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世界の優れた建築ホテルを称える「ミシュランアーキテクチャ&デザインアワード」第1回ノミネート発表 !日本からは直島「ベネッセハウス」が選出、建築とアートの融合を世界に示す


出展:Shebara Resort

2025年8月20日、日本ミシュランタイヤは、新設アワード「ミシュランアーキテクチャ&デザインアワード」の第1回ノミネートホテルを発表しました。建築とデザインを通じて宿泊を単なる滞在ではなく「体験そのもの」として成立させる施設を対象としたこのアワードは、世界各地から5軒を選出。その中には日本を代表し、安藤忠雄建築で知られる香川県直島町の「ベネッセハウス」が含まれています。

アワード創設の狙いと意義

今回の新設アワードには、ミシュランが持つ戦略的意図が読み取れます。


  • 体験価値の重視
    現代の旅行者はホテルを「寝る場所」ではなく、旅の目的や象徴として選ぶ傾向が強まっています。建築とデザインはその体験を決定づける核心要素であり、ミシュランはそこに新たな評価軸を設けました。

  • 文化資産としての建築
    レストランガイドが食文化の国際的評価を広めたように、今度は「建築・デザイン文化」を広く浸透させたい狙い。持続可能性や地域性を重視する潮流に合致します。

  • ブランド拡張
    「料理の星」「ホテルのキー」に加え、空間体験を評価することで、旅行全体を導く存在としてのミシュランブランドを再定義。Booking.comなど利便性を競うプラットフォームとの差別化も視野にあります。

このアワードは、ホテル業界にデザイン投資や持続可能な建築への関心を促す触媒としても機能することが期待されています。

ノミネートホテル(5軒)


1. ベネッセハウス(日本・香川県直島町/設計:安藤忠雄)


出展:The MICHELIN Guide

1992年開業、世界初の「ミュージアムホテル」。直島の自然を舞台に、美術館と宿泊施設を一体化した建築は、現代美術と旅を融合させました。


  • 4棟構成(ミュージアム棟・オーバル棟・パーク棟・ビーチ棟)

  • 草間彌生、ジェームズ・タレル、ウォーホルらの作品を展示

  • 瀬戸内国際芸術祭の中心的存在で、日本のアートツーリズムを代表

2. アトランティス・ザ・ロイヤル(ドバイ/設計:Kohn Pedersen Fox)


出展:The MICHELIN Guide

2023年開業。6棟のタワーをブロック状に組み合わせた前衛的外観は、従来のホテル建築の常識を覆しました。


  • 自然換気と日陰を生み出す設計

  • 水をテーマにしたインテリア

  • 90mのインフィニティプールや巨大水族館を備えた超高層リゾート

3. シェバラ・リゾート(サウジアラビア/レッドシー・プロジェクト)


出展:The MICHELIN Guide

クロームの真珠を思わせる水上ヴィラ群がサンゴ礁に浮かぶ、環境配慮型リゾート。


  • 73棟のヴィラをオフサイト施工で環境負荷を最小化

  • LEEDプラチナ認証取得

  • サウジの「脱石油」戦略を象徴する観光施設

4. ローズウッド サンパウロ(ブラジル/設計:ジャン・ヌーヴェル)


出展:The MICHELIN Guide

歴史的建築群を再生した複合施設「シダージ・マタラッツォ」に建つ22階建て「垂直庭園タワー」。


  • 外壁に1万本以上の熱帯雨林原産樹木を植栽

  • 素材・アートすべてをブラジル産で統一

  • サステナブル建築と地域文化を同時に体現

5. ヴィラ・ナイ3.3(クロアチア/設計:ニコラ・バシッチ)


出展:The MICHELIN Guide

アドリア海の斜面を直接掘り込んで造られたエコラグジュアリーホテル。


  • 掘削石を再利用し、伝統技法「ドライストーンウォーリング」を採用

  • 8室のみのプライベート空間

  • オリーブ畑と一体化し、農業と観光を結びつける設計

受賞発表スケジュール


  • 2025年10月8日:パリ・装飾美術館で受賞ホテルを発表

  • 同時発表:「2025年版ミシュランキーホテル」

  • 関連アワード:


    • ウェルネスアワード(8月27日)

    • ローカルゲートウェイアワード(9月10日)

    • オープニング・オブ・ザ・イヤーアワード(9月24日)

まとめ

「ミシュランアーキテクチャ&デザインアワード」は、ホテルを「宿泊施設」ではなく「文化的体験の舞台」として顕彰する初の試みです。直島のベネッセハウスのノミネートは、安藤忠雄建築の評価を超えて、日本が世界に示す「アートと地域再生の成功モデル」としての意味を持ちます。
ミシュランがこの新たなアワードを創設した背景には、建築・デザインを旅行体験の核として位置付け、世界的な観光市場の価値基準をアップデートする狙いがあります。


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