大阪駅・新大阪駅に新型顔認証改札機を導入! デモンストレーション段階から実用化フェーズへ移行するJR西日本の戦略


JR西日本は2026年3月2日から、大阪駅および新大阪駅において、新タイプの顔認証改札機を用いた実証実験を開始します。大阪駅(うめきた地下口・連絡橋口)と新大阪駅(東口)に設置され、ICOCA定期券利用者を対象に、顔認証によるウォークスルー通過の有効性や運用上の課題を検証します。

本取り組みは、大阪駅うめきたエリアを「JR西日本技術ビジョン」を具体化する未来駅と位置づけ、イノベーションの実験場「JR WEST LABO」の中核として進められてきた施策の一環です。2023年3月からは、万博開催や大阪駅地下ホーム開業を見据え、ゲートレスで通過可能なウォークスルー型顔認証改札の実証運用が行われてきました。

これまでの実証実験と顔認証改札の位置づけ

デモンストレーション要素が強かった顔認証改札機

顔認証改札の実証運用は、2023年3月から、うめきた地下口と新大阪駅東口を結ぶ区間で開始されました。特に大阪駅うめきた地下口に設置された顔認証改札機は、ゲートを設けず、同時入出場が可能なウォークスルー型を採用し、改札通過時の「ワクワク感」を演出する革新的なデザインが特徴でした。

この段階では、顔をキーとする新たな「チケットレス認証手法」を検証し、次世代のシームレスな移動サービスの可能性を探ることが主な目的とされていました。

新型顔認証改札機の概要と変更点

今回導入される新型顔認証改札機では、設計思想が大きく見直されています。

最大の特徴は、標準型のIC専用改札機をベースに、顔認証機能を追加する構成を採用した点です。従来から使用されている改札機を改造することで顔認証システムを導入しており、将来的な他駅展開や改札機の増設を見据えた設計となっています。

また、顔認証カメラを進行方向に縦列で2台配置することで、認証精度の向上を図っています。顔認証で通過可能な改札機も増設され、大阪駅では、従来のうめきた地下口改札に加え、連絡橋口改札にも新たに対応機が設置されます。一方、これまで設置されていた顔認証専用型の改札機(うめきた地下口・新大阪駅東口)は撤去されます。

実証実験の内容と利用条件


大阪駅(連絡橋口)改札機 7 号機


実証実験では、顔認証技術とIC乗車券を併設した「新たな標準改札機」の利用状況を把握することを目的としています。特に、ラッシュ時における通過状況や運用上の課題が検証対象となります。

対象者は、大阪駅〜新大阪駅間を含むICOCA定期券を保有し、事前にモニター登録を行った利用者です。対象区間は大阪駅〜新大阪駅間に限定され、検証期間は2026年3月2日から当面の間とされています。

利用にあたっては、スマートフォン専用サイトまたはJR西日本のアプリ「WESTER」から、ICOCA定期券情報と顔情報を登録します。登録後は、顔情報と定期券IDが紐づけられ、顔認証によるウォークスルー通過が可能となります。

ICOCA定期券との紐づけが持つ意味

今回の実証実験では、顔認証単体ではなく、ICOCA定期券と顔情報を組み合わせる方式が採用されています。定期券利用者を対象とすることで、精算処理を簡素化できるほか、認証トラブルが発生した場合でも、IC改札への切り替えが容易です。

顔認証による完全チケットレス化を一気に進めるのではなく、既存のICインフラと組み合わせて段階的に導入することで、運用上のリスクを抑えつつ、改札機の増設や他駅展開を進めやすくする狙いがうかがえます。この点は、実用化を前提とした合理的な設計といえるでしょう。

駅ナカ施設への展開も視野に入る認証基盤

顔認証改札の導入は、改札通過の利便性向上にとどまらず、顔認証を本人確認手段として活用する基盤づくりの意味合いも持ちます。顔情報とICOCA IDを紐づけることで、将来的には駅構内のコインロッカーや無人サービスなど、駅ナカ施設への横展開も考えられます。

ICカードやスマートフォンの操作を必要としないサービスが実現すれば、駅利用全体の利便性向上につながる可能性があります。

実用化に向けた段階的な進化

新大阪駅に設置されていた従来型の顔認証改札機

JR西日本は、今回の実証実験で得られる利用状況や課題を踏まえ、他改札口や他駅への展開を検討するとしています。派手な演出を伴う実験的フェーズを経て、標準設備として普及可能な形へと移行する流れは、顔認証技術を社会実装していくうえで重要なプロセスです。

今回の新型顔認証改札機は、デモンストレーションから実用化に向けた段階的かつ堅実な進化として位置づけられる取り組みといえるでしょう。






出典・参考資料

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