日本版IR『区域整備計画 』の認定判断が越年の可能性。国は可及的速やかにIRの判断(認定)を!



報道各社は、日本版IR(カジノを含む統合型リゾート)を巡り、大阪府・市と長崎県が4月末に国に申請した『区域整備計画 』の判断が2023年に越年する可能性があると伝えました。経済、観光などの専門家でつくる有識者委員会が国の評価基準などを基に審査を進めており、最終的には国土交通省が認定可否を決定します。審査の長期化は、大阪の候補地の地盤に懸念が浮上していることなどが要因とみられます。

大阪府・市は2022年内に結論が出ると想定した計画を作成、2023年春〜夏かけて市が保有する土地を事業者に引き渡し、事業者が工事に着手する想定で、「早ければ2029年秋~冬」としていた開業時期への影響を懸念する声が上がっています。大阪府と大阪市の担当者は「必要な審査を速やかに進めてほしい」とコメントしました。

【出展元】
→産経新聞>IR計画の審査長期化 大阪府市、地盤問題残るも「開業時期に影響なし」
→日経新聞>大阪IR認定、越年の可能性 土壌や地盤の評価に時間

 



大阪IRは大阪湾に浮かぶ人工島・夢洲を予定地とし、米MGMリゾーツ・インターナショナルやオリックスなどが出資する「大阪IR株式会社」が運営を担います。大阪IRの初期投資額は約1兆800億円で、延べ床面積約77万㎡の施設を建設。年間来場者は約2050万人、年間売上は約5400億円を見込み、2020年代後半の開業を目指す計画で、近畿24県に福井県を含めたエリアで年間約11400億円の経済効果を見込んでいます。

IRが実現すれば、大阪府・市に、売上や入場料から毎年約1100億円の納付金が見込まれます。単発イベントではなく毎年1,100億円です。皮算用が外れて、仮に達成率が70%だったとしても770億円/年です。50%でも550億円/年です。

ちなみに2021年度に、大阪市内の全ての企業が納めた「法人市民税」は約1,100億円で個人市民税は約2,200億円でした。大阪IRの納付金1100億円が如何に強烈なインパクトをもたらすか?は一目瞭然です。実現すれば、大阪市内の企業が(税収的な意味で)2倍に増えた事に等しい経済効果が生まれますし、(出来ないし、やらないと思いますが)個人市民税を半額にする事が可能です。

【出展元】
→大阪市>令和3年度普通会計決算見込

 

 



メチャクチャ乱暴なたとえ話ですが、納付金を3年貯金すれば3300億円が貯まります。これをもって関西国際空港に世界最高の旅客ターミナルビルを建設し、シンガポール・チャンギ空港に匹敵する空港に引き上げる事ができます。経済的な余力で次の世代に向けた投資が可能になります。

何度もブログで書いていますが、これらの強烈な経済効果と、今の所、何のエビデンスも根拠もない「IRが出来るとギャンブル依存症が増えて治安が悪化する」といったマイナス面を比較して、内容をちゃんと理解した人がどう判断するのか?が非常に重要です。既存市街地から隔絶された、無人島の夢洲の治安が悪化するとは??本当に意味が分かりません。

 



今後、少子高齢化がさらに進み生産人口が減少するトレンドは紛れもない事実で、現状維持は(経済が縮小する意味で)衰退とイコールです。地方自治体の税収がジリジリ減り続け、既存のインフラが維持出来なくなり、住民サービスは削られて行きます。これは大阪だけでなく一極集中が進む東京以外の全ての日本で確実に起こる事実です。これに抗う手段の1つとして大阪IRがあります。IR一本で全て解決!するはずはありませんが、有力な切り札の1つである事は間違いありません。

最近の国は、さっさと増税を決める割に、税収を増やす施策(IR)を先送りにしようとしています。僕には、その思考回路が全く理解できません。記事タイトル通り、国は可及的速やかにIRを認定して、先に進めて欲しいと思いました。