トップティアの世界都市を見学するシリーズ。今回は、香港を代表する観光アクティビティ「ピークトラム」を取り上げます。
ピークトラムの魅力は、単に山頂へ行けることだけではありません。都心から入りやすく、移動時間は短く、乗っている時間にも面白さがあり、最後には香港を象徴する景観へつながる。この一連の流れが無理なくまとまっているところに、この施設の強さがあります。
まず強いのは、都心からの近さ

都心側の乗り場は、セントラルの33 Garden Roadにあります。中環(セントラル)や、金鐘 (アドミラルティ)周辺の街歩きの延長で立ち寄りやすく、観光の流れを大きく崩さずに、そのまま香港を代表する観光地へ入っていけます。
山頂観光と聞くと、少し遠出の印象を持つ人もいると思いますが、ピークトラムは、その感覚とは少し違います。香港島の中心部にいる状態から、そのまま非日常へ入っていける。観光地そのものの魅力に加えて、そこへ行くまでの心理的な距離が短いことも、この施設の大きな魅力です。
次に来るのは、やはり行列

ピークトラムは超有名なアクティビティなので、やはり混雑します。とくに夕方は相応に人が多く、時間帯によっては並ぶ前提でいたほうが安心です。一方、日中は比較的流れやすく、私が利用した時は30分程度の待ち時間で乗れました。
待機エリアの壁面や天井にLED演出が入り、環境映像が流れていました。派手すぎる演出ではありませんが、並ぶ時間のストレスを和らげるには十分です。

待機列は「優先レーン」「チケット保有者」「チケット購入者」の3系統に分かれており、私は当日にKlookで購入して保有者レーンに並びました。
トラムは2編成が交互に運行しており、1本到着するたびに列がまとまって前へ進みます。そのため、待機列が長く見えても、トラムが到着するごとに一気に進み、少し待ってまた進む、という流れを繰り返しました。
いよいよ乗る。ここから体験が立ち上がる

いよいよトラムに乗車します!2両編成ですが、1両あたりの車体はかなり長く、最大210人の乗客を運ぶことができます。以前の車両(120人乗り)と比べると、輸送力は約75%増加しており、混雑緩和が図られています。
シートは木製の固定席です。帰りはシートと逆向きに進むため、USJのハリドリのバックドロップのような感覚になりました(笑)
急勾配をぐんぐん上がっていきます。予想以上の傾斜に驚きました。途中では、高層ビルや街並みが斜めに見える独特の感覚があり、否応なく気分が上がってきます!
実際に乗ってみると、車窓がずっと絶景というわけではありません。見える景色の中心はマンション群と森で、そこは少し意外でした。天窓がなければ、いまどのあたりを走っているのか、少しわかりにくかったかもしれません・・。
どんどん進んでいき、進行方向右手に大きくカーブしたあと……。おおっ、ついに香港の街並みが見えてきました!
頂上に着くと、受け皿はかなりしっかりしている

山頂に到着!まず驚いたのは、展望施設「The Peak Tower」の立派さです。日本の耐震基準では成立しにくそうな、かなり大胆な形状の建物で、強いインパクトがありました。
The Peak Tower 自体への入館は無料で、レストラン、ショップ、一部施設は利用できます。香港最高所の展望台「Sky Terrace 428」は有料となっています。
施設の受け皿は、かなり整っており、レストラン、お土産店、写真館など、観光地として必要な機能はひと通りそろっています。一方で、トイレの数はやや少なく、混雑時には少し気になるかもしれません。
そして最後に、香港を代表する景観が待っている!

そして!こちらが!!
Sky Terrace 428からの眺めです!!!
香港の超高層ビル群とビクトリア・ハーバーを一望する、素晴らしい景観。写真や映像で見慣れた風景ではありますが、実際に目の前で見ると、やはり感動しました。
立ち並ぶ建物の多くが超高層ビルで、巨大都市の人口密度を極限まで高めるとこうなるのか、と実感。これほど高密度な都市空間の中で、日常の生活が成立していることにも驚かされます。
体験したあとで見えてくる、この施設の完成度

ここまでの流れを振り返ると、ピークトラムの魅力はかなりわかりやすいです。都心から入りやすく、乗車前の待ち行列はありますが、乗車中には独特の傾斜体験があり、頂上では香港を象徴する景観へつながる。都心・移動・景観がひとつの流れとして一体化していることが、この施設の本当の強さです。
これは、香港という都市の強さとも重なります。香港は観光資源そのものが有名なだけでなく、都市機能が高密度かつコンパクトに集まり、それぞれの魅力を短時間でつなげられる都市構造を持っています。都心にいながら、そのまま山頂体験へ自然に入っていけるピークトラムは、そのわかりやすい例だと思います。古い名物ではなく、現役の観光インフラ

ピークトラムが面白いのは、単なる歴史遺産にとどまっていないことです。1888年開業という長い歴史を持ちながら、近年は大規模な改修が行われ、新型車両の導入や駅空間の刷新、処理能力の向上が進められました。古いものをただ保存しているのではなく、いまの観光需要に合わせて使いやすく更新している点に、この施設の強さがあります。
新型車両と駅空間が、体験全体を底上げ

2022年には第6世代車両が導入されました。車両は新しく、清潔感があり、乗降性や視界の良さも改善されています。しかも更新は車両だけでなく、牽引設備、制御・信号、ロープ、レール、基礎、ターミナル施設まで含む大規模な内容でした。

第6世代車両は「modern classic」という考え方でまとめられ、車体色には Peak Tram Green が採用されています。歴史的なアイコン性を残しながら現代仕様へ引き上げる姿勢が明確です。製造はスイスの Garaventa、CWA、Frey が担いました。

機能面の変化も大きく、定員は旧型の120人から210人へ増加しました。さらに、ドア幅の拡大、段差の少ない乗降、大きなパノラマウインドウが導入され、乗りやすさ、使いやすさ、見やすさも改善されています。輸送力を高めながら、観光体験の質も引き上げる更新になっています。

駅の改修も、このプロジェクトの重要な柱でした。とくに Central Terminus は、空調の効いた待機空間を備えた大規模なターミナルへ進化し、収容力も高まりました。プラットホームと車両床面を揃えることで、段差の少ない乗降も実現しています。館内には複数の体験ゾーンが設けられ、待機エリアにも演出が施されています。移動、待機、到着、その先の滞在までを一連の体験としてまとめている点が、この施設の完成度の高さにつながっています。
結局、ピークトラムは香港の完成度を体感する装置

ピークトラムの魅力は、景色の良さだけでは終わりませんでした。
都心からのアクセス、乗車中の体験、山頂での眺望までがひとつの流れとしてまとまっており、香港観光の完成度の高さを実感しやすいアクティビティです。初めて香港を訪れる人にとっては王道の体験ですし、すでに訪れたことがある人でも、その完成度をあらためて見直せる施設でした。
都心から近い。
短時間で着く。
移動そのものも面白い。
最後に景観が圧倒的。
出典
The Peak Hong Kong「The Peak Tram History」
The Peak Hong Kong「The Peak Tram Upgrade Project」
The Peak Hong Kong「Location」
Hong Kong Tourism Board「The Peak Tram」
The Peak Hong Kong 公式サイトトップページ






