大阪のホテル3軒、107億円から約210億円に!シンガポール政府系も16軒を取得と報道、日本のホテルで進む「所有者の交代」


出展:ガーナーホテル大阪本町駅


大阪・本町のホテル3軒が、2024年に107億円で売却され、2026年7月には約210億円で再び売られたと海外メディアが報じました。約2年4か月で売買価格はほぼ2倍。しかも、3軒のうち2軒はコロナ禍以降、休業していたホテルです。

一方、米国の投資会社KKRが日本国内のマリオット系ホテル16軒を売却し、シンガポール政府系の投資機関GICが取得したとの報道もありました。別々の取引ですが、いずれも既存ホテルを改装・再生した後、新たな投資家に引き継ぐ動きです。

大阪・本町の旧WBFホテルが「ガーナー」に


出展:ガーナーホテル大阪本町駅

対象は「ガーナーホテル大阪本町駅」(182室)、「同大阪本町御堂筋」(168室)、「同大阪本町北船場」(168室)の計518室。前身は「ホテルWBF本町」「ホテルWBF北船場EAST」「ホテルWBF北船場WEST」です。

シンガポールの不動産投資信託、キャピタランド・アスコット・トラストは2023年12月に3軒の売却を発表。2024年3月、香港の投資会社AXE(アクス・マネジメント・パートナーズ)が107億円で取得しました。

AXEは英国のホテルグループIHG(インターコンチネンタル・ホテルズ・グループ)と提携し、改装を実施。2025年1月、日本初の「ガーナー」として再開業しました。国際ブランドの予約網や会員制度を活用し、海外からの集客を強化する狙いです。

2026年7月31日には日本の不動産投資会社クリアルが3軒を取得。香港の不動産専門メディア「ミンティアンディ」は取引額を約210億円と報じています。ただし、この金額は公式発表ではありません。また、107億円との差額には改装費や保有期間中の収支などが反映されておらず、そのままAXEの利益を示すものではありません。

クリアルは3軒を取得後、資金の受け皿を再編


出展:ガーナーホテル大阪本町北船場 by IHG

クリアルは、取得した3ホテルの保有形態をそれぞれ組み替えています。「大阪本町駅」はシンガポール系投資家への売却が報じられ、「大阪本町御堂筋」は10月8日に国内の合同会社と売買契約を締結しました。両物件とも引き渡しは12月の予定です。

残る「大阪本町北船場」は、個人投資家の出資と銀行借入を組み合わせた約72億円規模の不動産ファンドの対象となりました。一方、ホテルの営業はグループのクリアルホテルズが継続する方針です。

建物の所有者が変わっても、ホテルのブランドや運営会社は必ずしも変わりません。不動産への投資と宿泊事業の運営が、別々の会社によって担われています。

旧ユニゾ系ホテル16軒も、次の投資家へ



米国の投資会社KKR(旧称コールバーグ・クラビス・ロバーツ、現KKR&カンパニー)は2026年9月24日、「フォーポイント フレックス by シェラトン」16軒の売却完了を発表しました。国内11都市に展開するホテル群で、買い手は公式発表では明らかにされていません。

海外メディアは、取得者をGIC(ジーアイシー・プライベート・リミテッド:シンガポール)と報道。取引額についてはブルームバーグが約1,250億円、ミンティアンディが約2,000億円と伝えており、確定額は不明です。

このホテル群は、本ブログで2024年8月に紹介した旧ユニゾ系ホテル14軒のマリオット転換計画から発展したものです。KKRは2024年に14軒・3,600室超を取得し、改装と運営体制の整備を進めました。その後、対象は16軒に拡大しています。

売却後もKKR傘下の日本企業がホテル運営と不動産の資産運用を継続。マリオット・インターナショナル(米国)によるブランドと予約網の提供も続きます。ここでも、不動産の所有者が変わる一方で、ホテルの営業体制は引き継がれています。

ホテル再生・売買のタイムテーブル


時期 主な動き
2023年12月 大阪の旧WBFホテル3軒、107億円での売却を発表
2024年3月 香港のAXEが3軒を取得
2024年5月 KKRが旧ユニゾ系14軒を取得し、マリオットへの転換を発表
2025年1月 大阪の3軒が「ガーナー」として開業
2026年7月 クリアルがガーナー3軒を取得。約210億円と海外報道
2026年9月 KKRがマリオット系16軒の売却完了を発表。買い手はGICと報道
2026年9〜10月 クリアルがガーナー2軒の再売却を決定・契約
2026年12月(予定) ガーナー2軒の引き渡し
※2026年10月29日時点。約210億円、GICの取得および取引額は報道ベースです。

ホテル投資は活発化。一方で宿泊需要には濃淡も



背景にあるのは、訪日旅行の中長期的な需要と既存ホテルの再生余地です。好立地の建物を取得し、改装や国際ブランドへの転換を通じて競争力を高める。新築とは異なる形でホテルの価値を引き上げる投資が広がっています。

不動産サービス大手JLL(ジョーンズ・ラング・ラサール:米国)によると、2026年上半期の国内ホテル投資額は4,431億円で、前年同期比41%増加しました。ただし、同社が調査した大阪の高級ホテルでは、販売可能客室1室当たりの宿泊売上が同20%減少。大阪・関西万博の反動などが影響しています。ホテルの売買が活発でも、宿泊業績が一様に伸びているわけではありません。

本ブログではこれまで、旧ユニゾ系ホテルのマリオット転換や、京都14ホテル・1,063室のIHGブランドへの転換を紹介してきました。今回の大型売買は、ブランド転換を経たホテルが、次の投資家へ移る段階に入ったことを示しています。

建物や看板が変わらなくても、その背後にある所有者と資金は入れ替わる。日本のホテル市場では、開発や運営に加え、既存ホテルの再生と売買が存在感を増しています。




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出典

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