京都駅徒歩10分、旧安寧小学校跡地6,058㎡の活用へ市場調査!閉校から30年、市はオフィス・研究開発施設に期待



京都市は2026年10月1日、京都市下京区の旧安寧小学校跡地(敷地面積6,058㎡)について、民間活用に向けたサウンディング型市場調査を開始しました。

現在は事業化前の市場調査段階で、開発事業者・施設用途・建築計画は未決定です。 京都市は2027年1月まで民間提案を募集し、同年3月まで個別対話を実施。調査結果を踏まえて正式な公募条件などを検討します。

計画地は京都駅から徒歩約10分、リーガロイヤルホテル京都の北隣に位置する好立地です。1996年の閉校から約30年間、地域活動などの暫定利用が続き、敷地全体の本格的な再開発には至っていません。

今回、京都市はオフィスや研究開発施設・ラボなどの導入に強い関心と期待を表明しました。京都駅周辺では大規模オフィスの供給が限られており、長年本格活用されてこなかった市有地の動向が注目されます。

京都市はオフィス・研究開発施設の導入に期待

京都市は今回、民間事業者に対して施設の活用コンセプトや導入機能、事業計画、地域との共生策などを幅広く募集しています。

一般向けの発表本文では具体的な用途を限定していませんが、実施要領や京都府宅地建物取引業協会向け通知では、オフィス、研究開発・ラボ機能の導入を特に期待する方針が明記されています。

背景にあるのが、京都市中心部におけるオフィス供給の制約です。

CBREの2026年4~6月期レポートによると、京都のオフィス空室率は前期の2.8%から2.5%に低下しました。景観規制や開発用地の不足から大規模な新規供給は限定的で、京都駅前や四条烏丸の優良物件には強い需要が続いています。

こうした市場環境のもと、京都駅徒歩圏に約0.6haのまとまった敷地が存在する意義は小さくありません。新幹線による広域アクセスに優れ、大阪・滋賀方面への移動にも便利な立地は、企業の本社・支社機能や研究開発拠点との親和性があります。

京都市は市内南部で「京都サウスベクトル」を推進していますが、今回の跡地は京都駅の北西側で業務機能を拡充できる貴重な開発用地です。

旧安寧小学校跡地の概要



計画地は京都駅の北西約700m、堀川通沿いに位置します。敷地内には1957~1980年に建設された校舎や体育館が残っています。
項目 内容
施設名称 元安寧小学校
所在地 京都市下京区御方紺屋町1番1
交通 京都駅から徒歩約10分
敷地面積 6,058㎡
北校舎 地上4階・延床2,251㎡
南校舎 地上2階・延床434㎡
体育館 地上1階・延床495㎡
既存建物延床合計 3,180㎡
用途地域 商業地域
建ぺい率/容積率 80%/600%
高度地区 31m第1種高度地区
景観規制 沿道型・市街地型美観形成地区など
土地所有者 京都市
現在の段階 サウンディング型市場調査
京都市の学校跡地活用制度では、原則として敷地全体を長期貸付し、既存建物を事業者へ譲渡する方式を基本としています。契約期間は10年以上80年以内ですが、今回の具体的な条件は未定です。

商業地域で容積率600%という指定がある一方、高さ31mの制限や景観規制、埋蔵文化財調査の必要性など、建築計画には複数の条件があります。敷地の規模だけでなく、これらの制約を踏まえた事業採算性が重要になります。

閉校から30年、文化庁移転候補にもなった京都駅近くの一等地


出展:GoogleMAP

安寧小学校は1869年に創設された歴史を持ち、1996年3月に閉校しました。その後は消防出張所の仮庁舎、地域活動、文化・スポーツ活動などに利用されてきましたが、長期的な土地活用は実現していません。

2010年3月公表の京都市包括外部監査報告書では、元安寧小学校の参考土地評価額が22億9,144万円だったのに対し、施設使用料などの年間収入は9万円でした。監査人は、市中心部の学校跡地が暫定利用にとどまる状況を問題視し、立地に見合った有効活用を求めています。
時期 主な経緯
1996年3月 安寧小学校が閉校
2008~2010年 五条消防出張所の仮庁舎として利用
2010年 包括外部監査で学校跡地の有効活用を指摘
2012年 「下京・町衆倶楽部」の活動拠点を開設
2016年12月 文化庁の京都移転先候補に選出
2017年7月 移転先が旧京都府警察本部本館に決定
2024~2025年 地元アンケート・跡地活用ワークショップ
2026年9月1日 安寧自治連合会が要望書を提出
2026年10月1日 京都市が市場調査を開始
2016年には、文化庁の京都移転先候補として元安寧小学校の一部を建て替える案も検討されました。しかし、翌2017年に移転先が旧京都府警察本部本館に決まり、この構想は実現しませんでした。

京都駅近くのまとまった市有地でありながら、閉校から約30年間、本格的な都市開発が実現していないことは、この土地の活用を考える上で重要な背景です。

地元は防災・スポーツ機能の維持とスーパー導入を要望



一方、今後の事業化では地域機能との両立が重要になります。

安寧自治連合会が2026年9月1日に提出した要望書によると、地元は学校跡地を現在のまま地域活動拠点として利用し続けることを基本的に希望しています。ただし、施設の老朽化や京都市の財政事情も踏まえ、民間活用を行う場合には自治活動・文化スポーツ・防災の3機能を維持するよう求めています。

要望書では、さらに具体的な生活環境上の課題も示されました。
分野 地元の主な要望
自治・交流 会議室など地域活動スペースの確保
スポーツ 体育館・グラウンド機能の維持
防災 避難所、備蓄庫、消防器具庫などの確保
生活利便 スーパーなど日用品・食料品を購入できる施設の導入
宿泊施設 地域活動への支援に消極的なホテル・ゲストハウスには反対
その他 地域の歴史資料の保管、祭礼・地域行事への協力
地域では2023年7月にスーパー「エビスク七条店」が撤退し、日常の買い物に不便を感じる高齢者が増えているといいます。跡地の一部へのスーパー導入は、地域の切実な要望となっています。

また、旧安寧小学校は現在も最大409人を収容する指定避難所で、校舎や体育館には耐震改修が実施されていません。既存施設の再利用・建替えの判断と合わせて、安全な避難機能の確保も必要です。

2027年4月以降に調査結果を公表、事業化方針を検討



京都市は2027年1月29日まで提案書を募集し、3月まで民間事業者との個別対話を実施します。
時期 内容
2026年10月1日 市場調査開始
2026年10月30日 現地見学会の申込期限
2026年11月9~13日 現地見学会
2026年12月7日 質問受付期限
2027年1月29日 提案書提出期限
2027年3月26日まで 個別対話
2027年4月以降 調査結果の概要を公表
未定 正式公募・事業者選定
未定 着工・完成・供用開始
今回の市場調査では、民間事業者に施設用途だけでなく、整備手法や収支計画、地域との共生策まで提案を求めています。京都市はその結果を踏まえて、実現可能な事業条件を検討します。

京都市が期待するオフィス・研究開発機能と、地元が必要とする交流・スポーツ・防災・生活利便機能をどう組み合わせるか。大規模オフィスの供給が限られる京都駅エリアだけに、地域機能を継承しながら、まとまったオフィス床を備える高機能ビルの整備につながることを期待したいところです。

閉校から30年。今回の市場調査を経て、京都駅西側の貴重な市有地がどのような姿に生まれ変わるのか、今後の事業化に向けた動きが注目されます。




出典

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