大阪府×Peach、関空のさらなる成長へ本格連携!新たな航空需要を創出、「関西の主力キャリア」としてPeachを育てる可能性



大阪府とPeach Aviationは2026年9月3日、関西国際空港のさらなる成長に向けた事業連携協定を締結しました!

大阪府が持つ行政ネットワークや観光・地域資源と、関空を主要拠点とするPeachの航空ネットワーク、情報発信力を組み合わせ、新たな航空需要の創出、関空発着路線の利用促進、大阪府全体の活性化を共同で進めます。今回の協定で注目したいのは、単なる観光PRではなく、「関空を利用する需要そのものを増やす」ことを明確に掲げた点です。

関空の次の成長に必要なのは、関西が生み出す巨大な航空需要を使い、自ら路線網を育てる主力キャリアを持つことです。その最も現実的な候補がPeachではないでしょうか。

大阪府×Peach、観光PRから「航空需要の創出」へ



協定締結式には吉村洋文大阪府知事とPeachの大橋一成CEOが出席しました。

両者はこれまでも、大阪・関西万博に合わせた機内アナウンスや、関空―シンガポール線就航時の大阪観光PRなどで連携してきました。今回は、こうした個別施策を関空の成長を共通目標とする継続的な枠組みへ発展させた形です。
分野 主な連携内容
航空需要 新たな需要の創出、関空発着路線の利用促進
観光 大阪の文化・観光資源を国内外へ発信
販促 Peach就航地での共同プロモーション
情報発信 機内媒体、イベントなどを活用
地域 関空周辺を含む大阪府全体の活性化
吉村知事は2030年の大阪IR開業や万博跡地のまちづくりも見据え、関空とPeachを大阪・関西の成長を支える重要なインフラと位置付けています。一方、今回の協定で新路線や増機、Peachのハブ化が決まったわけではありません。現時点では、需要創出と利用促進の枠組みです。

それでも、大阪府自身が航空需要の拡大に踏み込んだ意味は小さくありません。

巨大な京阪神市場を持ちながら、関空には強い「ホームキャリア」がない



関空の2025年旅客数は約3,410万人。国際線を中心に成長を続けています。

その背後には、大阪・京都・神戸を中心とする巨大な京阪神大都市圏があります。人口、経済、製造業、商業、大学、観光資源が高密度に集積し、大阪・京都は世界有数の国際観光地でもあります。

それにもかかわらず、関空には現在、国内線・国際線・長距離線を大規模に束ね、関空そのものをネットワークの中心として育てる日系FSCの巨大ハブはありません。

もちろん、外国航空会社の就航は関西にとって大きなメリットです。直行便が増え、運賃競争が生まれ、訪日客も増えます。

ただし、地域戦略として見ると別の課題があります。海外航空会社が関空線を増便すれば、その需要はソウル、台北、香港、シンガポールなど各社の本国ハブへ接続し、そのネットワークを強くします。

一方、関空を本拠地とする航空会社が強くなれば、

札幌 → 関空 → 海外
仙台 → 関空 → 海外
海外 → 関空 → 九州


といった需要を、関空自身が束ねられるようになります。

関西が生み出す需要を、関空の路線網、機材配置、運航・整備・販売機能、雇用へどこまで還流させられるか。

ここが関空の次の成長を左右します。

ANAは首都圏、Peachは関空 だからこそPeach強化が現実的



では、誰がその役割を担うのか。

現時点で最も現実的なのがPeachです。

ANAグループの中期経営戦略では、ANA本体の国際線を羽田・成田中心に拡大する一方、Peachには関空を中心とした国際線拡大と、ANA未就航市場の開拓を担わせています。
Peach 公表されている方向性
事業規模 2030年度の座席キロを2025年度計画比で約1.3倍
売上高 1,370億円 → 2,000億円規模
国際線売上比率 40% → 50%
機材 2028年度末42機を想定
A321XLR 2028年度から導入予定
戦略 関空中心に国際線・中距離市場を拡大
※数値はPeach全社ベースです。

ここで必要なのは、Peachを従来型FSCへ変えることではありません。Peach最大の武器であるLCCの低コスト構造を維持したまま、FSCが持つ「路線をつなぐ機能」だけを強化する方が合理的です。
強化すべき機能 狙い
接続旅程の一体販売 国内線+国際線を1つの商品として販売
乗り継ぎ保証 遅延時の振替・保護を強化
手荷物手続き 乗り継ぎ時の負担を軽減
接続ダイヤ 国内線と国際線を相互送客
法人・海外販売 出張・高単価需要も取り込む
他社との連携 欧米など長距離FSCへ接続
つまり、サービスをFSC化するのではなく、ネットワークをFSC化するという考え方です。

