高さ555mから見渡し、16km先から振り返る。ロッテワールドタワーと「SEOUL SKY」で体感した巨大都市ソウル



先日からご紹介している、トップティアの世界都市を見学するシリーズ:ソウル編。今回は、世界第6位の高さを誇るロッテワールドタワーをご紹介します。

ソウル東南部の蚕室(チャムシル)にそびえるロッテワールドタワーは、高さ555m、地上123階を誇る韓国最高層の超高層ビルです。

今回はその足元から建物を見学し、最上部の展望施設「SEOUL SKY(ソウルスカイ)」へ。約500m上空からソウルを一望した後、宿泊先の汝矣島(ヨイド)にあるコンラッド・ソウルへ戻りました。そこから東を見ると、直線距離で約16km離れたロッテワールドタワーが遠くにそびえています。

蚕室で見上げ、ソウルスカイから俯瞰し、最後は汝矣島から振り返る。今回の見学で強く印象に残ったのは、555mのタワーそのものの巨大さ以上に、その両者を包み込むソウルという都市のスケールでした。

 

ロッテワールドタワーは、ソウル特別市松坡区の蚕室駅に直結する超高層複合ビルです。隣接するロッテワールドモールと一体で整備され、オフィス、住宅、ホテル、商業、文化、観光など、多彩な都市機能が集積しています。



設計を手掛けたのは、世界各地で超高層建築の実績を持つKohn Pedersen Fox(KPF)です。上層部に向かって緩やかに絞り込まれるシルエットは、韓国の陶磁器などに見られる優美な曲線を意識したもの。足元から見上げると、高さ555mの巨大建築でありながら圧迫感は意外に少なく、空へ向かってすっと伸びていくような印象を受けます。
項目 概要
所在地 ソウル特別市松坡区オリンピック路300
高さ 555m
階数 地下6階・地上123階
竣工 2017年2月
開業 2017年4月3日
事業主体 LOTTE Property & Development
設計 Kohn Pedersen Fox(KPF)
主な用途 オフィス・住宅・ホテル・展望施設
展望施設 SEOUL SKY:117~123階

主な用途
117~123階 SEOUL SKY
108~114階 プレミアムオフィス「PREMIER7」
76~101階 SIGNIEL SEOUL
42~71階 SIGNIEL RESIDENCES
14~38階 PRIME OFFICE
5~12階 金融・医療・文化などの低層機能

ロッテワールドタワーは、低層部に都市との接点となる商業・サービス機能、その上にオフィス、レジデンス、ホテル、最上部に一般向けの展望施設を配置しています。ロッテワールドモールまで含めれば、買い物、仕事、居住、宿泊、観光が一つの巨大複合体の中で完結します。

まさに、街を垂直方向へ積み上げた「垂直都市」です。

完成まで約30年、航空安全と向き合った555m

現在ではソウルを代表するランドマークとなったロッテワールドタワーですが、実現までには約30年を要しました。ロッテが蚕室の事業用地を取得したのは1987年。その後、超高層化を目指しましたが、近隣のソウル空港(城南基地)の飛行経路と重なることから、航空安全をめぐる調整が長期化します。

2007年には高さを203m以下とする判断が示され、555m構想はいったん大きく後退しました。しかし、飛行経路や安全設備の見直しを含む協議が重ねられ、2009年に超高層建設が容認されます。翌2010年には地上123階の建築許可を取得し、2017年4月にグランドオープンを迎えました。

1987年の用地取得から開業まで、実に約30年。現在の端正なシルエットの背後には、航空安全や都市計画をめぐる長期の調整が積み重なっています。

約1分で117階へ、「SEOUL SKY」に上る

ロッテワールドタワー見学のハイライトが、117~123階に広がるSEOUL SKYです。展望エリアは地上約500m。地下階のエントランスから、超高速エレベーター「Sky Shuttle」で一気に上昇します。

エレベーター内部では壁面や天井に映像が展開され、移動そのものが一つの演出になっています。地下から約1分で超高層階へ到着すると、目の前にソウルの街が一気に開けます。


フロア 主な施設
B2階 SKY PLATFORM
B1階 韓国文化を紹介する展示空間
117階 Sky Show
118階 Sky Deck・Sky Theater
120階 Sky Terrace
121階 Sky Mapping Show
123階 123 Lounge
 


