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大阪港で「みなと緑地PPP」第4号を認定!常吉臨港緑地が官民連携で再整備へ、大阪市が港湾緑地の新しい利活用モデルを推進

大阪市は2025年10月24日、此花区の常吉臨港緑地(約25,000㎡)を対象とした港湾環境整備計画(通称:みなと緑地PPP)を正式に認定しました。運営事業者には一般社団法人ディパーチャー(大阪市東成区)が選定され、2025年11月から2057年10月までの30年間、長期的な管理運営を行います。

この事業は、2022年12月(令和4年12月)の港湾法改正で創設された制度に基づくもので、全国で4件目の認定。大阪港では、2024年の「常吉西臨港緑地」に続く2件目のPPP事業となります。

「みなと緑地PPP」とは

みなと緑地PPP(Public Private Partnership)は、港湾緑地の整備・管理に民間の資金や運営ノウハウを取り入れる仕組みです。民間事業者が港湾緑地内にカフェやキャンプ場などの収益施設を整備し、その収益を緑地の維持管理や更新に還元することを条件に、行政財産を長期間貸し付けることを可能にする制度です。

国土交通省港湾局はこの制度を全国的に推進しており、港湾を「産業拠点」から「市民に開かれた空間」へと転換することを目的としています。

大阪市が港湾緑地整備を進める狙い

大阪市が大阪港周辺で緑地整備を進める背景には、以下の4つの目的があります。


  1. 港湾を市民に開く
     港湾や工業地帯として長年閉ざされてきた大阪湾岸エリアを、緑地や親水空間として再整備し、市民や来訪者が日常的に立ち寄れる環境を整備することで、“港とまちの距離”を縮めることを目指しています。

  2. 環境・景観の改善と都市価値の向上
     防潮堤や倉庫が並ぶ港湾空間に緑地を設け、景観と環境を改善します。同時に、ヒートアイランド対策や生物多様性保全など、環境都市としての価値向上も狙いとしています。

  3. 財政負担の軽減と持続可能な運営
     港湾緑地の維持には多額の費用がかかります。民間事業者の収益を活用し、行政が単独で負担していたコストを抑制。長期的・安定的に運営できる体制を構築します。

  4. 港湾と都市の一体的再生
     物流や産業機能に加え、観光・レクリエーション・防災など多面的な機能を取り入れ、港湾を「都市の縁辺」から「地域資源」として活用することを目的としています。

三者のメリット構造

みなと緑地PPPは、行政・民間・利用者の三者にとって利点のある制度です。


立場 主なメリット
港湾管理者(行政) 民間資金の導入により、整備・維持管理コストを軽減。サービス品質の向上が期待できる。
民間事業者 緑地内での収益施設の長期運営が可能。空間整備と収益性を両立できる。
利用者(市民) 飲食・休憩施設などの充実で利便性向上。老朽施設の更新により快適性と安全性が改善。

この三者連携により、港湾緑地の整備を「行政主導」から「共創型の仕組み」へと転換します。

事業コンセプトと空間構成

事業の基本方針は、


「スポーツ資源を活用し、世代を超えて人が集い語らう、魅力ある地域インフラをめざす」

グラウンドゾーン


人工芝の多目的グラウンドと屋上観覧席付き管理棟を整備。スポーツ大会や教室を通じて地域交流と健康増進を図ります。


ツリーゾーン


港湾労働者や市民が休憩・交流できる空間として整備。バーベキュー、ドッグラン、ストリートパフォーマンスなど、多様な利用を想定しています。


維持管理・インフラゾーン

定期的な清掃・除草を実施し、駐車場整備や照明改修により安全で快適な環境を維持します。
(※今後の協議により内容が変更される可能性があります)

大阪港で進む「港の再生」

大阪港では2024年に「常吉西臨港緑地」(運営:biid株式会社)が第1号案件として認定されており、今回が第2号です。両プロジェクトは、夢洲や舞洲と連携する大阪湾岸エリア再生の一環として位置づけられています。

大阪市は、港湾空間を市民に開放することで、


  • 地域交流の促進

  • 景観・環境価値の向上

  • 維持管理の効率化
    を同時に実現する方針です。

みなと緑地PPPはその実践モデルとして、官民協働による港湾空間の再生を具体化する役割を担います。






出典

  • 国土交通省港湾局「大阪港で新たに『みなと緑地PPP』が認定」(2025年10月24日)

  • 大阪市港湾局「常吉臨港緑地の魅力向上・管理運営事業に係る港湾環境整備計画を認定しました」(2025年10月24日)

  • 国土交通省「港湾環境整備計画制度(みなと緑地PPP)について」(2022年12月)

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