Peachはすでに一定条件下で自社便同士の乗り継ぎに対応し、2026年には自社起因の大幅遅延・欠航時に宿泊費や交通費を補償する制度も導入しました。さらに2028年度からA321XLRが加われば、現在の東アジア・東南アジア中心のネットワークを、より遠い中距離市場へ拡張する余地も生まれます。

仮に国際線網が大きく広がれば、「点」が「網」に変わる



ここからは公表計画ではなく、将来の可能性を考えるための仮定です。

2026年冬ダイヤでは、Peachは関空から国内線10路線、国際線8路線を展開しています。仮に将来、関空発着の国際線が現在の約2倍となる16路線程度まで広がった場合、ネットワークにはどの程度の厚みが生まれるのでしょうか。
Peach関空発着 現在 仮定
国内線 10 10
国際線 8 16
合計 18 26
国内×国際の組み合わせ 80 160
国際線同士の組み合わせ 28 120
※単純な組み合わせ数であり、実際に利用できる乗り継ぎ旅程数ではありません。

国際線は2倍ですが、国際線同士の組み合わせは28通りから120通りへ増えます。もちろん需要が4倍になるわけではありません。ただ、路線網が一定規模を超えると、個々の路線が独立した「点」から、互いに需要を送り合う「網」へ変わることが分かります。

関西発着だけでは毎日運航するほどの需要がない路線でも、
  • 京阪神からの直行需要
  • 北海道・東北・九州からの乗り継ぎ
  • 海外からの乗り継ぎ
  • 関西滞在を組み込んだ周遊需要
を束ねれば、就航や増便の可能性が広がります。仮に新たな8路線を180席級の機材、搭乗率85%で通年運航した場合、単純計算では次の輸送規模になります。
運航頻度 年間搭乗者数〈延べ〉
各路線1日1往復 約89万人
各路線1日2往復 約179万人
これは需要予測ではなく、新設便の輸送規模を示す試算です。他社便や既存便からの移行もあるため、関空全体の利用者がそのまま90万~180万人純増するわけではありません。

重要なのは、国際線が国内線を支え、国内線が国際線を支える循環が生まれることです。ここまで進めばPeachは、「関空から安く飛ぶLCC」から、関空を中心に路線網を形成する航空会社へ性格を変え始めます。

Peachを「関西から最も多くの都市へつながる航空会社」へ



Peach自身が大型機を大量導入し、ニューヨークやロンドンまで自前で飛ぶ必要はありません。Peachが国内線、東アジア、東南アジア、中距離国際線を強化し、その先をJAL、ANA、外国FSCなどへつなげればよいのです。

国内・アジア → Peach → 関空 → 長距離FSC

という役割分担です。

そのためには、Peach側だけでなく関空側の改善も必要です。第2ターミナルとFSCが集まる第1ターミナルの接続、手荷物、乗り継ぎ案内、遅延時対応などを整えなければ、本格的なネットワークは形成できません。

今回の大阪府×Peach協定も、将来的にはPeach、ANAホールディングス、関西エアポート、自治体、経済界を含む広い取り組みへ発展させる余地があります。

関空が今後4,000万人、さらに5,000万人級へ成長するとしても、旅客数が増えるだけでは十分ではありません。関西の需要を使って、自ら必要な路線を育てる力を持てるか。そこが重要です。

そして、その主役候補として最も現実的なのがPeachです。Peachを「安い航空会社」から、「関西から最も多くの都市へつながる航空会社」へ。

大阪府とPeachの連携は、関空の次の成長モデルを考えるうえで、その可能性を示す第一歩として注目されます。




主な出典

  • 大阪府「Peach Aviation株式会社と大阪府との事業連携協定締結について」
  • Peach Aviation「2026年冬ダイヤ」「乗り継ぎをされるお客さま」
  • ANAホールディングス「2026~2028年度 ANAグループ中期経営戦略」
  • ANAグループ「価値創造ロードマップ2030」
  • Aviation Wire/AIRLINE web 大阪府・Peach事業連携協定関連報道
  • 関西国際空港 ターミナル・乗り継ぎ案内
 

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