
大阪市交通局は、地下鉄御堂筋線に来年秋頃導入する30000系車両において、車内デザインを一新するとともに、時間帯による調光・調色照明や快適な座り心地を追求した座席、空気浄化装置など、更なる快適性向上をめざした新装置を搭載すると発表しました。30000系車両は、谷町線を皮切りに2011年度から御堂筋線に導入されている最新形式で、今回のマイナーチェンジでは“車内空間の快適性向上”という新たなテーマで改良が加えられる事になりました。
【室内デザインの一新】
都会的なイメージの中に、未来に向けて新たな風を盛り込んだデザイン。
○ 全体的に白色系の明るい配色とし、調光・調色照明の効果をアップ
○ 各扉(乗降口の扉)はブロック調デザインとし、全体的にクールな色調とすることで都会的なイメージを演出
○ 袖仕切(座席端部)、座席、妻引戸(貫通扉)には流線型デザインを採用し、新たな流れを表現
○ 床には“イチョウ”デザインを取り入れ、御堂筋のイチョウ並木を表現
【女性専用車両の改良】
女性職員へのアンケート及び女性のお客さまからの意見をもとに、女性が利用しやすい女性専用車両を設計。
○ 一般車との配色を変えることで女性専用車両であることをわかりやすく
○ 荷だなの高さを一般車よりも100mm低くし、使いやすく
○ 吊り手の配置及び高さを見直し、握り棒を増設

【車内案内表示装置の大画面化】
次駅や行先などを表示する車内案内表示器が2画面化されます。2画面が一体で機能して行先や次駅などを表示できるとともに、動画広告や天気予報などの表示も可能な、新たな情報発信ツールとなります。大阪で外国人観光客が激増している事から、より多くの情報を提供出来るモニター装置はもはや必須アイテムと言えそうです。

【新たな車内照明の開発】
サーカディアンリズムにならった車内照明の制御に加え、幸せを感じるとも言われているさくら色を加えました。(車内照明にさくら色を加えるのは国内初)サーカディアンリズムとは概日(がいじつ)リズムともいい、生物に備わる昼と夜を作り出す1日のリズムのことです。LED照明の特徴を活かして、時間帯によって車内照明を変化させる新機軸の取り組みですね。
・癒し・目にやさしい(光によるストレス感が少ない)・集中しやすいなどの効果が検証されている「さくら色(ソメイヨシノ)」を導入
・鉄道車両用の新色「さくら色(しだれ桜)」を開発
・調光・調色式LEDによる間接照明で、季節・時間帯にあわせた車内空間を提供
午前:電球色 ⇒ 白色 ⇒ 昼白色
午後:昼白色 ⇒ しだれ桜 ⇒ ソメイヨシノ ⇒ 電球色

【空気浄化装置(プラズマクラスター)の採用】
通勤車両では国内初となる空気浄化装置(プラズマクラスター装置)を車内に配備。この装置は、御堂筋線の既存車両で試験採用のデータをもとに、鉄道車両用に新規開発したプラズマクラスター搭載の空気浄化装置です。試験採用品では春夏などに使用する客室送風機の風を利用したものでしたが、装置内部にファンを搭載したオールシーズンタイプへ改良。都会的な車内イメージと調和する流線型デザインとなっています。ただ、1日の利用者数が日本一多い地下鉄路線である御堂筋線でどの程度の効果があるのかは未知数ですね・・・

【ロングシートの改革】
快適な座り心地を追求した新幹線グリーン車と同等のシートでのロングシートを開発したそうです。いったいどの辺りが新幹線のグリーン車と同等なのかは、発表内容からは不明ですが、従来よりは座り心地の良いシートになりそうです。
・御堂筋線の特徴を考慮し、10~30分の着座で快適性が維持できる形状
・クッション性を向上した低反発素材の導入
・1席毎に分割したロングシート構成により、隣席からの揺れを軽減
・座面だけでなく背ずりもバケット構造とし、座席区分を明確化
・座面・背ずりのデザイン(配色)を変更し、背ずりを明るくすることで車内イメージを明るく

【足元照明の採用】
通勤車両で初めて、座席下をやさしく照らす「足元照明」を採用しました。この足元照明は、暗い箇所(=影)を無くすことが安心感につながるという知見に基づいた取組みです。これは、かなり斬新ですね。どんなイメージの車内になるのか?興味深々です。

