グローバル投資運用会社のKKRは2024年5月7日に、ユニゾホールディングス系列のホテル14軒を買収し、マリオット・インターナショナルの、新ブランドホテル
「フォーポイント・エクスプレス・バイ・シェラトン」へリブランドすることを発表しました!
14軒のホテルは函館、盛岡、宇都宮、横浜、名古屋、金沢、京都、大阪、神戸、博多など国内10都市に所在し、3600室を超える規模が新たにマリオット系列に加わる事になります。リニューアル工事は2024年後半の完了を予定し、順次オープンする予定です。「フォーポイント・エクスプレス・バイ・シェラトン」は、マリオット社が2023年に発表した新ブランドホテルで、アジア太平洋地区では初進出となるミッドスケールのホテルブランドです。国内のホテルでいうところの低価格「ビジネスホテル」に区分されます。
【出典元】
→KKRとマリオット・インターナショナル新ホテルブランドFour Points Express by Sheratonを発表し日本のミッドスケール(宿泊特化型)ホテル市場に参入
リブランド対象ホテル
1:ユニゾインエクスプレス函館
2:ユニゾインエクスプレス盛岡
3:ユニゾインエクスプレス宇都宮
4:ホテルユニゾ横浜駅西
5:ホテルユニゾ名古屋駅前
6:ユニゾイン金沢百万石通り
7:ホテルユニゾ京都烏丸御池
8:ユニゾイン新大阪
9:ホテルユニゾ大阪梅田
10:ユニゾイン大阪北浜
11:ユニゾインエクスプレス大阪南本町
12:ホテルユニゾ大阪心斎橋
13:ユニゾイン神戸三宮
14:ホテルユニゾ博多駅博多口
国内ホテルは外資系巨大ホテルチェーンの草刈り場
「ダイワロイネットホテル京都グランデ」をリブランドした「ダブルツリーbyヒルトン京都駅」
現在、国内のホテルはマリオットやヒルトンといった、外資系巨大ホテルチェーンの草刈り場になっています。外資系巨大ホテルチェーンは、これまで最高級(客室面積40〜50㎡程度)、高級ホテル(客室面積30〜40㎡程度)を中心に展開してきましたが、近年はの中価格帯ホテル(客室面積20〜30㎡程度)まで展開領域を拡大。マリオットは「コートヤード・バイ・マリオット」、ヒルトンは「ダブルツリー by ヒルトン」、ハイアットは「ハイアットプレイス」といった具合に、中価格帯のホテルの出店を加速しています。先日も日本国内5都市にある、既存のHMIホテルグループのホテル7軒を「マリオットホテル」および「コートヤード・バイ・マリオット」にリブランドする計画が発表されました。
ビジホの領域に進出する外資系ホテル
英IHG新ブランドホテル『Garner(ガーナー)』が日本初進出!大阪都心に3施設500室を展開、他社ホテルの「リブランド」に特化
今回の、マリオットによる「ユニゾ」のリブランドによる3600室の展開、英IHGが、他社ホテルの「リブランド」に特化した新ブランドホテル『Garner(ガーナー)』の展開をスタートし、ホテルWBF本町、ホテルWBF北船場EAST、ホテルWBF北船場WESTの3軒をリブランド、大阪都心に3施設500室を開設するなど、これまで国内ホテルの牙城だった10㎡~20㎡の、いわゆるビジネスホテルの領域まで外資系ホテルの侵食が始まりました。
圧倒な会員ネットワークの差
外資系巨大ホテルチェーンの最大の武器は会員プログラムによる圧倒的な送客力にあります。2023年末時点で、マリオットは1億9600万人、ヒルトンは1億8000万人の会員を擁しており、マリオットやヒルトンのロイヤリティプログラムに加盟したホテルは、そのネットワークを通じて全世界から集客する事が可能になります。加盟ホテルは、マリオットやヒルトンののアプリに表示されるので、全世界2億人弱の会員に、ホテルの存在をアピールする事が可能になり、会員が旅行の計画を立てる際に、宿泊先の選択肢の1つに入る事ができます。アプリに表示さるか否かで、集客面で、ものすごい差がつきます。
提携クレカでさらに囲い込み!
さらにクレジットカードの決済で得られるポイントをホテル会員の宿泊ポイントに充てる事ができる点も見逃せません。マリオットとヒルトンが提携するアメリカン・エキスプレス・カードは、入会特典の大量ポイント配布や年次更新時の1〜2泊の無料特典を餌にしてカード利用者とホテル会員を上手く結びつけ、囲い込んでおり、提携カード所有者は、意中のホテルチェーンで特典を受けるために、優先的に、マリオットやヒルトンに泊まる様に誘導されています。
外資系巨大ホテルチェーンは、高級ホテルを先行して展開してきたブランドイメージの高さに加え、圧倒的な会員数と、会員向けの強力なロイヤリティプログラム、それに絡めた提携クレジットカードのポイント施策をミックスして、国内ホテルチェーンを圧倒する送客力を実現しています。
国内ホテルチェーンを統合する巨大会員ネットワークが必要かも?
ホテル業界を見ていると、業界は全く異なりますが「イオン」VS「地方のローカルスーパー」の図式が頭に浮かびます。地方のローカルスーパー的な位置づけになりつつある、中小規模の国内ホテルチェーンは、地方の食品スーパーの共同仕入れ機構、シジシージャパン(CGC)の様な、異なった企業を束ねるホテル会員ネットワークを構築してスケールメリットを出して、外資系巨大ホテルチェーンに対抗するしかないのでは?と思うようになりました。
もっとも呉越同舟のホテル連合で、マリオットやヒルトンの様な魅力的なポイントプログラムが構築できるかは疑問ではありますが、このままやられっぱなしでは、IT産業がGAFAMに牛耳られた様に、ホテル市場も外資系に抑えられる可能性があります。国内ホテルチェーンにも頑張ってほしいところです。
マリオット、「フォーポイント・フレックス・バイ・シェラトン」の開業記念で割引提供(TRAICY)
https://www.traicy.com/posts/20241106318930/
宿泊特化型のミッドスケールカテゴリに位置する同ブランドは、投資ファンドのKKRが保有するユニゾホールディングスが展開していたホテルをリブランドして展開する。国内10都市で14軒のホテルを、11月1日から順次オープンしている。当初は「フォーポイント・エクスプレス・バイ・シェラトン」ブランドとするとされていた。
ユニゾのホテル、大阪だけで5軒もあるんですね。
これらが全部リブランドとは、時代の変化の早さを感じます。