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J3福島ユナイテッド、日本初の「完全木造スタジアム」構想を発表!福島発の再生物語を世界に発信する装置


2025年9月2日、J3に所属する福島ユナイテッドFCは、福島市内に整備を予定する新スタジアムの基本構想を発表しました。県産木材を活用した日本初の「完全木造スタジアム」として設計され、世界最高水準の環境指標「Living Building Challenge(リビング・ビルディング・チャレンジ)」の取得を視野に入れるなど、これまでにない挑戦に踏み出しています。

その背景には、「福島発の再生物語を、世界で通用する環境基準とコミュニティ参加型のプロセスで可視化する狙い」があります。

日本初の「完全木造」スタジアム


新スタジアムは観客席5,000〜6,000席規模の4面スタンドを備える計画で、外観は大内宿(下郷町)のかやぶき屋根が連なるような独自デザインを想定しています。福島県産材をふんだんに使用し、建材は分解・再利用が可能な設計とし、資源・文化・技術を循環させる「再生型建築」を目指します。

この設計思想自体が、福島の地域資源を循環させる物語を世界基準で証明する試みであり、単なるスタジアム建設ではなく「再生」を象徴する舞台装置となります。


盆地型気候を活かした「エネルギー循環」

福島の盆地型気候を活用した「パッシブデザイン」を取り入れ、自然エネルギーを最大限に利用する計画です。屋根や外壁の形状により、夏は日射や卓越風を調整し、冬は冷風を遮断します。雨水を濾過して再利用し、冬に蓄えた雪を夏の冷房に活用する仕組みも導入します。

敷地内で再生可能エネルギーを生産・蓄電することで、エネルギー自給自足の実現を目指します。これは、福島から発信する再生物語を、世界水準の環境基準に接続するための鍵とも言えます。

「なぜ完全木造なのか」──背景と狙い


福島ユナイテッドが完全木造を選んだ理由には、複数の意図が込められています。


  1. 環境面での挑戦
    木造を選ぶことは、炭素貯蔵やエネルギー消費の抑制につながります。LBCの基準を満たす「ネットポジティブ」な建築として、福島の地から世界に誇れる環境挑戦を実現します。

  2. 地域産業の循環
    県産材を主材に据えることで、林業や木工産業が再び動き出し、住民参加のプロセスを通じて地域全体の再生につながります。

  3. 文化的象徴性
    式年遷宮に着想を得て、更新可能で循環的な建築を採用。壊して終わるのではなく、時代ごとに継承・進化する再生モデルを提示します。

  4. コミュニティとの共創
    「お祭り」のような建設参加や木工教育を通じて、市民が手を動かし、物語の一部となる仕組みを実現します。ここにこそ「コミュニティ参加型プロセスで可視化する狙い」が凝縮されています。

「復興の象徴」としての位置づけ

福島ユナイテッドの小山淳CEOは「単なる競技施設ではなく、世界に希望と再生を届けるプロジェクト。復興の象徴とすることで未来への希望を創り上げたい」と語りました。

クラブが打ち出したのは、福島発の再生物語を、地域資源と住民参加を束ね、世界の環境基準に適合させる新しい挑戦です。


地域に開かれた「みんなでつくるスタジアム」

スタジアムは、コンサートや展示会、冬季の競技練習など、多用途利用を想定した総合スポーツ拠点としても計画されています。地域住民の参加が仕組み化されることで、単なる施設以上の「共創の象徴」となります。


建設地は「未定」、今後の展望

建設候補地や完成時期はまだ未定です。ただし、J2ライセンス条件により早期整備が求められており、今後の計画具体化が大きな注目を集めています。

SNSでの反響と新エンブレム


完成予想図はSNS上で「関西万博の大屋根リングみたい」と話題を呼びました。安全性や耐久性を懸念する声もありますが、計画が実現すれば国際的な注目を集めることは間違いありません。

また、来年にはクラブ創立15周年を記念して新エンブレムを導入予定。従来の「不死鳥」を継承しつつ、よりシンプルで象徴的なデザインに刷新します。

まとめ

福島ユナイテッドの新スタジアム構想は、日本初の完全木造、世界初の循環型木造を掲げた挑戦です。そこには、「福島発の再生物語を、世界で通用する環境基準とコミュニティ参加型のプロセスで可視化する狙い」が一貫して流れています。

環境性能、地域循環、文化継承、市民参加、そして国際発信力。これらを束ねる新スタジアムは、震災復興の象徴であると同時に、未来に向けた持続可能な都市・建築モデルの原型とも言えます。






出典元

  • 福島民報「J3・福島ユナイテッド/完全木造スタジアム/世界最高水準の環境認証取得視野」(2025年9月2日)

  • 福島民友新聞「日本初の木造スタジアム、特徴的な屋根の形 福島ユナイテッド、構想を発表」(2025年8月31日)

  • サッカー批評Web「J3福島が『日本初の完全木造』『世界初の循環型』新スタジアム構想発表!」(2025年8月31日)

  • Qoly「J3チーム、新スタジアムのコンセプトを発表!『式年遷宮』から着想を得た地域参加型『完全木造スタジアム』」(2025年9月2日)

  • 福島ユナイテッドFC 公式発表資料・クラブホームページ

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