【続報】りんくう中央公園跡地1.99haを24.2億円から再売却!148m級MICE複合開発の頓挫から再始動


出展:GoogleMAP

大阪府泉佐野市は、りんくう中央公園グラウンド跡地約1.99haを再売却します。最低売却価格は24億2,000万円。2026年12月24日まで参加申込を受け付け、2027年1月15日に条件付き一般競争入札を実施します。

この土地は、Re-urbanizationで2018年から追跡してきた場所です。かつてはマレーシアの大手不動産会社SP Setia系が、ホテル、MICE、住宅、商業などで構成する大型複合開発を計画。最終的には高さ約148m、延床約13.2万㎡のプロジェクトへ発展しました。

しかし、計画は着工に至らず、2025年に事業者が撤退。泉佐野市が土地を買い戻し、今回あらためて民間市場に戻します。

今回のポイントは、単なる再売却ではありません。「MICE施設を整備する土地」から、「市場ニーズに応じて用途を再設定する土地」へ、開発の前提そのものが変わったことにあります。

既報から何が変わったのか


項目 2018~2020年 2026年
事業主体 SP Setia系 未定
選定方式 開発提案型公募 条件付き一般競争入札
土地価格 15億5,500万円 最低24億2,000万円
開発の軸 国際観光・MICE 市場ニーズ重視
主な用途 ホテル、MICE、住宅、商業 未定
スケジュール 2020年着工、2024年完成予定 2027年1月入札
民間ニーズ 観光・MICEを想定 物流施設への関心が強い
同じ約1.99haの土地ですが、事業者、用途、価格、選定方式がすべて組み直されました。

2018年、関空対岸に大型MICE複合開発を構想



泉佐野市は2018年、「りんくう中央公園用地」の開発事業者としてSetia International Japan合同会社を選定しました。土地売却価格は15億5,500万円。ホテル、コンベンションホール、物販・飲食施設、サービスアパートメントなどを整備し、関西国際空港を利用する訪日客やMICE需要を泉佐野市内へ取り込む構想でした。

当サイトでも2018年6月、「りんくうタウンにマレーシアの不動産開発会社が進出!りんくう中央公園用地開発事業者が決定!」として紹介しています。

計画はその後拡大し、地上38階の住宅棟、32階のホテル棟、MICE棟などからなる「SICC(セティア泉佐野シティセンター)」へ発展。最高高さ約148m、延床面積約13.2万㎡という、りんくうタウンでも有数の大規模プロジェクトとなりました。

2019年には2020年第3四半期着工、2024年完成とのスケジュールも示され、当サイトでは「マレーシアSPセティアがりんくうタウンに計画中の複合施設は来年夏着工2024年完成か?」として続報を掲載しました。

2020年、グラウンド閉鎖。しかし工事は始まらず



2020年3月には筆者も現地を取材し、「SPセティアの大阪りんくうタウン総合開発の状況 20.03」として状況をレポートしています。

当時、グラウンドはすでに閉鎖され、敷地は防護ネットで囲われていました。計画通りであれば、その数カ月後には着工する段階でした。ところが、新型コロナ禍によって国際観光やMICEを取り巻く事業環境が急変。その後は資材価格や人件費の上昇による建設費高騰も重なり、計画は長期間未着工のままとなりました。

2025年、事業主体のSetia Osakaが撤退を申し出ました。

2025年、市が土地を買い戻し



泉佐野市は契約を解除し、当初の売却価格15億5,500万円から違約金4億6,650万円を差し引いた10億8,850万円で土地を買い戻しました。

これにより、SP SetiaによるMICE複合開発は終了しました。

これまでの経緯

時期 動き
2018年 SP Setia系を事業者に選定、15.55億円で売却
2019年 2020年着工・2024年完成計画が具体化
2020年3月 当サイト現地取材、グラウンド閉鎖を確認
2020年以降 コロナ禍、建設費高騰などで未着工
2025年 Setia Osakaが撤退
2025年 泉佐野市が10.885億円で買い戻し
2026年 民間事業者へのサウンディングを実施
2026年9月 最低24.2億円で再売却開始
2027年1月15日 一般競争入札

民間5社と対話、物流施設への需要が浮上

再売却に先立ち、泉佐野市は2026年2~3月、民間事業者を対象としたサウンディング型市場調査を実施しました。

前回は国際観光・MICEという政策目的から開発内容を組み立てましたが、今回は民間事業者がこの土地でどのような事業を成立させられるのかを確認した上で、売却条件を再設計しています。

対話には5社が参加。建通新聞によると、物流施設として開発したいとの意見が多く寄せられました。

対象地は関西国際空港の対岸に位置し、阪神高速湾岸線や関西空港自動車道へのアクセスにも優れています。国際観光拠点という従来の評価に加え、物流・産業用地としての市場性が改めて浮かび上がった形です。

最低価格は24.2億円、前回売却時を約56%上回る

今回の再売却条件は次の通りです。
項目 内容
所在地 泉佐野市りんくう往来南6番39
敷地面積 19,854㎡(約1.99ha)
売却方式 条件付き一般競争入札
最低売却価格 24億2,000万円
坪単価換算 約40.3万円
参加申込期限 2026年12月24日
入札日 2027年1月15日
最低価格24億2,000万円は、2018年の売却価格15億5,500万円を8億6,500万円、約55.6%上回る水準です。ただし、前回はMICE施設整備などを条件とする提案型公募であり、今回とは売却条件が異なります。このため、両者の差をそのまま地価上昇率として捉えることはできません。

都市計画面でも変更があります。現在指定されている「特定街区」は廃止予定で、廃止後はその時点の都市計画上認められる用途で土地を利用することになります。

つまり今回は、用途を強く固定して事業者を探すのではなく、土地の商品性を高めた上で、民間側に事業の選択肢を広く持たせる売却へと切り替わっています。

次の焦点は「誰が買い、何を建てるか」



次の節目は2027年1月15日の入札。注目されるのは、参加事業者数、落札価格、そして取得後の開発用途です。

サウンディングでは物流施設への需要が強く示されましたが、具体的な用途はまだ決まっていません。落札者と事業計画が明らかになれば、この約1.99haが今後りんくうタウンで担う役割も見えてきます。

2018年には、関空対岸の国際観光・MICE拠点として始動したプロジェクトでした。それから約8年。事業環境の変化を経て、土地は再び民間市場に戻ります。

りんくう中央公園跡地は、かつての計画を再開するのではなく、新たな需要を取り込む別のプロジェクトとして再スタートします。




当サイト過去記事





出典

  • 泉佐野市「市有地(りんくう中央公園グラウンド跡地)の条件付売却募集(一般競争入札)について」
  • 泉佐野市「りんくう中央公園用地の利活用に関するサウンディング型市場調査」
  • 泉佐野市「令和7年9月議会関連資料」
  • 建通新聞「泉佐野市がりんくう中央公園用地活用で市場調査 物流施設への需要多く」
  • 日刊建設工業新聞「大阪府泉佐野市/りんくう中央公園用地買い戻し/MICE誘致は白紙、需要調査へ」
  • Re-urbanization -再都市化- 過去記事各稿

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