮流となっています。梅田に出展したKITH(キス)大阪は、スイーツなどを提供する「KITH TREATS(キス トリーツ)」を隣接して出店。ロンハーマンもカフェを併設しており、ブランドの世界観を体験できる場として注目されています。

さらに、ラグジュアリーブランドが飲食事業を拡大する動きが加速。2020年2月にはルイ・ヴィトンが大阪・心斎橋で、世界初のカフェ「LE CAFE V(ル カフェ ヴィー)」とレストラン「SUGALABO V(スガラボ ヴィー)」を同時オープンしました。そして2024年11月には、グッチが日本初となるバー「Gucci Giardino(グッチ ジャルディーノ)」を大阪・梅田の「ハービスPLAZA ENT」に開設しています。

ZARAによる「ザ カフェ」大阪出店は、こうしたグローバルかつ国内の潮流と重なり合う動きであり、心斎橋を拠点にアジア市場を巻き込む新しいブランド体験のモデルケースとなりそうです。





出典:WWD(2024年12月24日公開記事)、日経(2025年10月7日配信記事)、中国ラグジュアリー専門媒体(2025年5月2日公開記事)、各ブランド公式リリース


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