
大阪市西区は2026年10月23日、2029年春に閉校予定の「大阪市立九条東小学校」跡地について、新たなマーケット・リサーチを開始すると発表しました。
今回の特徴は、学校敷地約5,400㎡だけでなく、隣接する公園などを含めた約1.1haの一体開発を検討対象としたことです。老朽化した公共施設の建て替えも視野に入れ、民間事業者から具体的な活用提案を募ります。
背景には、京阪中之島線の九条方面への延伸を含む鉄道ネットワークの整備構想があります。大阪市は交通条件の変化によって土地の市場性が高まる可能性を踏まえ、2024年度に続く再調査に乗り出しました。
学校敷地の約2倍、1.1haの一体開発を視野に
九条東小学校は、大阪メトロ中央線と阪神なんば線が交差する九条駅の近くに位置します。商業地域に指定された敷地は容積率400~600%で、住宅や商業施設など幅広い用途に対応できる立地です。| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 所在地 | 大阪市西区九条2丁目6番1 |
| 学校敷地面積 | 約5,400㎡ |
| 周辺を含む検討区域 | 約11,000㎡(1.1ha) |
| 用途地域 | 商業地域 |
| 指定容積率 | 400%・600% |
| 指定建ぺい率 | 80% |
| 既存建物延床面積 | 約4,544㎡ |
| 運動場面積 | 約2,150㎡ |
| 学校統合 | 2029年春予定 |
都市計画公園の移設や道路の廃止・付け替えも検討の余地がありますが、実施には関係法令に基づく手続きが必要です。現段階では開発区域や施設配置は確定していません。
京阪中之島線延伸が再調査の背景に

今回の市場調査には、九条駅周辺の交通結節機能が将来的に強化される可能性が反映されています。
大阪府・大阪市は2025年度、夢洲への北側からの鉄道アクセスについて、京阪中之島線を延伸して九条駅へ接続する案を含めて検討しました。2026年度には京阪中之島線延伸に加え、なにわ筋連絡線・新大阪連絡線についても、関係者と事業化の検討を進めています。
九条駅にはすでに大阪メトロ中央線と阪神なんば線が乗り入れ、夢洲、大阪都心、神戸方面へのアクセスを確保しています。京阪中之島線の延伸が実現すれば、中之島方面との接続が加わり、交通利便性のさらなる向上が期待されます。
大阪市はこうした環境変化を踏まえ、従来の調査では把握できなかった需要も含めて、改めて民間事業者の参画意向を確認する方針です。
ただし、京阪中之島線の延伸ルートや整備時期は確定しておらず、跡地開発との一体整備が決まったわけではありません。
先行調査では住宅・商業・教育施設に関心
大阪市が2024年度に実施した調査では、回答した34事業者のうち10社が新築・増築、7社が既存校舎の活用に関心を示しました。さらに16事業者へのヒアリングで、22件の活用アイデアが確認されています。
| 想定用途 | 提案件数 |
|---|---|
| 教育施設 | 6件 |
| 住宅 | 5件 |
| 商業施設 | 5件 |
| 住宅・商業等の複合施設 | 4件 |
| 医療・福祉施設 | 2件 |
| 合計 | 22件 |
一方、住宅・商業開発では敷地の効率的な利用が重視され、従来の避難所機能をそのまま維持することは難しいとの回答が多くありました。民間事業としての収益性と公共機能の確保が、計画を具体化するうえでの課題となっています。
土地は売却せず、防災・公共機能の維持を条件に
大阪市は土地を売却せず、民間事業者への貸付を基本とする方針です。既存校舎を活用する場合は建物の売却または賃貸、新築する場合は校舎を撤去したうえで土地を貸し付ける方式を想定しています。| 区分 | 活用条件 |
|---|---|
| 必須 | 災害時避難所など地域防災拠点機能の確保 |
| 必須 | 選挙時の投票所の確保 |
| 必須 | 区内の老朽公共施設の建て替え |
| 任意 | 納涼大会など地域行事の活動スペース |
約1.1haへの区域拡大によって土地利用の選択肢は広がりますが、公園・道路の再編や防災機能の維持には行政と地域の調整が必要です。民間事業者がどのような事業モデルを提示するかが、計画の方向性を左右します。
2029年度に事業者公募、2030年度以降に決定へ
大阪市は2026年11月5日に現地見学会を開催し、12月1~22日に民間事業者との個別対話を実施します。| 時期 | 予定 |
|---|---|
| 2026年11月5日 | 現地見学会 |
| 2026年12月 | 民間事業者との個別対話 |
| 2027年度 | 活用計画案の策定 |
| 2028年度 | マーケット・サウンディング |
| 2029年春 | 九条東小学校の統合 |
| 2029年度 | 跡地活用事業者の公募 |
| 2030年度以降 | 事業者決定・契約・土地引き渡し |
九条駅周辺の新たな都市機能集積につながるか

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今回の検討は、学校跡地というまとまった市有地を活用し、住宅・商業需要への対応と公共施設の更新を同時に進めようとする取り組みです。約1.1haの一体開発が実現すれば、九条駅周辺の生活利便性や公共サービスの充実につながる可能性があります。さらに将来の鉄道ネットワーク整備が進めば、土地利用の選択肢も広がります。一方で、土地の貸付方式や防災機能の確保など、事業者が満たすべき条件は少なくありません。2026年12月の民間事業者との対話は、一体開発の実現可能性と具体的な用途を見極める重要な段階となります。
出典・参考資料
- 大阪市西区(2026年10月23日)
九条東小学校跡地活用にかかるマーケット・リサーチの実施について - 大阪市西区(2025年3月12日)
第3回再編整備後の九条東小学校校地活用検討会議 - 建設技術研究所(2025年3月12日)
九条東小学校校地活用マーケットリサーチ ヒアリング結果報告(PDF) - 大阪市西区(2025年12月23日)
第4回再編整備後の九条東小学校校地活用検討会議
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