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『(仮称)御堂筋心斎橋1丁目都島ビル計画』旧・Nike Osaka(ナイキ大阪)跡地再開発、心斎橋はアジアのショーケースへ


大阪・心斎橋で、新たな商業施設の開発が始まります。閉店したナイキ大阪の跡地で「(仮称)御堂筋心斎橋1丁目都島ビル計画」が進行しており、地上5階建、高さ27.53m、延床面積1,350㎡の中規模ビルが建設される予定です。建築主は都島自動車不動産管理(株)、設計は松田平田設計大阪事務所が担当。2025年10月に着工し、2027年5月の竣工を予定しています。

空室率ゼロ、過去最高の賃料水準


心斎橋の商業市場は現在、かつてない逼迫状況にあります。CBREの調査によりますと、2025年第2四半期の平均賃料は坪26万6千円に達し、調査開始以来の最高値を更新しました。銀座に次ぐ全国第2位の水準となっており、前年比でも+9.0%の上昇です。空室率はゼロの状態が続いており、出店を希望するブランドは退去物件か新築物件を待つしかなく、新規供給は「競争入札市場」となっています。

インバウンド需要の爆発


こうした背景を後押ししているのがインバウンド需要の回復です。政府観光局が9月17日に発表した統計によりますと、2025年8月の訪日外国人客数は前年同月比16.9%増の342万8千人となり、8月としては過去最多を記録しました。円安と夏休み需要が重なったことが要因です。

7月には「日本で大災害が起きる」といううわさの影響で減少していた韓国からの来訪は増加に転じ、香港からの来訪も減少幅が縮小しました。2025年1〜8月の累計では2,838万3,600人となり、前年同期比で18.2%の増加を示しました。

大丸心斎橋店の8月売上は前年同月比10.9%増となりました。免税売上は客数が増える一方で単価が低下しており、化粧品や日用品など日常的な消費が伸びています。かつての“爆買い”依存から、繰り返しの小口消費へと構造が変化していることがうかがえます。

ブランドにとっての「存在証明」

御堂筋沿いに旗艦店を構えることは、ブランドにとって販売以上の意味を持っています。歴史的建築である大丸心斎橋店や、独自の外観を持つルイ・ヴィトンの店舗は、それ自体が広告塔となり、SNSを通じて東アジア市場に拡散されます。

いまや心斎橋に出店することは、単なる広告効果にとどまりません。「心斎橋に存在している」という事実そのものがブランドの信頼性を示し、その価値を市場に広げていく状況となっています。

2030年に向けた展望

関西国際空港のT1リノベーションにより、国際線の年間キャパシティは4,000万人規模へと拡張されました。心斎橋は「半径3時間フライト」でアクセスできるソウル・台北・上海などの需要を直接取り込むハブとして、今後さらに重要性を高める見通しです。

一方で、免税制度の見直しや為替変動、賃料高騰といったリスクも存在します。ブランド各社は、限定商品の投入や体験型販売、越境ECとの連動などを通じてリスク対応を進めています。

存在そのものが価値を広げる街へ

ナイキ跡地に建設される新ビルは、心斎橋が「アジアのショーケース」として進化を続ける象徴的なプロジェクトとなる可能性があります。ここでは「出店=広告」ではなく、「存在すること自体がブランド価値を広げる」位置づけとなります。心斎橋に店を構えることが、ブランド資産を拡張する仕組みとして機能し、2030年に向けてその傾向は一層強まるとみられます。

 

計画概要



計画名称: (仮称)御堂筋心斎橋1丁目都島ビル計画
所在地: 大阪市中央区心斎橋筋一丁目B34-3、36-1、36-5、36-14、36-15
交通: 大阪メトロ御堂筋線「心斎橋」駅
階数: 地上5階
高さ: 27.53m
構造: 鉄骨造(S造)
主用途: 物販店舗
総戸数: ーーー
敷地面積: 295.85㎡
建築面積: 263.86㎡
延床面積: 1,350.00㎡
容積対象面積: 1,230.00㎡
建築主: 都島自動車不動産管理(株)
設計者: (株)松田平田設計 大阪事務所
施工者: 未定
着工予定: 2025年10月01日(予定)
竣工予定: 2027年05月31日(予定)


2025年8月の様子


現地の様子です。旧ビルが解体され更地になっていました。


南側から見た様子です。他のビルと集約できればかなりの大規模化が図れたと思いますが、単独開発となっています。

 


最後はアップで見た計画地の様子です。

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