札幌市は都心再開発の促進に向けて、札幌駅から中島公園一帯にかけての建物の容積率を緩和する指針を発表しました。ビルを地下歩行空間(チカホ)と接続したり、高級ホテルや大型オフィスを設けたりすると容積率を最大1.5倍まで引き上げる内容てす。2030年度の北海道新幹線延伸をにらみ、2019年度の導入を目指すとの事。
札幌都心の建築物は、昭和56年(1981年)以前に建てられた旧耐震基準の 建築物が約40%を占めており、建築物の⽼朽化が進⾏しています。 また、北海道新幹線の札幌延伸や冬季オリンピック・パラリンピック招致に向けたまちづくりが進展しており、建築物の建替え機運が高まっています。そこで、札幌市では建築物の建替え機運が高まっているこの機会を捉え、 都心まちづくりに資する良好な⺠間都市開発を誘導するため 「都心における開発誘導方針」を策定しました。
【出典元】→都心における開発誘導方針(素案)
今回の規制緩和の対象エリアは、札幌市⽴地適正化計画で定められている都市機能誘導区域(上記図)です。札幌市の都心部のほぼ全てが規制緩和されます。
本方針により容積率の緩和を⾏う場合、建築物の高さは、原則、高度地区で定める高さ及び⽤途地域ごとに定める斜線制限の範囲内となります。ただし、地区の 特性に応じて、都市計画法に基づく制度等を活⽤し、新たに高さの上限を設定するものなどについては建築物の高さを緩和できる場合があります。
札幌市は今回の開発誘導方針のなかで、公共貢献の評価として具体的に11項目を設けました。公開空地の面積中心だったこれまでの空地評価による緩和分は低減し、面積だけではなく オープンスペースの質を評価。新たに評価する取組分も上乗せされます。
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容積率緩和にあたっての取組ごとの評価の考え方です。例えば、周辺ににぎわいをもたらすオープンスペースを整備すると最大で200%まで上乗せが得られる。具体的には札幌三井JPビル内にある屋内広場などです。他にも建物をチカホや地下鉄駅と接続すれば容積率が150%緩和されます。建物の用途での評価も盛り込まれました。五つ星ホテルが市内にないことやオフィス不足を踏まえ、全客室面積が40㎡以上の高級ホテルや、1フロアのオフィス床面積が1000㎡以上の大型オフィスを建設する際には最大で50%の緩和が受けられます。
1.質の高いオープンスペース整備 200%
2.地区ごとのまちづくりルール策定 最大 100%
3.高機能オフィス整備 最大 50%
4.ハイグレードホテル整備 最大 50%
5.景観資源配慮 最大 50%
6.敷地外のまちづくり貢献 最大 100%
7.低炭素・省エネルギー化推進 最大 50%
8.防災性向上 最大 50%
9.交通施設整備による良好な歩行環境形成 最大 50%
10.重層的な回遊ネットワーク形成
地下ネットワークの拡充(チカホ等との接続)最大 150%
地下ネットワークの拡充 ネットワークの拡充(隣接する建物間の接続)最大 50%
地上ネットワークの拡充(空中歩廊等)最大 50
11.既存建物活用 最大 50%
都心部の容積率緩和を打ち出した札幌市。オフィス不足、ホテル不足を補うには、これらの容積率の加点をもう少し多くすればより誘導できるのでは?との思いはありますが、安直な規制緩和に比べれば非常に前向きで良い取り組みだと思います。札幌市が思い描くグランドデザインに誘導しつつ、デベロッパーには経済的メリットを与える方法として評価できます。最近の札幌市の動きでは、北海道新幹線の札幌駅の設置場所の揉めごと、札幌ドームをめぐる日ハムとの対立など、「??」と思う所もありますが、札幌市はインバウンド需要や北海道新幹線の延伸など、成長するチャンスをモノにして欲しいと思いました。
北海道の土地面積は、九州全土の1.5倍近く大きいのに大都市が“札幌だけ”なのもおかしいと思います。
札幌以外にも後、2つ、3つ位は政令指定都市があってもおかしくない土地を有しているにもかかわらず残念な思いです。確かに雪が多く降るのも人口が少ない要因ではあると思いますが、国が掲げている“地方創生”により本州(特に東京圏)から大企業、大学の移転も実施して北海道の人口も増えていけば良いと考えております。
今度は北海道で大規模な地震が…被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。
かつて、帝国ホテルなどの外資系を含む高級ホテルを誘致した高さ180mクラスの複合ビルが計画されてましたけれど、その計画が頓挫して結局100mそこそこのオフィスビルになった経緯がありましたよね。
今度こそは、この容積率の緩和を有効に活用した再開発計画が出てきてほしいですね(^_^)