関西・鉄道7社による「関西MaaS検討会」が発足。交通機関のサブスクリプション化が進行する!?

 大阪メトロとJR西日本、関西私鉄5社は2019年10月31日に、さまざまな交通手段を一元的に利用できるようにするサービス「MaaS(マース)」の実用化に向けて「関西MaaS検討会」を発足させたと発表しました。

MaaSはスマートフォンのアプリなどで、電車やバスをはじめタクシー、カーシェアリングなど多様な移動手段を一元的に予約、決済できるようにするサービスです。訪日外国人客でも旅行が容易になるほか、大勢の利用者によるビッグデータを新たなサービス開発に活用できるメリットも見込まれ、欧州や米国などで開発が進んでいます。検討会は2025年大阪・関西万博開催までの実用化を視野に検討を進め、来年度中をめどに関西圏におけるMaaSの将来像や、具体的なシステム構築のあり方を議論する予定です。

 

 

MaaS(マース)って何?


出展:https://time-space.kddi.com/ict-keywords/20191025/2762

MaaSマース)はMobility as a Service」の略。「あらゆる交通手段を統合し、ワンストップで予約・決済・利用できるようにする概念」を指さします。新しい概念の様に流行しており、定義にばらつきが有りますが、大雑把に言うと、電車やバスなどの公共交通機関をはじめ、タクシーやライドシェア、サイクルシェア、飛行機、船など、各移動サービスの予約や決済などが一つのプラットフォーム、いわば一つのアプリ上で行うことができるようにするイメージです。

 

 

 

交通機関のサブスクリプション化が交通革命を引き起こす?


Photo/Getty Images

 

欧州ではすでにMaaSが実用段階に入っており、デファクト・スタンダードとなりそうなアプリも登場しています。フィンランドのIT企業であるマース・グローバルが提供しているWhim(ウィム)アプリは、本国のヘルシンキを始め、ベルギーや英国などの都市で使われています。

 

ウィムの利用者が、行きたい場所をアプリで指定すると、最適なルートと料金がいくつか表示されるので、希望のルートを選択すれば、決済が完了すします。スマホ上で発効された電子チケットを各交通機関で係員に見せれば、そのまま乗車することができます。

料金については、交通機関ごとに支払う方法に加えて、月額固定料金が選択できます。たとえばヘルシンキのサービスでは、月額49ユーロを選択すると、タクシーやレンタカーなどが上限付きで自由に利用できるほか、月額499ユーロを選択すれば、基本的にほぼすべての乗り物が無制限で利用になります。サービスが普及すれば、固定料金を選択する人の割合が増える可能性が高く、公共交通機関は事実上、サブスクリプションモデル(定額利用モデル)に移行する事になります。

しかし交通機関のサブスクリプション化が実現すると、鉄道やバスといった交通機関は価格面での主導権を失ってしまうので、日本ではそう簡単に事はすすまないでしょう。しかし、テック企業によるパラダイムシフトが様々な業種で起こっており、鉄道など交通インフラ業にも変革の波が押し寄せる日はそう遠く無いと思います。