今回訪れた際、ソウルスカイでは「スパイダーマン」とのコラボイベントが開催されていました。


展望台の待機列を収納するウェイティングスポットの様子です。平日だったのでガラガラでした。

地上478m、足元まで都市が透ける「Sky Deck」


18階にあるSky Deckは、SEOUL SKYを象徴するスポット。地上約478mに設けられた透明なガラス床に立つと、足元のはるか下に道路や建物が見えます。高層ビルさえ模型のように小さく、車は点にしか見えません。

ここまで高度が上がると、「展望台から街を見る」というより、航空機から都市全体を上空から観察している感覚に近づきます。

さらに上の120階には外気を感じられるSky Terrace、123階には景色を眺めながら飲食できる123 Loungeがあります。通常の展望フロアより上では、高さ541mの屋外ブリッジを歩くSky Bridge Tourも実施されています。

約478mのガラス床、約500mの展望空間、541mの屋外体験。SEOUL SKYは高度を段階的にコンテンツ化し、タワー最上部を一つの立体的な観光施設として成立させています。

約500mから見ても、市街地が終わらない


ソウルスカイからの眺望で最も印象に残ったのは、個々のランドマークよりも、市街地の密度と広がりでした。

眼下には蚕室の高層住宅群とロッテワールドの施設群。その先を漢江が横切り、対岸には江南のオフィス街やマンション群が連なります。さらに遠方にも別の高層市街地が続き、約500mの高さまで上がっても都市の端は簡単には見えてきません。

ソウルは、山地と漢江によって街が大きく区切られる一方、その間を埋めるように高密度の市街地が形成されています。旧都心、汝矣島、龍山、江南、三成、蚕室など、性格の異なる都市核が広域に分散しているためです。

一つの中心から同心円状に広がるというより、複数の巨大な拠点が、連続する市街地の中に浮かび上がる都市。ソウルスカイからは、その多核的な構造がよく分かります

蚕室から汝矣島へ、約16kmを移動する


見学後は、宿泊先のコンラッド・ソウルがある汝矣島へ戻りました。汝矣島は韓国取引所や金融機関、大企業が集積するソウル有数のビジネス街です。

蚕室のロッテワールドタワーから汝矣島までは、直線で約15.6km。大阪なら、梅田から堺市中心部~中百舌鳥付近に相当する距離です。

コンラッド・ソウルの客室から東を見ると、その遠方にロッテワールドタワーが確認できました。昼間は約500m上空のソウルスカイから街を見下ろし、その数時間後には、今度は自分がいたタワーを遠くから眺めています。

「昨夜は、あの上にいたのか・・」

汝矣島と蚕室という二つの巨大な都市核がこれだけ離れながら、その間も高密度な市街地が連続しています。実際に両者を移動し、双方から街を眺めたことで、ソウルの都市圏としてのスケールが強く実感できました。

555mの高さから見えた、ソウルの本当の大きさ



ロッテワールドタワーは、高さ555m、地上123階というだけでも十分に圧倒的です。しかし実際に現地を歩き、SEOUL SKYから街を見渡し、さらに汝矣島からタワーを振り返ると、強く印象に残ったのは建物そのものよりも、ソウルという都市の広がりでした。

約500m上空から見ても市街地は途切れず、約16km離れた汝矣島にも大規模な高層ビル群が形成されています。蚕室から汝矣島までの距離は、大阪でいえば梅田から堺市付近に相当します。

その間にも住宅地、業務地区、商業拠点が連続して広がる。ロッテワールドタワーは韓国最高層のランドマークであると同時に、巨大都市ソウルのスケールを実感できる格好の観測点でした。




出典

  • LOTTE Property & Development「LOTTE WORLD TOWER」
  • LOTTE「LOTTE Property & Development」
  • Kohn Pedersen Fox「Lotte World Tower」
  • SEOUL SKY 公式サイト
  • SEOUL SKY「Sky Bridge Tour」
  • Hilton「Conrad Seoul」
  • ソウル特別市「蚕室スポーツ・MICE複合空間造成事業」
  • 聯合ニュース「第2ロッテワールド建設・航空安全問題」

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