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「博多・音羽公園」がPark-PFIで再整備!商業施設が森に溶け込む画期的デザイン、2027年冬オープン

福岡市は2025年8月、博多駅南一丁目にある音羽公園(面積5,338m²)の再整備と長期運営を目的とした「音羽公園整備・管理運営事業」において、大和リース株式会社福岡支社を代表とする企業グループを優先交渉権者に決定しました。本事業はPark-PFI制度を活用して実施され、2027年冬のオープンを予定しています。


Park-PFI制度とは


Park-PFI(公募設置管理制度)は、都市公園にカフェやレストランなどの収益施設を民間が整備・運営し、その収益を維持管理や更新に活かす仕組みです。

行政にとっては財政負担を抑えながら管理水準を向上でき、市民にとっては利便性が高まり、民間にとっては長期的な事業機会が確保できます。結果として、公園全体の魅力と滞在の質を高める制度として注目されています。


事業体制

優先交渉権者は大和リース福岡支社を代表とするグループで、以下の企業で構成されます。


  • axonometric株式会社

  • 株式会社エスティ環境設計研究所

  • 古賀緑地建設株式会社

建築設計や環境デザイン、緑地整備などの知見を持ち寄り、企画から施工、運営に至るまでを一体的に推進します


コンセプトと整備計画


掲げられたテーマは「Switch Park〜憩う音羽の森」です。都市に暮らす人々が、自然を感じながら過ごせる空間を提供することを目指しています。

整備内容は三つのゾーンで構成されます。


  • ひとつなぎの森:公園の起伏と建築を連続させ、屋上まで緑化することで自然と一体化した景観を形成。

  • せせらぎの森:高低差を活かした水の流れや浅瀬を整備し、安全に遊べる水辺空間を創出。

  • 寄り添う森:芝生広場や木漏れ日の中央広場を整備し、多様な過ごし方に対応。

さらに、レストランやカフェなど約6店舗を導入し、トイレや喫煙所などの基盤設備も充実させます


背景と都市政策との接続


この取り組みは、福岡市が進める**「都心の森1万本プロジェクト」**と連動しています。都市部に緑を増やし、自然と調和した環境を形成する狙いの一環です。

また、音羽公園周辺では駅前再開発を含む都市整備が進んでおり、今回の整備によってエリア全体の回遊性や居住環境の向上にもつながることが期待されています。


期待される効果

再整備によって、以下の効果が想定されています。


  • 居場所の多様化:建物を地形の一部として扱い、屋上を緑化することで、酷暑や雨天時でも快適に過ごせる空間を実現。

  • 日常利用の促進:飲食施設の導入で、昼休みや帰宅途中など短時間でも立ち寄れる公園に。

  • 自然体験の提供:芝生や水辺、木漏れ日の広場が都市生活に潤いを与える。

  • 地域連携の強化:地元事業者や市民団体との協働イベントにより、地域交流の拠点に。

  • 環境への寄与:屋上緑化や水景がヒートアイランド対策や環境教育の機会としても機能。

商業利用への視点


Park-PFIには「公園に商業施設を持ち込むこと」に対して懸念もあります。静かな憩いの場が失われるのではないか、という意見です。

音羽公園の計画では、商業施設は単に設置されるのではなく、公園の起伏と一体化した建物として設計され、屋上まで緑化されます。これにより緑と建築の境界があいまいになり、商業施設が公園に溶け込むように配置されます。

この手法は、商業機能を「異物」とせず「森の一部」として扱う点で画期的です。利用者にとっては安心して立ち寄れる居場所が増え、運営面では収益を清掃や植栽維持に充てることで、快適な環境を持続的に確保できます。

そのため、商業利用にアレルギーを抱く層にとっても、自然と調和する設計として受け入れられる可能性があります。


スケジュール

  • 2025年9月〜:設計開始

  • 2026年度〜:工事実施

  • 2027年冬〜:供用開始予定

まとめ


音羽公園の再整備は、都市と自然が調和する新しい公園モデルを提示する取り組みです。建物を公園の起伏と一体化させ、屋上まで緑化する手法は、都市部の公園整備に新しい方向性を示しています。

このモデルが定着すれば、他都市の公園整備にも応用可能であり、横展開の可能性も期待されます。都市のにぎわいと自然環境をどう共存させるかという課題に対して、音羽公園のプロジェクトは一つの実例として注目されます。


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