フランス、ボルドーのガロンヌ川沿いにビャルケ・インゲルスが率いる建築設計事務所BIGとFREAKSが手がけたボルドーのループするMÉCAカルチャーセンターが完成しました。Maison de l’Économie Créative et de la Culture en Aquitaineの頭文字をとってMÉCA(メカ)と名付けられたこの18,000平方メートルのセンターは、メディア・ライブラリー、パフォーマンス・スペース、アート・ギャラリーがあり、この街を「文化の震源地」として確立することを目指しています。
【出展元】
→https://www.la-meca.com/
建築家のビャルケ・インゲルスによると、「この建物は、かつての屠殺場とガロンヌ川の土手をつなぐ垂直ループを形成し、MECAの中心に中空の空間を作り、スロープでつながっている」とのことです。「アーバンルーム」と呼ばれるこの空間は、建物に独特の奥行きと透明感を与えています。その幾何学的な遊びと力強い線は、プロジェクトに躍動的な特徴を与えています。
MECAの建築が傑作である理由は、ループ状に機能を配した空間構成となっているためです。ゆるやかに傾斜したスロープには昼も夜も自由に入ることができ、散歩をする事ができます。建物の基部にある階段では座って休んだり、アートを鑑賞したり、屋外でのパフォーマンスを楽しんだりすることができます。MECAの巨大な広場からガロンヌ川の河岸に降りれば、ボルドーの中で、都会らしい気持ちのよい散歩をすることができるでしょう。
また、フランス人アーティスト、ブノワ・メールによるエルメスのブロンズ像も常設されており、「この地域の現代文化について考えてみる」ことを目的としています。
複合施設全体は何千枚ものプレハブコンクリートパネルで覆われており、サンドブラスト加工を施してボルドーの砂岩建築を彷彿とさせる質感を作り出しています。その色はユネスコの世界遺産である「月の港」の特徴であるベージュ色の石をイメージしています。何より圧倒されるのは、幾何学的な線と独特の量感です。クリーム色のコンクリートで作られた斬新なアーチ型の建物は、見る視点によって絶えず変化します。
MECAは、ボルドーの文化の新しい中心地として、人々が集まる活気のある場所になるよう構想されました。アーティストや作家、プロデューサー、映画監督、編集者、造形作家、振付家が、この公共施設で出会います。一般の人たちも大歓迎で、稽古や試写会、パフォーマンス、上映会、講演会に参加することができます。
大胆なワインの総合施設シテ・デュ・ヴァンCité du Vinやユニークな海と海洋の博物館Musée Mer Marine(MMM)に続いて誕生したMECA(メカ)。今回もボルドーは人々をあっと言わせました。
どうして日本にはこのような面白い独創的なインパクトある建築ができないのだろう