
JR西日本が公表した2025年度の駅別利用状況を見ると、鉄道利用はコロナ禍から大きく回復する一方、駅ごとの回復度合いにはかなり大きな差が生まれています。
2025年度の1日平均乗車人員は大阪駅が38万5,501人で首位。京都駅、天王寺駅、三ノ宮駅、京橋駅が続きました。
JR西日本が公表しているのは「1日平均乗車人員」のため、本記事では他の鉄道事業者とも比較しやすいよう、1日平均乗車人員×2=推計乗降客数としてランキング化しました。
比較するのは、2025年度(最新)→2022年度(コロナ禍からの回復期)→2019年度(コロナ前)の3時点です。2025年度の上位50駅を固定し、同じ駅について過去の利用状況を比較します。
数値はJR西日本の公式資料「データで見るJR西日本2026」「同2023」「同2020」を基本とし、それぞれの年度で上位50駅外だった駅についても、JR西日本の公式「移動等円滑化取組報告書」で補完しています。
JR西日本・駅別「推計乗降客数」ランキング TOP50
単位:人/日| 順位 | 駅名 | 2025年度 | 2022年度 | 2019年度 | 22→25 | 19→25 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 大阪 | 771,002 | 694,156 | 845,370 | +11.1% | -8.8% |
| 2 | 京都 | 348,506 | 298,812 | 390,164 | +16.6% | -10.7% |
| 3 | 天王寺 | 272,844 | 255,496 | 292,326 | +6.8% | -6.7% |
| 4 | 三ノ宮 | 243,574 | 219,532 | 250,268 | +11.0% | -2.7% |
| 5 | 京橋 | 237,930 | 218,388 | 262,740 | +8.9% | -9.4% |
| 6 | 鶴橋 | 179,216 | 168,208 | 195,904 | +6.5% | -8.5% |
| 7 | 広島 | 166,012 | 126,430 | 154,084 | +31.3% | +7.7% |
| 8 | 新大阪 | 159,164 | 122,308 | 138,178 | +30.1% | +15.2% |
| 9 | 岡山 | 141,272 | 119,262 | 138,650 | +18.5% | +1.9% |
| 10 | 新今宮 | 131,562 | 115,498 | 132,576 | +13.9% | -0.8% |
| 11 | 高槻 | 118,980 | 112,320 | 129,758 | +5.9% | -8.3% |
| 12 | 姫路 | 103,398 | 91,574 | 103,526 | +12.9% | -0.1% |
| 13 | 神戸 | 100,158 | 107,126 | 145,034 | -6.5% | -30.9% |
| 14 | 明石 | 95,252 | 91,148 | 106,972 | +4.5% | -11.0% |
| 15 | 尼崎 | 91,250 | 83,442 | 91,854 | +9.4% | -0.7% |
| 16 | 弁天町 | 90,746 | 62,602 | 68,978 | +45.0% | +31.6% |
| 17 | 茨木 | 90,464 | 83,164 | 96,486 | +8.8% | -6.2% |
| 18 | 北新地 | 86,328 | 81,108 | 100,794 | +6.4% | -14.4% |
| 19 | ユニバーサルシティ | 71,660 | 61,230 | 59,992 | +17.0% | +19.4% |
| 20 | 西九条 | 69,480 | 59,362 | 62,352 | +17.0% | +11.4% |
| 21 | 山科 | 68,376 | 61,726 | 69,926 | +10.8% | -2.2% |
| 22 | 住吉 | 67,058 | 63,078 | 71,224 | +6.3% | -5.8% |
| 23 | 元町 | 63,248 | 60,216 | 71,864 | +5.0% | -12.0% |
| 24 | 草津 | 61,296 | 54,892 | 59,138 | +11.7% | +3.6% |
| 25 | 西明石 | 60,942 | 57,096 | 64,098 | +6.7% | -4.9% |
| 26 | 垂水 | 57,494 | 54,624 | 63,896 | +5.3% | -10.0% |
| 27 | 福島 | 56,946 | 52,108 | 60,212 | +9.3% | -5.4% |
| 28 | 住道 | 55,662 | 54,224 | 61,998 | +2.7% | -10.2% |
| 29 | 南草津 | 55,342 | 50,766 | 60,886 | +9.0% | -9.1% |
| 30 | 天満 | 53,600 | 45,372 | 52,754 | +18.1% | +1.6% |
| 31 | 森ノ宮 | 51,930 | 43,116 | 49,924 | +20.4% | +4.0% |
| 32 | 六甲道 | 50,734 | 48,082 | 52,882 | +5.5% | -4.1% |
| 33 | 博多 | 50,730 | 38,640 | 45,482 | +31.3% | +11.5% |
| 34 | 大正 | 49,952 | 44,988 | 50,714 | +11.0% | -1.5% |
| 35 | 大阪天満宮 | 49,212 | 44,028 | 50,442 | +11.8% | -2.4% |
| 36 | 芦屋 | 48,306 | 47,334 | 54,270 | +2.1% | -11.0% |
| 37 | 伊丹 | 47,600 | 44,272 | 50,094 | +7.5% | -5.0% |
| 38 | 立花 | 47,266 | 43,826 | 49,982 | +7.8% | -5.4% |
| 39 | 吹田 | 47,154 | 41,884 | 45,792 | +12.6% | +3.0% |
| 40 | 三国ケ丘 | 47,006 | 44,728 | 48,454 | +5.1% | -3.0% |
| 41 | 加古川 | 45,770 | 42,766 | 47,978 | +7.0% | -4.6% |
| 42 | 宝塚 | 44,824 | 45,832 | 59,420 | -2.2% | -24.6% |
| 43 | 王寺 | 43,788 | 41,972 | 48,152 | +4.3% | -9.1% |
| 44 | 新長田 | 43,186 | 40,306 | 43,434 | +7.1% | -0.6% |
| 45 | 石山 | 42,622 | 39,880 | 48,206 | +6.9% | -11.6% |
| 46 | 岸辺 | 41,690 | 37,578 | 37,852 | +10.9% | +10.1% |
| 47 | 福山 | 41,330 | 34,908 | 42,374 | +18.4% | -2.5% |
| 48 | 兵庫 | 40,932 | 39,530 | 44,666 | +3.5% | -8.4% |
| 49 | 桜島 | 40,878 | 26,144 | 27,788 | +56.4% | +47.1% |
| 50 | 千里丘 | 40,482 | 37,026 | 40,594 | +9.3% | -0.3% |
※新大阪、博多など複数の鉄道事業者が乗り入れる駅についても、ここで扱うのはJR西日本分のみです。
※本表は2025年度の上位50駅を固定し、同じ50駅について2022年度・2019年度を比較したものです。各年度それぞれの上位50駅を並べたものではありません。
上位50駅合計は約508万人/日、コロナ前の95.2%まで回復
個別駅だけでなく、2025年度の上位50駅を固定して合計すると、JR西日本主要駅の回復度合いがより明確になります。| 年度 | 上位50駅・推計乗降客数合計 | 2019年度比 | 2019年度=100 |
|---|---|---|---|
| 2025年度 | 5,084,154人/日 | -4.8% | 95.2 |
| 2022年度 | 4,552,108人/日 | -14.8% | 85.2 |
| 2019年度 | 5,340,502人/日 | ― | 100.0 |
2022年度はコロナ前の2019年度比で14.8%減でしたが、2025年度には4.8%減まで回復しました。2022年度から2025年度までの3年間では、1日あたり53万2,046人増、11.7%増。一方、2019年度との差はなお25万6,348人/日残っています。
主要50駅全体ではコロナ前の95.2%まで戻りました。ただし、その回復を構成する駅は2019年度と同じではありません。2025年度が2019年度を上回ったのは50駅中13駅。一方、2022年度比では48駅が増加しており、回復そのものはほぼ全体に広がっています。
大阪駅は77.1万人で首位、それでもコロナ前比8.8%減

