阪神なんば線「淀川橋梁改築」は2034年度完成見込みへ約3年延期!福町十三線立体交差も2033年度に後ろ倒し、高架切替時期は精査中


出展:国土交通省 近畿地方整備局

大阪市は2026年9月8日、国土交通省が阪神なんば線の淀川橋梁改築事業を2034年度完成見込み(約3年延期)として事業再評価監視委員会に諮ったことを明らかにしました。これに伴い、一体的に施工されている福町十三線立体交差事業も2033年度完成見込みへ後ろ倒しされます。

また、従来2029年度を予定していた鉄道の高架切替については、最新発表では具体的な年度を示さず、阪神電鉄が詳細工程を精査中としています。2026年3月の溶接不良発覚以降、不透明だった工期への影響が、今回初めて具体化しました。

今回の変更点


項目 従来 最新状況
淀川橋梁改築 2031年度(阪神電鉄では2032年と表記)完成予定 2034年度完成見込み
福町十三線立体交差 2031年度完成予定 2033年度完成見込み
鉄道高架切替 2029年度予定 阪神電鉄が精査中
主な遅延要因 地中障害物、溶接不良、再製作・再架設
ポイントは、橋梁単体の完成が遅れるだけではなく、鉄道高架化や道路立体交差を含む一連の工程に影響が及んでいることです。

淀川の治水と鉄道高架化を一体で進める大規模事業



阪神なんば線淀川橋梁改築事業は、福駅・伝法駅周辺を含む約2.4kmで、鉄道橋の架け替えと高架化を一体で進める大規模プロジェクトです。現在の橋梁より国道43号側に新橋を建設し、列車を新橋へ切り替えた後、旧橋梁を撤去します。
主な整備内容 計画
事業区間 約2.4km
新橋の位置 現橋梁の国道43号側
桁下高 現在より約7m上昇
河川内橋脚 39本 → 10本
主な施設 新橋梁、福駅、伝法駅、高架橋
目的 治水、防災、鉄道高架化、踏切解消
現在の橋梁は橋脚が多く桁下も低いため、洪水時の流下を阻害する要因となっています。新橋では河川内橋脚を39本から10本へ削減し、桁下を約7m引き上げることで、淀川の流下能力向上と高潮・津波対策を図ります。

溶接不良と地中障害物が工程を直撃

工期延長に大きく影響したのが、2026年3月に判明した淀川左岸側トラス橋の溶接不良です。

国土交通省近畿地方整備局と阪神電鉄は3月17日、橋梁製作工事の一部で要求品質を満たさない溶接が確認されたとして、対象部分を再製作・再架設すると発表しました。左岸側工区の共同企業体に参画する日本橋梁の親会社、オリエンタル白石によると、問題となったトラス橋の部材製作はカナデビア向島工場へ委託されていました。日本経済新聞によると、溶接不良は約2万8,000カ所に上るとされています。

オリエンタル白石は、再製作・再架設などに要する費用を現時点で約50億円と見込んでいます。溶接不良に起因する再製作・再架設費用については、阪神電鉄と製作受注者との間で製作受注者が負担することで合意しています。

ただし、約3年の延期は溶接不良だけが原因ではありません。大阪市は遅延要因として、「地中障害物の撤去や橋梁の溶接不良に伴う再架設等」を挙げています。地中障害物への対応と橋梁の再製作・再架設が重なり、主要工程の組み直しが必要になった形です。

なぜ道路事業まで遅れるのか



大阪市が進める福町十三線立体交差事業は、福駅付近で阪神なんば線を高架化し、鉄道と道路の平面交差を解消する事業です。淀川橋梁改築とは約1kmにわたり一体的に施工されています。

大まかな事業の流れを整理すると・・

新橋梁建設

鉄道高架切替

踏切除却

旧橋梁撤去

道路・周辺整備


となります。

このため、橋梁架設や線路切替が遅れると、踏切除却や道路立体交差化といった後続工程にも影響が及ぶ構造になっています。
※実際の施工では、複数の工程が並行して進む部分があります。

次の焦点は「列車がいつ新橋へ移るのか」



今回、事業全体の完成時期は2034年度と示されましたが、利用者にとって大きな節目となるのは、阪神なんば線の列車が新しい淀川橋梁へ切り替わる時期です。

従来計画では高架切替を2029年度としていました。しかし9月8日の最新発表では具体的な年度を示さず、「鉄道の高架切替時期等の詳細については阪神電気鉄道にて精査中」としています。

工期延長で工程を再構築、次の節目は新橋への切替



2026年3月に溶接不良が判明して以降、再製作・再架設を含む工程への影響が精査されてきました。今回の発表で、ようやく事業全体の新たな完成見通しが示された形です。
時期 主な動き
~2025年 新橋梁・高架構造物の建設が進展
2026年3月17日 左岸側トラス橋の溶接不良を公表
2026年春~夏 再製作・再架設、工期への影響を精査
2026年9月8日 2034年度完成見込み、約3年延期を公表
今後 阪神電鉄が新たな工程を精査
次に注目されるのは、阪神電鉄が示す新しい工程表。特に、新淀川橋梁への線路切替、福駅・伝法駅の高架化、踏切除却がいつ実現するのかによって、工期延長後の事業全体の姿がより明確になります。

淀川橋梁改築は大幅な工程変更を余儀なくされましたが、工事そのものは続いています。今後は事業全体の完成時期だけでなく、列車がいつ新橋を渡り始めるのかが次の大きな節目となります。




出典

・大阪市「福町十三線立体交差事業における工事状況に関するお知らせ」2026年9月8日
・大阪市「都市計画道路 福町十三線立体交差事業」
・国土交通省 近畿地方整備局「阪神なんば線淀川橋梁改築事業の工事状況について」
・阪神電気鉄道「阪神なんば線淀川橋梁改築事業」
・オリエンタル白石「当社子会社の施工工事における特別損失の計上および通期業績予想の修正に関するお知らせ」
・日本経済新聞「阪神なんば線淀川橋梁の溶接不良」関連報道

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