北九州空港の滑走路を現在の2500mから3000mに延長する計画が事業化されます。
北九州空港は、福岡県北九州市小倉南区と苅田町に跨る人工島に所在する海上空港です。周防灘の沖合3kmの位置に関門航路の浚渫土砂の処分施設として新門司沖土砂処分場・苅田沖土砂処分場を建設。これを流用して全長4,125m、全幅900m、面積373haの空港島を建設し、大型機の離着陸可能な2,500mの滑走路を持つ海上空港が建設されました。
【出展元】
→国土交通省>北九州空港滑走路延長計画
→北九州空港滑走路延長計画について(PIレポート )
→国土交通省 北九州空港の滑走路延長を決定 事業化へ手続き
北九州空港は九州では最初かつ唯一の24時間空港で、スターフライヤーがハブ空港いとなっています。コロナ禍前の2018年度の年間利用客数は178万3432人国内線が143万731人、国際線が33万6535人でした。
北九州空港は九州で唯一の24時間空港ですが、現在の2500m滑走路では、北米や欧州など長距離路線の航空機が超大型荷物や燃料を満載して離陸するには滑走路が短い状況でした。
航空機は、滑走路の長さによって離陸や着陸が可能な積載重量が決まっています。積載重量が重たい機体で離陸するためには長い滑走距離が必要となり、着陸の際には着陸したちの滑走距離が長くなります。
航空機の積載重量に大きく影響するのが、搭載貨物量と搭載燃料です。北米・欧州便など 長距離路線になると搭載燃料を多くする必要があります。そのため、積載重量を抑えるため には、搭載貨物量を減らさなければならず、運搬可能な貨物量が減少するため、貨物定期便 の商用運航として成立しなくなります。
代表的な貨物専用機B747-8F型機は、北米・欧州まで商用運航として成立する貨物量を 搭載すると、滑走路長が2,500mでは重量オーバーとなり離陸することができません。 また、着陸する際には搭載燃料が少なくなっており、搭載貨物量を増やすことができますが、商用運航として成立する貨物量を搭載すると、滑走路長2,500mでは着陸できないと判断する航空会社があります。
北九州空港は滑走路長が2,500mであるために、貨物定期便や貨物チャーター 便の就航機会を逸失しています。このため、北九州市などは国際的な物流拠点化に向け、滑走路延長の要望を長年続けてきました。
国土交通省は、北九州空港の滑走路を現在の2,500mから3,000mに延長する計画の事業化に向け最終調整に入りました。事業期間は2023年度~2027年度で事業費は約130億円となる見込みです。実現すれば、大型貨物機による欧米などとの長距離飛行が可能となり、九州だけでなく広島県など西中国地方の需要に対応できる物流拠点となります。
2012年に福岡空港の発着数が滑走路1本で運用可能な限界を超え、航空路線の新規就航や増便が困難となっていることから、福岡県は2014年11月に策定した「福岡県の空港の将来構想」で、福岡空港の発着枠を超える就航希望航空会社(特にLCCと貨物専用便)について北九州空港に誘導する方針を打ち出しました。
拡張余地が乏しく混雑が激しい福岡空港の負担を少しでも減らすため、LCCと貨物便を北九州に移転させ、福岡県2空港をマルチ・エアポート化する事で押し寄せる需要に対処する目論見だと思われます。