堺市は、堺旧港の魅力を生かした「堺旧港交流空間創出事業」において、優先交渉権者としてまちづくり事業を手掛ける株式会社RETOWNを選定しました。今後、2025年3月に事業協定を締結し、同年8月に土地の使用を開始、2026年3月の施設開業を目指します。カフェや屋台村、バーベキュー場の整備に加え、桟橋の新設など水辺の活用を進めることで、地域のにぎわい創出と観光誘致を図ります。
事業対象地は、南海本線堺駅から西へ約500mの堺区戎島町5周辺で、「後背地A」「後背地B」「護岸」「水面」の四つのエリアに分かれています。後背地Aには2階建て延床面積1,558㎡の施設を整備し、1階を駐車場、2階をカフェや常設の屋台村として活用。後背地Bには3階建て延床面積2,310㎡の建物を建設し、1階を駐車場、2階・3階をバーベキュー場とする計画です。護岸エリアにはテラス席を備えた親水空間を整え、イベントスペースとしても活用します。また、水面エリアでは新たに桟橋を設置し、「海の駅」への登録を目指すほか、船舶の係留サービスや桟橋ステージでのイベント開催も予定しています。
事業の狙いは、地域住民が気軽に利用できる空間を整備しつつ、段階的に観光客を呼び込み、広域的な視点で堺旧港の活性化を進めることにあります。また、堺東エリアとの回遊性を向上させ、大浜北町市有地活用事業との相乗効果を生み出すことも期待されています。選定にあたっては、地域の利用を起点にした持続可能な発展の実現性や、水辺の活用による発信力の高さが評価されました。
市は今後、優先交渉権者とともに景観やデザインの具体化を進め、大阪港湾局や地元関係者との協議を重ねます。また、地域の飲食店と連携し、エリアマネジメントの仕組みを構築することで、護岸や水面エリアを活用したイベント開催など、継続的なにぎわい創出にも取り組む方針です。
土地の使用期間は30年間で、後背地Aの月額使用単価は1平方メートルあたり143円、後背地Bは147円に設定されています。市は、収益還元モデルを活用したイベント運営を推進し、堺旧港の魅力と価値を高めていく考えです。2026年の開業に向けて、今後の進捗が注目されます。