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【大阪市】消防職員の訓練や人材育成の拠点『高度専門教育訓練センター』を咲洲へ移転整備 基本設計業務の公募型プロポを公告!



 

大阪市は、消防職員の訓練や人材育成の拠点となっている「高度専門教育訓練センター」(所在地:東大阪市三島2丁目)を住之江区の咲洲エリアへ移転し、機能を拡充した新施設として建て替える方針です。これに先立ち、7月9日付で「基本設計業務委託」の公募型プロポーザルを公告しました。

契約上限額は1億3,667万9,000円(税込)で、契約期間は2027年3月19日までとされています。参加申請の締切は7月29日(火)、技術提案の締切は8月22日(金)となっており、ヒアリング審査を経て、9月5日(金)に選定結果が通知される予定です。

咲洲への移転理由──安定した訓練環境と防災拠点化を両立

現センターは1976年に開設され、老朽化が進んでいるほか、周辺の宅地化により消防訓練の内容に制約が生じていました。こうした課題に対応するため、市は2025年3月に「高度専門教育訓練センター施設整備基本計画」を策定し、移転先として咲洲エリアを選定しました。

新たな整備予定地は、住之江区南港北2丁目57(敷地面積:40,043㎡)で、用途地域は準工業地域です。建ぺい率は60%、容積率は300%。敷地の北側にはメガソーラー施設、西側には大阪南港野鳥園があり、周辺には民間の物流施設が立地しています。こうした立地特性から、宅地化の可能性が低く、火災・煙・騒音・水難などを伴う訓練に適した環境と評価されています。

訓練・備蓄・災害対応を一体化──延床1.6万㎡超の複合施設

新センターは、消防職員の能力強化を図る訓練機能に加え、大規模災害時の中枢防災拠点、災害救助物資の備蓄機能も併せ持つ複合型施設として整備される計画です。

想定される主な施設構成は以下の通りです。


施設名 構造 延床面積(㎡)
管理棟 S造・4階建 5,670
総合訓練施設 RC造・地下1階地上7階建 2,585
救助訓練施設 S造・6階建 1,340
屋内・水難訓練施設 RC+S造・3階建 1,410
常駐消防隊施設 S造・2階建 1,130
災害備蓄倉庫 S造・2階建 4,140
街区訓練場(模擬家屋) 可動型 756

このほか、大規模災害訓練場(5,000㎡)や風水害訓練場(200㎡)など、屋外訓練スペースも整備される予定です。

プロポーザル参加要件──設計実績と有資格体制が求められる

参加資格は、大阪市の「建築設計・監理」区分で入札参加資格を有する一級建築士事務所であることが条件となります。加えて、2005年度以降に官公庁から発注された延床7,000㎡以上の消防研修施設や消防学校の設計実績を有することが求められています。

一次審査では、参加申請書類や設計実績などから5者程度が選定され、二次審査では技術提案書とヒアリングを通じて最優秀提案者が決定されます。

今後の主なスケジュールは次の通りです。


項目 日程
参加申請締切 2025年7月29日(火)17:00
技術提案書提出 2025年8月22日(金)17:00
ヒアリング審査 2025年9月1日(月)
選定結果通知 2025年9月5日(金)

基本設計終了後は、2027年度に実施設計、2028年度に着工、工期は36カ月を予定しており、2031年度中の供用開始を目指しています。概算事業費は約116億6,000万円(税込)で、基本計画の策定は安井建築設計事務所が担当しました。

咲洲エリアの防災拠点化と都市再生の契機にも

咲洲エリアは、大阪府咲洲庁舎やインテックス大阪など広域機能が集積しており、南海トラフ地震などの大規模災害を想定した際の後方支援拠点としての活用が期待されています。新センターは、実践的な消防訓練施設であると同時に、こうした広域防災体制の一翼を担う拠点にもなります。

また、バブル期の開発以降、十分に活用されてこなかった咲洲地域の都市資源を再活用する意味でも、本プロジェクトは注目されています。防災・訓練・物流の各機能が連携することで、咲洲の新たな価値創出にもつながると見られます。






【出典・情報元】

  • 「高度専門教育訓練センター新築工事基本設計業務委託 公募型プロポーザル募集要項」(大阪市消防局/2025年7月9日公告)

  • 「高度専門教育訓練センター施設整備基本計画」(大阪市消防局/2025年3月策定)

  • 建設通信新聞

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