森ビルは2019年8月22日付けのニュースリリースで同社が30年の歳月を掛けて進めてきた「虎ノ門・麻布台プロジェクト」が8月5日に着工しプロジェクトが 始動したと発表しました。「虎ノ門・麻布台プロジェクト」は、Modern Urban Village」をコンセプトに国際都市の洗練さと、小さな村のような親密さを兼ね備えた、世界に類のない、全く新しい街となります。
敷地面積は約8.1haで約6,000㎡の中央広場を含む緑化面積は約2.4haに上ります。延床面積約860,400㎡、オフィス総貸室面積213,900㎡、住宅戸数約1,400戸、メインタワーの高さは約330m、就業者数約20,000人、居住者数約3,500人、想定年間来街者数2,500~3,000万人で、そのスケールとインパクトは六本木ヒルズに匹敵します。またこのプロジェクトは、森ビルがこれまでのヒルズで培ったすべてを注ぎ込んだ「ヒルズの未来形」と位置づけられています。1989年に街づくり協議会を設立し、約300人の地権者と、約30年もの時間をかけて推進してきましたが、2017年には国家戦略特区法に基づき都市計画が決定され、2019年8月5日に着工を迎えました。竣工は2023年3月末を予定しています。
【出展元】
→森ビル>「虎ノ門・麻布台プロジェクト」いよいよ始動
「虎ノ門・麻布台プロジェクト」は、「アークヒルズ」に隣接し、「文化都心・六本木ヒルズ」と「グローバルビジネスセンター・虎ノ門ヒルズ」の中間に位置しています。このエリアを含む港区は、外国大使館、外資系企業、ホテル、文化施設、インターナショナルスクールなどが多数立地し、外国人居住者数も圧倒的に多く、国際新都心として高いポテンシャルを有しています。「虎ノ門・麻布台プロジェクト」が要となり、既存のヒルズと連携・融合することで、都心部に新たな文化・経済圏を創出する計画です。
プロジェクト概要
事業名称:虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業
事業者:虎ノ門・麻布台地区市街地再開発組合
区域面積:約8.1ha(施行地区面積)
敷地面積:約63,900㎡(約19,330坪)
延床面積:約860,400㎡(約260,000坪)
主要用途:住宅(約1,400戸)、事務所(約213,900㎡)、店舗(約150店)、ホテル(約120室)、インターナショナルスクール(約14,000㎡、ブリティッシュ・スクール・イン・東京(予定))、中央広場(約6,000㎡)、文化施設(約9,000㎡)等
緑化面積:約2.4ha
駐車場:約1,880台
事業費:約5,800億円
組合員数:285人(2019年3月時点)
着工:2019年8月5日
竣工:2023年3月31日(予定)
航空法の高さ制限を遙かに超える計画に驚く

虎ノ門・麻布台プロジェクトのA棟の高さは330mです。しかし、羽田空港高さ制限回答システムで虎ノ門5丁目付近の制限を確認すると制限表面の円錐表面の制限区域内で上限は「海抜220m〜224m」と表示されます。現地の正確な標高は不明ですが、近くに建っている東京タワーは海抜18mです。仮に虎ノ門・麻布台プロジェクトA棟の海抜が18mとすると、立てられるビルの最高高さは202m〜206m」となります。この計画以外にも、東京都港区には航空法の高さ制限を超えるビルが存在しています。虎ノ門ヒルズの上限は海抜231m、現地の海抜が15mと仮定すると、ビルの最高高さは216mです。しかし虎ノ門ヒルズ森タワーは256mもあり、高さ制限よりも40m高くなっています。虎ノ門・麻布台プロジェクトのA棟は航空法の制限よりも100m以上高いです。これはなぜでしょうか?
東京タワーを根拠に航空法の高さ制限を100m緩和!

色々調べましたが、これといった情報は皆無だったので、国土交通省東京航空局に電話で問い合わせしてみました。いくつかの部署を巡りましたが、回答して頂いた部署がありました。そこでの回答は・・
「虎ノ門・麻布台プロジェクト」に関する規制緩和の情報は共有しておらずはっきりとはわからない。しかし実際に高さ330mのビルが着工しているのであれば、国土交通省より特例承認により許可を得ていると思われる。航空法施行規則ー第九十二条の五の三、地形又は既存物件との関係から航空機の飛行の安全を特に害しない物件、具体的に言うと、計画の近くに東京タワーが高さ333m、海抜18mで存在し、航空機が問題なく運用出来ている、それを根拠に、その高さ(海抜)までは特例承認する場合がある、そうです。
つまり、国土交通省の特例承認が得られれば、東京タワーの周辺なら海抜351m、ビルの高さは330m程度まで建設可能となります。東京タワーのおかげで東京都港区は航空法の高さ制限を大幅に緩和出来る様になりました。高さ100mの規制緩和は驚くべき事実です。逆に東京タワーから離れると根拠となる既存物件が無くなるので、虎ノ門よりも羽田空港から遠いにも関わらず航空法の高さ制限がそのまま適応される様です。具体的は東京駅近くの八重洲地区では制限は海抜252mで、再開発計画もそれに近い数値となっています。僅かの距離ですが、八重洲よりも少しだけ北側の常盤橋は航空法の高さ制限、円錐表面の対象外となります。その為、三菱地所が地上390mのビルを計画しています。
この東京での大幅な規制緩和を見ると、大阪・梅田地区の高さ規制も緩和出来ないか?という思いが湧き上がってきます。梅田には根拠となる既存物件がないので特例承認が難しいかもしれませんが、西日本の最重要地区といえる梅田が190〜175mに押さえられているのは非常に勿体ないです。出来れば東京と同じ100m緩和、無理なら50m緩和を目指して欲しいと思いました。




