奈良県明日香村の旧庁舎は、建築後、約50年が経過し老朽化が進み、耐震性を著しく欠くことで震災発生時に防災拠点としての役割を果たせないことや、古代ロマンあふれる有名史跡が点在する同エリアにふさわしくない意匠形態といった課題を抱えていました。
古都法・風致地区等の景観規制に適合しない意匠・形態で既存不適格の状態にあったことや、耐震改修では改善が不可能で、耐震性が低く安全性を保つことが難し状況にありました。これらの課題を抜本的に解決するために、役場庁舎の建て替えが行われ、2023年5月に新庁舎がオープンしました。【出展元】
→明日香村新庁舎建設基本設計等業務委託 基本設計図書(概要版)
計画概要
明日香村は建替えにあたり、実施設計と建設工事を一括して発注する公募型プロポーザルを実施し、2020年8月5日に大日本土木・綜企画設計JVを優先交渉権者に特定しました。行政棟や議会・交流棟などを村立明日香小学校の北側の敷地に建設する計画です。
新庁舎は延べ約2760㎡の行政棟と、延べ約740㎡の議会・交流棟で構成されています。2020年度に実施設計を進め、2021年度から本体建築工事に着手し、2022年度中に完成させる予定です。概算事業費は25億800万円を見込んでいます。
完成イメージパース
新庁舎は「明日香まるごと博物館構想」を推進するため、人と場所・人と人をつなぐという意味で「コンシ ェルジュ役場」を目指しています。
古都の風格をもつ明日香の景観にふさわしい庁舎をめざし、景観や周辺環境への影響、環境負荷の低減などに配慮、明日香にふさわしい外部・内部空間が計画されました。行政棟はわかりやすく、防災・安全性及びユニバーサルデザインに配慮した平面計画とし、来庁者に開かれた共用スペースを計画。 議会・交流棟は多目的に活用できる交流ホール及び利用しやすい議会スペースを計画 、ユニバーサルデザインに配慮しています。
交流ホールイメージ
庁舎機能のために必要な空間を確保しつつ、周辺の家並みや山並みとの調和に配慮し、建物高さは約13.7mとなりました。計画地周辺の景観や計画地内の植栽と調和する⽩系の外壁⾊と、煙り出し屋根から着想を得た⾼窓を設け、通⾵、採光などに活⽤、交流ホールに⾯する部分や議場部分はガラス張りとし、外部から議場内が⾒える計画となっています。行政棟1階エントランスイメージ
現庁舎の建物は、古都法・風致地区等の景観規制に適合しない意匠・形態で既存不適格の状態にあります。景観規制を行う村としては、速やかに改善することが望ましいですが、耐震改修では改善が不可能で、耐震性が低く安全性を保つことが難しいことから、新庁舎完成後に解体するこになりました。
2023年8月の様子
現地の様子です。明日香村役場の新庁舎は2023年3月に竣工し、5月から新庁舎での業務を開始しました!
南側から見た様子です。新築の村役場とは思えない風格のある外観デザインに驚きました。メッチャ和風です!
古代ロマンあふれる飛鳥の地に相応しいデザインです!!
新庁舎の駐車場は「緑化ブロック」が敷き詰められており芝生が生い茂っていました。新庁舎の敷地が殺風景に見えない様にするための工夫ですね。
真正面から見た様子です。
少し角度を変えてみた様子です。温泉旅館の母屋の様な雰囲気があります。
屋根瓦の様子です。
正面玄関の様です。
コリドーに置かれた木製ベンチの様子です。
さらに建物を見て行きます。こちらは南東側から見た様子です
南西側から見た様子です。
北西側から見た様子です。ーパー銭湯の様な雰囲気がありますが、ここは村役場です。
北東側から見た様子です。平屋1階建ての別棟は村議会がはいる「交流棟」です。
神社の別棟の様な雰囲気です。鬼瓦な印象的。
最後は引き気味で見た、明日香村役場新庁舎の様子です。以前から「取材したい」と思っていましたが、興味のある読者さんは皆無だと思って踏ん切りが付きませんでした。
でも「やっぱり見たい!」という気持ちが勝って、クルマを飛ばして撮影してきましたが、やっぱり来てよかった!!と思いました(笑)
2021年8月の様子
現地の様子です。計画地は明日香小学校の北側に位置しています。
敷地の南西側の一部は、小学校の駐車場として利用されています。
南東側から見た様子です。現在の所工事などの動きは無く、建築計画のお知らせ的な告知板も未設置でした。
北側にある公民館の駐車場から見た様子です。
最後は計画地に隣接する中央公民館の様子です。
やっぱり近畿は歴史の宝庫だなぁ。