新名神はいまどうなっている? 「城陽第一高架橋」6車線化を起点に、未開通約36km・開通時期・6車線化・残る4車線3.5kmを整理



NEXCO西日本関西支社は2026年8月17日、京都府城陽市で建設中の新名神高速道路「城陽第一高架橋(鋼上部工)拡幅工事」を公告しました。

本工事は高架橋を6車線幅へ拡幅するもので、鋼重は約1,300t、工期は1,140日です。橋脚などの下部工でも、すでに6車線化に対応した拡幅工事が進められています。

ここで注目されるのが、未開通区間であるにもかかわらず、なぜ拡幅工事が実施されているのか?という点です。その背景には、新名神の計画が建設途中で見直された経緯があります。城陽第一高架橋が位置する大津JCT~城陽JCT・IC間25.1kmは、当初4車線を前提として整備が進められていました。しかし2020年に大津~城陽および八幡京田辺~高槻の区間について完成6車線化が事業化され、既に4車線仕様で施工されていた構造物についても、片側3車線の完成形へと設計変更が必要となりました。

この橋梁工事を起点として新名神全体を整理すると、現在は大きく分けて「未開通区間の整備」と「完成6車線への改良」の二つが並行して進められています。

新名神・甲賀土山~高槻の現在地



全体像は4区間に分けると分かりやすくなります。
区間 延長 現在 将来
甲賀土山IC~大津JCT 約28km 開通済み・6車線化中 6車線
大津JCT~城陽JCT・IC 25.1km 未開通 6車線化事業中
城陽JCT・IC~八幡京田辺JCT・IC 3.5km 暫定4車線で開通済み 完成6車線(※6車線化は未事業化)
八幡京田辺JCT・IC~高槻JCT・IC 10.7km 未開通 6車線化事業中
現在の未開通区間は大津~城陽25.1kmと八幡京田辺~高槻10.7kmの合計35.8kmとなります。一方で、城陽~八幡京田辺の3.5kmのみが2017年に先行開通しています。

なぜ4車線計画から6車線へ変更されたのか



大津~城陽区間は2012年に4車線整備として事業許可を受けました。その後、新名神に求められる役割が大きく変化し、2019~2020年にかけて6車線化が段階的に事業化されました。

背景には、新名神を単なる名神の補完路線ではなく、名神と並ぶ第二の東西基幹軸として位置付ける方針転換があります。
従来 現在求められる役割
名神の補完ルート 東西基幹軸としての機能強化
暫定4車線 片側3車線による安定した輸送容量の確保
交通分散機能 災害時の代替性・冗長性の強化
一般物流中心 ダブル連結トラックや自動運転など次世代物流への対応
単なる交通量増加への対応にとどまらず、物流効率や災害対応力を含めた道路機能そのものの高度化が進められている点が特徴です。

城陽第一高架橋では約1,300tの鋼材を追加



今回の城陽第一高架橋は、その計画変更を象徴する代表的な事例です。
項目 内容
工事名 城陽第一高架橋(鋼上部工)拡幅工事
場所 京都府城陽市
目的 6車線幅への拡幅
鋼重 約1,300t
工期 1,140日
公告日 2026年8月17日
2024年には橋脚などの下部工拡幅工事も発注されており、段階的に6車線化対応が進められています。

工程は以下の通りです。

橋脚・基礎の拡幅 → 鋼上部工の追加 → 6車線構造への移行

未開通区間で拡幅工事が行われているのは、当初4車線前提で施工された構造物を、後から6車線仕様へ変更しているためです。

大津~城陽25.1km 全線着手済みも宇治田原が最大の難所



 

東側区間では2026年6月末時点で用地取得100%、工事着手100%に達しています。ただし、工事着手済みであっても完成が近いとは限りません。



最大の課題は宇治田原IC周辺の大規模土工です。山砂利採取跡地の埋戻し地であり、軟弱地盤やコンクリート殻の存在が確認されていることから、地盤改良および掘削に時間を要しています。