大阪駅の2025年度推計乗降客数は77万1,002人/日。2位の京都駅34万8,506人の2倍を超え、JR西日本最大の駅という構図は変わっていません。ただし、2019年度の84万5,370人と比べると8.8%減です。
京都駅も10.7%減、京橋駅9.4%減、高槻駅8.3%減、北新地駅14.4%減。大都市圏の日常的な通勤・通学需要を大量に処理する駅では、コロナ前まで戻っていないケースが目立ちます。
ここで興味深いのは、上位50駅全体では95.2%まで回復しているにもかかわらず、大阪や京都といった最大級の駅はその水準を下回っていることです。現在の回復を牽引しているのは、必ずしも従来型の巨大通勤ターミナルだけではありません。
新大阪+15.2%、広島+7.7% 広域移動拠点はコロナ前超え

2019年度を上回った駅を見ると、もう一つの特徴が浮かびます。新大阪駅は15.2%増、博多駅11.5%増、広島駅7.7%増、岡山駅1.9%増。新幹線ネットワークの主要拠点はいずれもコロナ前を上回りました。JR西日本は2025年度の利用状況について、万博・インバウンドに加え、国内レジャーやビジネス需要の増加を挙げています。
一方、大阪、京都、京橋、北新地など通勤需要の比重が大きい駅はコロナ前未満です。この差からは、コロナ禍後の鉄道需要が単純に元へ戻ったのではなく、通勤・通学と、観光・出張・広域移動とで回復の速度が異なっていることがうかがえます。
弁天町+31.6%、桜島+47.1% 万博アクセス需要が大きく押し上げ

2025年度の特殊要因として外せないのが、大阪・関西万博です。桜島駅は2019年度比47.1%増、弁天町駅は31.6%増。ユニバーサルシティ駅も19.4%増、西九条駅も11.4%増となりました。特に桜島駅は2022年度比では56.4%増。2025年度上位50駅で最大の伸び率です。
JR西日本は万博アクセスとして桜島線とシャトルバスを組み合わせたルートを設定し、桜島駅に臨時出場口を整備。弁天町駅でもOsaka Metro中央線との乗り換え利便性を高める駅改良が実施されました。
2025年度は、通常の利用回復に加えて、万博という大規模イベントが大阪ベイエリアの駅利用を大きく押し上げた年度と見ることができます。
ただし、大阪・関西万博は2025年10月13日に閉幕しました。そのため2026年度は、弁天町や桜島などで万博による上乗せ分が剥落する可能性があります。どこまで通常需要として残るのかは、次年度のランキングを見るうえで大きなポイントになります。
2019年度を上回る大阪都市圏の駅も

