韓国・仁川空港鉄道「AREX」の新型2000系(AREX Class 2000 EMU)に乗車!最高150km/h対応、一般列車を全面刷新した最新鋭車両


出展:https://www.hyundai-rotem.co.kr/

韓国・仁川国際空港とソウル中心部を結ぶ仁川国際空港鉄道(空港鉄道)。先日、仁川空港からの移動で乗車した一般列車は、従来車を改造したリニューアル車ではなく、2025年に営業運転を開始した新造車(AREX Class 2000 EMUでた。

形式上は従来の一般列車と同じ2000号台電動車(2000系)に属しますが、最高150km/h対応、4M2T化、プラグドア、480mm幅の座席など、車両設計はほぼ全面刷新。実質的には「2000系のフルモデルチェンジ車」といえる存在です。


項目 内容
最高運転速度 150km/h
加速度 3.0km/h/s
編成構成 4M2T・6両編成
集電装置 高速走行対応のシングルアームパンタグラフ
保守システム CBM(状態基準保全)によるスマートメンテナンス
座席 座席幅を従来比44mm(約10%)拡大し、480mm
空気清浄機 微細粉塵を低減し、車内空気質を改善
空調・衛生設備 可変風量制御式空調と紫外線殺菌装置を導入
ドア プラグドアを採用し、高速走行時の騒音を低減
ドア案内LED 開く側のドアをLEDで表示
案内表示器 到着駅と開扉方向を表示
荷物棚 大型荷物を収納可能なラゲッジスペースを設置
車両間通路 内装一体型の貫通路とし、デザイン性と開放感を向上

仁川国際空港鉄道とは?

仁川国際空港鉄道(Incheon International Airport Railroad)は、ソウル駅と仁川国際空港第2ターミナル駅を結ぶ空港アクセス鉄道です。

2007年3月に金浦空港~仁川国際空港間が開業し、2010年12月にはソウル駅まで延伸。2018年には仁川国際空港第2ターミナルまで路線を伸ばしました。現在は全長63.8km、14駅を結ぶ複線電化路線となっています。軌間は1,435mmの標準軌です。

この鉄道は単純な「空港専用アクセス線」ではなく、空港アクセスを担う都市近郊鉄道として機能しています。沿線には弘大入口、デジタルメディアシティ、金浦空港、桂陽、黔岩、青羅国際都市などがあり、空港利用者だけでなくソウル~仁川間の都市鉄道・通勤路線としても重要な役割を担っています。


項目 仁川国際空港鉄道
区間 ソウル駅~仁川空港第2ターミナル駅
営業距離 63.8km
駅数 14駅
開業 2007年3月23日
ソウル駅延伸 2010年12月29日
第2ターミナル延伸 2018年
軌間 1,435mm
運営 空港鉄道株式会社

メモ:南海難波駅〜関西空港駅間は42.8km、特急「ラピート」で36分程度、大阪駅〜関西空港駅間は57km、特急「はるか」で47分なので、関空は特別に都心から遠い国際空港ではありません。今後は、なにわ筋線の開業により、さらなる利便性の向上が見込まれます。

「AREX」とは? 直通列車と一般列車の2本立て

空港鉄道は海外旅行者向けにAREX(Airport Railroad Express)の名称で広く案内されています。

運行体系は大きく、直通列車(Express Train)一般列車(All Stop Train)の2種類です。一般列車は14駅すべてに停車する一方、直通列車はソウル駅、仁川空港第1ターミナル、第2ターミナルを結びます。

日本の感覚でいえば、直通列車はJR西日本「はるか」や南海「ラピート」に近く、一般列車は空港アクセスと都市圏輸送を兼ねるJR関空快速や南海空港急行に近い存在です。


直通列車 一般列車
英語表記 Express Train All Stop Train
使用車両 1000号台 2000号台
座席 指定席・クロスシート ロングシート
停車駅 ソウル・空港T1・T2 全14駅
ソウル~T1 約43分 約59分
ソウル~T2 約51分 約66分
主用途 空港アクセス 空港+都市鉄道

新型車両は「2000号台」4次導入車


今回撮影したのが、その最新型です!

この車両は、一般列車用の空港鉄道2000号台電動車(AREX Class 2000 EMU)に分類される4次導入車で、製造は韓国最大の鉄道車両メーカー、現代ロテム(Hyundai Rotem)が担当しました。空港鉄道の公式資料では、形式名よりも主に「新規電動車」と呼ばれています。

空港鉄道は2022年1月、現代ロテムと9編成54両、総事業費1,810億ウォンの製造契約を締結。223~231編成の9編成が新造され、2025年9月に第1編成が営業運転を開始しました。その後、同年12月29日までに全9編成54両の投入が完了しています。これにより、一般列車の保有編成数は従来の22編成から31編成へ約41%増加しました。


項目 新型2000号台
製造 現代ロテム
導入 2025年
導入数 9編成54両
編成 6両・4M2T
対応最高速度 150km/h
加速度 3.0km/h/s
座席幅 480mm
ドア プラグドア
集電装置 高速型シングルアーム
保守 CBM(状態基準保全)

