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『(仮称)難波千日前地点再開発プロジェクト』関西初ハイアット セントリックが2031年春開業、高さ128mの超高層ビルを建設へ!


2025年8月21日、関電不動産開発、南海電気鉄道、大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)の3社は、大阪・なんば駅前で推進する 「(仮称)難波千日前地点再開発プロジェクト」 の詳細を公表しました。高さ128mの複合施設を建設し、商業・オフィス・ホテルを融合させた都市拠点を2031年3月に開業する予定です。

このプロジェクトの中核となるのは、関西初進出となる「ハイアット セントリック なんば 大阪」 です。客室は267室を予定しており、レストランやルーフトップバー、フィットネスなどを備えたブティックホテルとして展開されます。

『(仮称)難波千日前地点再開発プロジェクト新築工事』地下街直結の高さ128mの複合ビルが2031年誕生。難波センタービル等跡地の再開発 現地の最新状況 25.05


キーワードは「タテなんば」


開発のテーマとして掲げられたのは「タテなんば」です。


  • Landmark:なんば広場やなんさん通りと呼応する都市シンボル

  • Alley:オモテなんばとウラなんばを縦動線で結ぶ仕組み

  • Commons:食・ファッション・エンタメなどを交差させる交流拠点

地下街「NAMBAなんなん」との接続強化や広場との一体化によって、立体的な回遊性の向上が意図されています。


商・働・泊を一体化する都市の縮図


  • 商業施設(B2〜3階):広場や地下街と接続し、買い物や飲食を楽しめる空間に。

  • オフィス(4〜13階):基準階380坪と大規模で、分割やコワーキングにも対応可能。

  • ホテル(15〜28階):ハイアット セントリック なんば 大阪。宿泊以外にラウンジやバーも整備。

駅前に「商・働・泊」をまとめた都市の縮図を描く構成になっています。


ハイアットの大阪戦略にとっての転機

 

〈参考〉ハイアット セントリック 金沢

ハイアットはかつて咲洲で「ハイアットリージェンシー大阪」を運営していましたが、2023年7月に閉館しました。これにより一時的に大阪からハイアット系ホテルは姿を消しました。

2024年には「キャプション by Hyatt なんば 大阪」を開業しましたが、低価格帯ブランドであったためラグジュアリー領域での存在感は限定的でした。

ただ同年7月には、日本ハイアットの坂村政彦副社長が 「今後10年間で大阪に8施設を展開し、東京並みにする」 と発言し、方針転換を示しました。背景には、2030年秋の大阪IR開業や、大阪における高級ホテル供給不足があります。


「大阪はガラパゴス」。文化理解をめぐる課題


〈参考〉ハイアット セントリック 銀座 東京

坂村氏が「大阪はガラパゴス」と表現した発言には、大阪の独自性を強調する一方で、どこかステレオタイプな理解がにじむ印象もあります。B級グルメやコテコテ文化といった東京目線のイメージだけで戦略を描けば、期待を外す可能性もあります。

一方で、マリオットやヒルトン、IHGは大阪の文化や歴史的文脈を読み解き、ホテルの空間やサービスに反映してきました。ハイアットも同様に、大阪ならではの魅力をどう解釈し表現するかが注目されます。


南海・大阪メトロ・関電が目指すもの


 

この再開発は、関電不動産開発・南海電鉄・大阪メトロの3社が連携して進めるものです。それぞれの思惑も垣間見えます。


  • 南海電鉄:空港アクセスを担う立場から、訪日客の最初の滞在・消費を難波で完結させる狙い。

  • 大阪メトロ:NAMBAなんなんとの接続拡幅により、地下と地上の人の流れを一体化し、利用者の滞在時間を延ばす意図。

  • 関電不動産開発:オフィス・商業・ホテルを組み合わせ、多層的な収益モデルを築くとともに、ホテル運営をグループ内で担う仕組み。

「タテなんば」というコンセプトは、単なるキャッチフレーズではなく、駅前・地下街・再開発ビルを一体で活用する都市収益モデルという側面を持っています。


IR開業と連動する“時差戦略”


  • 2030年秋:大阪IR開業 → インバウンド・MICE需要が増大

  • 2031年春:難波再開発開業 → 需要を半年遅れで取り込む

開業時期が絶妙に重ならないことで、IR効果を最大限に享受できるのではないかとみられます。


まとめ:難波が描く未来像


難波千日前地点再開発は、


  • 都市再開発:立体回遊を再設計する「タテなんば」

  • 外資ホテル戦略:ハイアット復帰の象徴案件

  • IR効果:需要を取り込む“時差戦略”

という複数の要素が重なり合うプロジェクトです。

ハイアットが大阪の文化をどのように解釈し、世界水準のホテル体験へと昇華できるのか。冷淡から積極へと転じた動きが、都市再開発と重なり合い、難波の未来像を形づくっていくことになります。


プロジェクト概要

計画名称:(仮称)難波千日前地点再開発プロジェクト新築工事
所在地:大阪市中央区難波千日前6番3、6番4、6番8、9番5、9番9(地番)
階数:地上28階、地下2階
高さ:128m
構造:鉄骨造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造
杭・基礎:―
主用途:ホテル、物販店舗、飲食店、事務所
客室数:267室(ハイアット セントリック なんば 大阪)
敷地面積:3,053.35㎡
建築面積:2,240.50㎡
延床面積:49,617.94㎡(容積対象面積46,486.35㎡)
建築主:関電不動産開発、南海電気鉄道、大阪市高速電気軌道
設計者:株式会社IAO竹田設計
施工者:未定
着工:2027年03月01日(予定)
竣工:2031年03月31日(予定)

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