大阪駅そのものは2019年度比8.8%減ですが、すべての大阪都市圏の駅がコロナ前を下回っているわけではありません。新大阪駅は15.2%増、森ノ宮駅4.0%増、吹田駅3.0%増、天満駅1.6%増。万博関連では弁天町、西九条、ユニバーサルシティ、桜島も大きく伸びました。このため、大阪駅の数字だけを見て「大阪の鉄道需要がコロナ前に戻っていない」と単純化することはできません。
観光、イベント、新幹線利用、都市開発など、駅ごとに異なる目的で人流が回復・拡大していることが、今回のランキングから見えてきます。
草津・吹田・岸辺はコロナ前を上回る

観光地や広域交通拠点とは異なる動きを示しているのが、草津駅、吹田駅、岸辺駅などです。2019年度比では草津駅が3.6%増、吹田駅3.0%増、岸辺駅10.1%増となりました。いずれも大阪・関西万博の直接的なアクセス駅でも、新幹線ターミナルでもありません。
増加要因は駅によって異なるため、今回の利用者数だけで原因を断定することはできませんが、住宅開発、人口動態、周辺への都市機能集積など、駅勢圏の構造変化との関連をさらに確認したくなる数字です。
岸辺駅周辺では「健都」を中心とした都市開発が進んでおり、こうした駅については一時的な需要増とは異なる視点で推移を見る必要があります。
神戸駅と宝塚駅は2022年度からも減少

反対に、今回の50駅で特に目を引くのが神戸駅と宝塚駅です。神戸駅は2025年度でも2022年度比6.5%減、2019年度比では30.9%減。宝塚駅も2022年度比2.2%減、2019年度比24.6%減となっています。2025年度上位50駅のうち、2022年度を下回ったのはこの2駅だけです。
50駅中48駅が2022年度から増加する中で逆方向に動いており、単純な「コロナ禍からの回復が遅れている」という説明だけでは捉えきれません。駅勢圏、周辺施設、競合路線、沿線人口、他駅への利用分散など、個別に背景を確認する必要がある駅といえそうです。
コロナ前を超えたのは50駅中13駅

2025年度上位50駅のうち、2019年度を上回ったのは13駅で、広島、新大阪、岡山、弁天町、ユニバーサルシティ、西九条、草津、天満、森ノ宮、博多、吹田、岸辺、桜島が該当します。
ここで重要なのは、「全体がコロナ前へ戻った結果として13駅が上回った」のではないことです。新幹線・広域移動、インバウンド、万博、都市開発など、2019年度とは異なる需要を強く取り込んだ駅が上位に並んでいます。
一方、大阪、京都、京橋、高槻など従来から大量の通勤需要を担ってきた駅では、依然として2019年度を下回っています。
鉄道利用は「回復」から「構造変化」を見る段階へ

2025年度の上位50駅合計は、2019年度の95.2%まで回復しました。数字だけを見れば、「ほぼコロナ前へ戻った」と言える水準です。
しかし駅ごとに分解すると、その中身は2019年度とはかなり異なります。大阪・京都などの巨大ターミナルはコロナ前未満。一方、新大阪・広島・博多などの広域交通拠点、弁天町・桜島など万博アクセス駅、一部の近郊駅ではコロナ前を上回りました。鉄道利用全体は回復していますが、利用者が増えている場所と、戻り切っていない場所は明確に分かれ始めています。
これから駅別利用者数を見るうえでは、単に「コロナ前の何%まで戻ったか」だけではなく、その駅を利用する理由が2019年度からどう変わったのかを見る必要があります。
特に2025年度は大阪・関西万博という大きな特殊要因を含んでいます。2026年度は万博需要が剥落するため、イベント効果を除いた基礎的な鉄道需要がより見えやすくなるはずです。
今回のランキングは、JR西日本の駅利用が「コロナからの回復」を追う段階から、駅ごとの成長・縮小要因を見極める段階へ移ったことを示す基準点になりそうです。
出典
- JR西日本「データで見るJR西日本2026」2025年度 1日平均乗車人員・上位50駅
- JR西日本「データで見るJR西日本2023」2022年度 1日平均乗車人員・上位50駅
- JR西日本「データで見るJR西日本2020」2019年度 1日平均乗車人員・上位50駅
- JR西日本「2022年度 移動等円滑化取組報告書」福山駅・桜島駅
- JR西日本「2019年度 移動等円滑化取組報告書」岸辺駅・千里丘駅・桜島駅
- JR西日本「大阪・関西万博関連プロジェクト」
- JR西日本 2026年3月期決算関連資料
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