従来車とは別物。最高150km/h対応の「準高速電車」


新型車の最大の特徴は、単なる増備車にとどまらず、将来のAREX高速化を見据えて設計されている点す。従来型が3M3Tだったのに対し、新型では4M2Tとして動力性能を強化し、最高150km/hでの走行に対応しています。

ただし、2026年現在、AREX全線で150km/h運転が行われているわけではありません。まず車両側を高速運転に対応させ、今後、信号設備や橋梁、軌道、架線などのインフラ側も順次改良していく計画です。

空港鉄道が2022年に公表した構想では、高速化の完成後、ソウル駅~仁川空港第2ターミナル間の所要時間を、直通列車で37分、一般列車でも49分まで短縮することを目指しています。


ただし、2026年現在、AREX全線で150km/h運転が行われているわけではありません。まず車両側を高速運転に対応させ、今後、信号設備や橋梁、軌道、架線などのインフラ側も順次改良していく計画です。

空港鉄道が2022年に公表した構想では、高速化の完成後、ソウル駅~仁川空港第2ターミナル間の所要時間を、直通列車で37分、一般列車でも49分まで短縮することを目指しています。

 


今回、大きなハプニングに見舞われ、急きょ一人で仁川発の深夜便を利用することになりました。フライトまで6時間もあったため、さすがに空港だけでは時間を持て余してしまい、AREXの乗客が少なくなる時間帯を狙って撮影へ。22時半ごろに乗車すると、読み通り車内はなんと僕一人でした。「これはチャンス!」とばかりに、誰にも気兼ねすることなく車内を撮影しまくりました。

車内は従来の2000系とは雰囲気が大きく異なります。特に目を引くのが座席。従来より44mm、約10%広い480mmまで座席幅を拡大。その代わり座席数を6人掛けに減らし、1人あたりのスペースを広げました。

 


シートモケットに飛行機の柄が描かれてていました。シートは布が貼られていますが、クッション性がないカチカチのシートです。


シートの一部は優先席として色分けされていました。


ガラス製の袖仕切りを採用し、車内に開放感を持たせています。日本の近年の鉄道車両にも通じるデザインですね。


乗降ドアー付近の様子です。高速走行時の騒音を低減するプラグドアを採用しています。


旅客案内装置には大型のウルトラワイド液晶モニターを採用。表示内容はやや分かりにくく、もう一段のブラッシュアップが必要だと感じました。



めちゃくちゃ良いなと思ったのが、ドアの開閉方向を示す案内LEDです。駅に到着する前から全ドアの左右のLEDが点灯し始めるので、直感的に降車方向を把握できます。これは日本の鉄道車両にも採用してほしいですね。



天井付近の様子です。風量を自動調整する空調システムに加え、空気清浄機と紫外線殺菌装置を導入。防犯カメラも複数台設置されていました。


吊り革をアップで見た様子です。


車両間通路。内装一体型の貫通路とし、デザイン性と開放感を向上させています。


大型荷物を収納可能なラゲッジスペースを設置。

 


優先座席付近の様子です。

 

今回、新型AREXに実際に乗ってみると、内装、走行機器、客室設備、車体デザインまで含め、世代が一つ変わった車両だと感じました。韓国の鉄道車両も、どんどん洗練されている印象です。

そして、これと競わなければならないのがJRの関空快速と南海の空港急行。なにわ筋線の開業も控えていますが、車両そのものの魅力という点でも負けてはいられません。エライコッチャです(笑)

まとめ


AREXは、仁川国際空港とソウル中心部を結ぶ空港アクセス鉄道である一方、沿線では通勤・通学需要も担っています。空港アクセスと都市圏輸送を兼ねる路線というのが、実際に乗ってみて感じた大きな特徴でした。

新型車導入の背景には、仁川空港の利用者増だけでなく、沿線人口の増加や通勤需要の拡大もあります。空港鉄道は2019年から増備の必要性を検討し、2025年末までに新型2000系9編成を投入。平日の列車運行回数は364回から421回へ57回、約16%増加しました。

その結果、2026年1月の朝ラッシュ時における月平均最大混雑率は、従来の約150%から108%まで低下。ピーク時間帯の運転間隔も最短3分台まで短縮されています。

今回の新型2000系は、仁川空港へのアクセス改善だけでなく、ソウル~仁川都市圏の輸送力を支える通勤車両としての役割も担っています。

さらに、この車両は最高150km/h運転に対応しています。現在は一般列車として各駅に停車していますが、将来的には路線側の設備改良と合わせて高速化が進められる計画です。

日本で例えるなら、つくばエクスプレスのような高速都市鉄道に、空港アクセス機能を組み合わせた路線に近いイメージでしょうか。仁川国際空港はソウル中心部から約60km離れており、その距離を将来的な高速運転で縮めようとしていることが分かります。

実際に乗ってみると、AREXは単なる空港アクセス鉄道というより、空港輸送と都市圏輸送を一本の路線で両立させながら、さらに高速化を目指している鉄道という印象でした。仁川国際空港とソウルを結ぶ交通インフラが、今後どのように進化していくのかも気になるところです。






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