NEXCO西日本が2025年12月に示した残工期の見通しは以下の通りです。
ケース 見通し
標準的な進捗 少なくとも3年以上
難航した場合 さらに1~2年程度延伸の可能性

八幡京田辺~高槻10.7km 最大の鍵は枚方トンネル



西側区間では2026年6月末時点で用地取得100%、工事着手99%まで進捗しています。高槻側では名神高速、国道171号、東海道新幹線、JR京都線、阪急京都線などを横断する大規模高架橋工事が進行中です。



一方で最大の難所となっているのが枚方トンネルです。

住宅地や工業団地の直下を通過する大規模シールドトンネルであり、安全対策や施工方法の見直しにより工程が遅延しています。NEXCO西日本は2025年12月時点で、「順調に掘進が進んだ場合でも2027年度の開通は困難」と公表しています。現在は2026年度冬頃の掘進開始を見込んでおり、掘削完了後に改めて開通時期を示す方針です。

新名神の全通はいつ? 正式時期は未定、2030年以降になる可能性が高い



2026年8月時点において、新名神の全通時期は正式には公表されていません。ただし、現時点の工程を踏まえると、2029年頃の全通は現実的には厳しく、2030年以降となる可能性が高いと見られます。
区間 最新状況 見通し
大津~城陽 残工事3年以上 2029年前後以降
城陽~八幡京田辺 開通済み 2017年供用
八幡京田辺~高槻 2027年度開通困難 新目標未定
大津~高槻全通 未定 2030年以降となる可能性が高い
これは公式な開通年度ではなく、公表されている工事工程からの整理に基づく見通しです。

開通時は暫定4車線が基本

大津~城陽および八幡京田辺~高槻は、いずれも完成6車線として事業化されています。

しかし、これまでの整備方針では開通時は暫定4車線が基本とされています。

そのため現時点では、

① 暫定4車線での供用開始
② 6車線化工事の継続
③ 完成区間から順次3車線化

という段階的整備が想定されます。

城陽第一高架橋のように開通前から6車線構造を整備する例もありますが、全線が供用開始時点で6車線となることが確定しているわけではありません。

6車線化は既に部分的に進行



既開通区間である甲賀土山~大津では、供用を継続しながら6車線化が進められています。

2026年5月には、信楽IC~大津JCT間の金勝山トンネル付近約4.8kmにおいて、下り線の片側3車線運用が開始されました。

このように新名神の6車線化は、一括完成ではなく区間ごとに段階的に進められる方式が採用されています。

最後に残る課題は「城陽~八幡京田辺3.5km」



将来的に残る課題の一つが、2017年に暫定4車線で開通した城陽JCT・IC~八幡京田辺JCT・IC間3.5kmです。この区間も計画上は完成6車線ですが、2026年8月時点では事業化されていません。

そのため、全体が完成した場合でも、

【大津】━6車線━【城陽】━4車線(3.5km)━【八幡京田辺】━6車線━【高槻】

という構成が一時的に残る可能性があります。

さらにこの区間は、京奈和自動車道および第二京阪道路と接続する交通結節点であり、将来的なボトルネックとなる可能性も指摘されています。京都府は2026年6月に同区間の6車線化を国へ要望していますが、事業化時期は未定です。

新名神の完成までの3段階



現在から完成形までの流れは以下の通りです。
段階 状態
① 現在 未開通区間の整備と6車線化工事が並行進行
② 全線開通 約36kmを暫定4車線で接続
③ 完成形 6車線化の進展により東西基幹軸として完成
新名神は単に「未開通区間をつなぐ道路」ではなく、名神と並ぶ6車線の東西基幹ネットワークへと段階的に進化している道路です。

今回の城陽第一高架橋における約1,300tの拡幅工事は、その過程を象徴する事例といえます。

今後の最大の焦点は、大津~高槻間の全通時期がいつ正式に示されるかです。

現時点では未定ですが、工事の難易度と残工程を踏まえると、2030年以降となる可能性が高い状況です。




出典

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