関西国際空港で総旅客数が過去最高を更新、インバウンド需要が牽引
関西エアポートグループは2025年9月25日、関西国際空港・大阪国際空港(伊丹)・神戸空港の3空港における8月の利用実績を公表しました。関西国際空港(KIX)では総旅客数が317万人に達し、2019年3月の289万人を上回って過去最高を記録しました。
関西国際空港:国際線利用が歴史的水準に

関西国際空港の国際線旅客数は255万人(前年比+18%)に達し、単月としての過去最高を更新しました。
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外国人旅客数:189万人(+19%)
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日本人旅客数:65万人(+18%)
背景には、円安による訪日旅行の割安感、大阪・関西万博を控えた国際的な注目度上昇、さらに東アジア方面での供給増(韓国・中国線の増便)がありました。国際線発着回数は1万4,900回(+16%)と過去最高を記録し、便数・旅客数ともに右肩上がりの状況です。
また貨物分野も好調で、国際貨物取扱量は前年同月比+5%。旅客便の増加に伴いベリー便のスペースが拡大し、アジア各地との物流網がより厚みを増しています。
伊丹・神戸空港:国内線需要も堅調
大阪国際空港(伊丹)は国内線旅客数が158万人(+11%)と前年を大きく上回り、コロナ前の水準に肉薄しました。ビジネス需要に加えて、夏休みシーズンの国内旅行が押し上げ要因となっています。
神戸空港は国内線旅客数が35万人(+6%)。コンパクトな空港ながら、利用者数は着実に増加し、伊丹・関西との3空港ネットワークが効果を発揮しています。特に神戸では、訪日外国人が大阪・京都から日帰りでアクセスするケースも増え、関西全体の需要分散に寄与しています。
「成田=日本の玄関」を揺るがす動き
関西空港の8月の外国人旅客数は約189万人で過去最高を記録。成田空港の外国人旅客数も約187万人で8月としては過去最高を記録しましたが、関西空港が成田を上回りました。
長年にわたり「成田=日本の玄関」という構図が定着してきました。しかし、2025年8月には外国人旅客数で関西空港が成田を僅差で上回るという瞬間が訪れました。
訪日需要は「東京一極集中」ではなく、大阪・京都を中心とした近畿圏も目的地として完全に定着しています。アジアからの旅行者にとっては、東京経由で移動するのではなく、最初から関空に降り立ち関西を楽しむルートが主流化しつつあります。海外の航空会社はこうした需要を捉え、東アジア各都市から関空への直行便を相次いで拡充しています。
この動きは一時的な現象に過ぎない可能性もありますが、「関西が成田を超えた」という事実は、日本のインバウンド構造に明確な変化が起きていることを象徴しています。
万博効果と国際線需要の拡大
今回の記録的な実績は、大阪・関西万博を開催している関西の存在感を裏付けるものです。会期終盤に入った万博は連日多くの来場者でにぎわい、航空需要にも波及効果を及ぼしていると見られます。
ホテルの稼働率は大阪・京都を中心に80〜90%台と高水準で推移しており、宿泊インフラはフル稼働に近い状態です。こうした状況は「万博効果」がすでに可視化されていることを示しています。
まとめ
2025年8月の実績は、単なる過去最高という記録にとどまりません。
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成田を超えた外国人旅客数という瞬間
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訪日需要が大阪・京都を中心とした近畿圏に定着
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万博効果の顕在化
これらの要素は、関西国際空港が「インバウンドを受け止めるゲートウェイ空港」としての地位を確立しつつあることを示しています。
出典
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関西エアポート株式会社「2025年8月利用実績」





