京都府向日市の向日町競輪場敷地内に、多目的アリーナ「京都アリーナ(仮称)」の整備・運営事業が始動しました。伊藤忠商事を代表とするコンソーシアムが京都府と契約を締結し、2025年3月から設計・建設を開始予定。供用開始は2028年度内、総事業費は348億円です。
京都アリーナ計画の目的と背景

京都府には、大規模スポーツイベントやコンサートに対応できるアリーナ施設がなく、大阪や兵庫に比べて競争力が低いと指摘されていました。本事業では国際基準を満たす屋内スポーツ施設を整備し、スポーツ・文化イベントの誘致や地域活性化を目指します。
また、向日町競輪場の再整備と連携し、エリア全体のにぎわいを創出。災害時の避難所としての防災機能も備え、地域住民の安心・安全にも寄与します。
官民連携による持続可能な施設運営

本事業では、設計・建設・資金調達・運営を一括で担う「DBFO方式(Design Build Finance Operate)」を採用。民間ノウハウを活用し、長期的な施設運営と財政負担の平準化を図ります。
施設概要と利用用途

新設アリーナは、鉄骨造5階建て、延床面積29,774.56㎡。スポーツ時8,925席、コンサート時9,328席を備えます。メインアリーナは68m×48m、サブアリーナは38.7m×22.5mで国際大会基準に準拠。メインアリーナはU字型座席配置を採用し、多様な興行に対応可能。国内最大級のセンタービジョンを設置し、観戦環境の向上を図ります。
Bリーグ「京都ハンナリーズ」のホームアリーナとして活用され、スポーツ大会、コンサート、企業イベントなど多用途に対応。エントランス前にはオープンスペースを設け、地域住民の交流の場としても機能します。
また、府は周辺の道路整備を進める方針です。周辺の府道西京高槻線(物集女街道)では慢性的な渋滞や事故が多発しており、拡幅事業が進行中。御陵山崎線の整備や中山向日線の交差点改良など、アクセス向上に向けた取り組みが進められています。しかし、用地取得には時間を要しており、府はシャトルバスの導入などソフト面での対策も検討しています。
事業参画企業と今後のスケジュール

本事業には、伊藤忠商事、梓設計(設計)、大林組(建設)、電通(プロジェクトマネジメント)、ハリマビステム(維持管理)、協栄ビル管理(維持管理)、伊藤忠アーバンコミュニティ(維持管理)、シンコースポーツ(運営)、NTT・TCリース(ファイナンス)、京銀リース(ファイナンス)が参画。
2024年11月に京都府から優先交渉権者に選定、2025年3月に最終決定しました。伊藤忠商事の官民連携開発事業は、宮城県柴田町の総合体育館(2024年開業)、三重県桑名市のプール整備事業に続き3件目となります。
2025年3月着工、2028年7月竣工、同年10月開業予定。運営は3期に分かれ、第一期(2028年7月~2038年3月)、第二期(2038年4月~2048年3月)、第三期(2048年4月~2058年3月)と契約更新予定です。
「京都アリーナ(仮称)」はスポーツだけでなく、地域活性化や経済振興、多世代交流の拠点となる施設。府内唯一の国際基準アリーナとして、京都の新たなシンボルとなることが期待されます。敷地全体は五つのエリアに分けられ、広場やカフェ、緑地化を通じて地域住民の交流拠点としての機能も備えます。
計画概要
計画名称:京都アリーナ(仮称)整備・運営等事業所在地:京都府向日市寺戸町西ノ段5番地他(向日町競輪場敷地内)
交通:阪急電鉄京都本線「東向日」駅徒歩15分、JR東海道本線「向日町」駅徒歩20分
階数:地上5階
構造:鉄骨造
主用途:アリーナ施設
座席数:8,925席(スポーツ)、9,328席(コンサート)
競技面:メインアリーナ 68m×48m、サブアリーナ 38.7m×22.5m
敷地面積:56,434.88㎡(競輪場全体)、約33,146㎡(京都アリーナ)
延床面積:29,774.56㎡
代表企業:伊藤忠商事
構成企業:梓設計、大林組、電通、ハリマビステム、協栄ビル管理、伊藤忠アーバンコミュニティ、シンコースポーツ、NTT・TCリース、京銀リース
設計者:伊藤忠商事、梓設計
施工者:大林組
着工:2025年03月(予定)
竣工:2028年07月(予定)
開業:2028年10月(予定)
提案価格:348億円(施設整備費及び維持管理・運営費)