
神戸市は、東灘区魚崎南町の市立東灘体育館について、隣接する魚崎南町公園と瀬戸保育所を含めた再整備基本計画案をまとめました。体育館の規模を拡大するとともに、街区内の施設配置を見直し、スポーツ、憩い、子育ての機能を一体的に整備する計画です。
2026年9月15日付の市会経済港湾委員会資料で示されたもので、現在は設計に先立つ「基本計画案」の段階です。今後、市民意見募集を経て計画を取りまとめ、設計・整備に向けた手続きを進めます。建物の配置や各室の面積などは、今後の検討で調整されます。
建設から50年以上、老朽化と高い利用需要に対応

東灘体育館は、阪神青木駅と魚崎駅の間、阪神電鉄と国道43号に挟まれた街区に位置します。1975年12月の竣工から50年以上が経過し、2013年度に耐震補強工事を実施したものの、建物や設備の老朽化が進んでいます。
一方、利用需要は高く、計画案によると競技場と体育室の利用率は時間帯を問わず90%以上です。2025年度の利用者アンケートでは、東灘区内在住者が約9割、60歳以上が約5割を占め、地域住民の日常的な運動・健康づくりを支えています。
既存施設では、競技スペースの狭さから複数の活動を同時に受け入れにくいほか、器具庫や待機・交流スペースの不足も課題です。再整備では、老朽化への対応に加え、こうした利用上の制約を改善します。
延床面積を約2倍に拡大、競技場と付帯機能を充実

新体育館ではメインアリーナを拡張し、多目的室やトレーニング室、利用を支える諸室も整備します。主要施設の規模は次の通りです。
| 項目 | 現施設 | 新施設案 |
|---|---|---|
| 延床面積 | 1,499㎡ | 約3,000㎡ |
| 競技場・メインアリーナ | 540㎡ | 約1,000㎡ |
| 体育室・サブアリーナ | 216㎡ | 約230㎡ |
| トレーニング室 | 72㎡ | 約100㎡ |
メインアリーナは、バスケットボールコート2面、または家庭バレーボール・バドミントンコート6面を確保し、天井高は12m以上を想定しています。サブアリーナは卓球、軽運動、武道などに対応する多目的室とし、活動規模に応じて分割できる可動間仕切りを検討します。
平面計画案では、広さと天井高が必要なメインアリーナを2階に配置。1階に多目的室やトレーニング室を置き、公園に面してエントランスや休憩・交流スペースを設けます。キッズスペースや授乳室は入口付近に配置し、保育所への送迎時にも利用しやすい構成を想定しています。
保育所を先行移転し、現体育館を使いながら新館を建設

新体育館の計画地は、現体育館の東側にある保育所用地と公園の一部を合わせた約2,400㎡です。新保育所を街区南東側へ移し、現在の体育館跡を新たな公園に転換する配置を想定しています。
整備では、まず新保育所を建設し、移転後に既存保育所を解体して新体育館の建設用地を確保します。既存体育館を残したまま新館を建設し、供用開始後に旧館を解体する工程です。一方、現在の公園は、新保育所の整備に先立って撤去する計画となっています。
市が掲げる全体コンセプトは「開かれた緑のスポーツパーク」です。工程図では、公園面積は現状の約2,400㎡から約1,800㎡となる想定ですが、体育館との間に休憩・交流空間を設け、公園利用者も立ち寄れる構成にします。歩行者と車両の出入口を分けるなど、安全面にも配慮する方針です。
概算36億円は3施設の整備費、体育館分は約30億円

計画案に示された概算事業費は、体育館、公園、保育所の整備・解体費を合わせた金額です。体育館単体の建設費が36億円という意味ではありません。
| 整備内容 | 概算事業費・税込 |
|---|---|
| 体育館の新築・既存体育館の解体 | 約30億円 |
| 公園整備・既存施設の撤去 | 約1億円 |
| 保育所の新築・既存保育所の解体 | 約5億円 |
| 合計 | 約36億円 |
全館空調と省エネを両立、防災機能も更新
設備面では全館冷暖房を計画し、メインアリーナのように天井が高い空間では、人が活動する範囲を効率的に空調する方式を検討します。環境性能はZEB Oriented相当以上を目標とし、断熱性能の向上や高効率設備の導入により、快適性とエネルギー消費の抑制を両立させる方針です。太陽光発電、屋上などの緑化、一部木造化や地域産木材の活用も盛り込んでいます。また、災害時の避難所機能を引き継ぎ、防災備蓄倉庫や支援物資の搬入経路を整備します。停電・断水時にも必要な機能を維持できるよう、非常用電源や給排水設備の確保を検討します。
ただし、計画地は洪水・津波の浸水想定区域に含まれます。新体育館は洪水・津波時の屋内緊急避難場所には位置付けず、引き続き阪神電鉄北側の魚崎小学校へ避難する方針です。
市民意見募集から設計へ、公園整備まで段階的に実施

基本計画案に示された今後の工程は、次の通りです。新体育館の整備に先立ち、公園の都市計画変更や保育所の移転を進めます。
| 時期 | 主な動き |
|---|---|
| 2026年9月 | 基本計画案を提示/現在の段階 |
| 2026年9月18日~10月19日 | 市民意見募集 |
| 2026年11~12月頃 | 意見への回答・基本計画の公表 |
| 2027~2028年度 | 公園の都市計画変更・現公園の撤去 |
| 2028年度~ | 新体育館の設計、新保育所の整備 |
| 2030年度頃 | 新保育所の供用開始・既存保育所の解体 |
| 2030年度~ | 新体育館の建設 |
| 2032年度頃 | 新体育館の供用開始。その後、旧館を解体 |
| 2033~2034年度頃 | 新公園の整備・供用開始 |
新体育館の開館後も、旧館の解体と公園整備が続くため、体育館の供用開始と街区全体の整備完了は別の節目になります。今回の基本計画案により、施設を順次移転しながら更新する道筋が示されました。今後は市民意見を踏まえて計画を取りまとめ、設計段階で建物や屋外空間の具体的な形を詰めていくことになります。
出典
・神戸市「東灘体育館再整備基本計画策定について」2026年9月15日・経済港湾委員会資料
資料を見る(神戸市・PDF)
・神戸市「東灘体育館再整備基本計画(案)」
2026年9月・市民意見募集資料
基本計画案を見る(神戸市・PDF)
・神戸市「令和8年度予算説明書 文化スポーツ局」
東灘体育館の魚崎地区での建て替えに向けた基本計画策定を掲載
予算説明書を見る(神戸市・PDF)
※施設規模、事業費、配置、スケジュール等は基本計画案段階の内容を含み、今後の設計・事業進捗により変更される可能性があります。
Visited 3,679 times, 3,679 visit(s) today

