六甲アイランド・AOIA跡地4.37ha、事業者選定段階へ 文化・教育・スポーツを軸に集客施設を整備、9月中旬に優先交渉権者決定


出展:GoogleMAP

神戸市が、六甲アイランド南部のAOIA(アオイア)跡地で進める土地活用が、事業者選定の段階に入りました。

対象は、神戸市東灘区向洋町中9丁目にある市有地43,739.77㎡、約4.37ha。2026年7月31日に応募を締め切り、8月下旬に資格審査とプレゼンテーションを実施したうえで、9月中旬に優先交渉権者を決定する予定です。

今回の公募で特徴的なのは、住宅を対象とせず、文化・教育・スポーツ関連施設などの「賑わい・集客施設」に用途を絞ったことです。

事前の市場調査では住宅の市場性が比較的高く評価される一方、大規模商業施設には商圏やアクセス面から慎重な意見が示されました。その中で神戸市は、4.37haの大型区画を住宅として開発するのではなく、島外からの来訪を生み出す用途に充てる方針を選びました。

六甲アイランド南部の今後の土地利用を考えるうえで、今回の事業者選定は大きな節目となります。

4.37haを20年間貸し付け 最低賃料は年間約1.15億円


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公募対象地は、六甲ライナー「マリンパーク駅」の南側に広がるAOIA跡地の一部です。
項目 内容
所在地 神戸市東灘区向洋町中9丁目1番1の一部
面積 43,739.77㎡(約4.37ha)
用途地域 商業地域
建ぺい率/容積率 80%/200%
主用途 文化・教育・スポーツ関連施設等の賑わい・集客施設
付帯用途 一般利用できる飲食・物販施設など
貸付期間 土地引き渡しから20年間
最低月額賃料 220円/㎡
優先交渉権者決定 2026年9月中旬予定
契約 2026年12月中旬までを予定
応募者には、施設を建設・管理・運営できる資力、信用、技術力に加え、類似事業の実績が求められます。選定は賃料だけで決めるのではなく、事業計画や実施体制を含む総合評価方式です。最低賃料を敷地全体に当てはめると、月額は約962万円、年間約1億1,550万円。20年間では単純計算で約23.1億円となります。

実際の事業では、これに施設建設費や維持管理費、運営費が加わります。しかも土地の貸付期間は20年間です。施設の初期投資をどこまで抑え、年間利用者数や飲食・物販などの収益をどう積み上げるかが、事業成立を左右することになります。

単に大規模な施設を整備すればよいわけではなく、20年間で投資を回収できる事業モデルを構築できるかが重要です。

41企業・グループが参加 住宅は高評価、大規模商業には慎重

今回の公募に先立ち、神戸市はAOIA跡地約7.5haを対象にサウンディング型市場調査を実施しました。参加したのは41企業・グループです。住宅、商業、スポーツ、集客施設など、幅広い土地利用について民間事業者から意見を聞きました。
用途 市場調査で示された主な評価
住宅 立地条件への評価が高く、ファミリー・高齢者向けなどの可能性
大規模商業 商圏やアクセス面から事業化は厳しいとの意見
生活利便施設 周辺住民向けであれば一定の可能性
スポーツ 島内外からの利用が期待できるとの意見
集客施設 立地の可能性あり
開発手法 大規模区画の先行活用や段階的開発などの提案
結果を見ると、土地利用の方向性には明確な濃淡があります。

住宅については一定の需要を見込める一方、大規模商業施設は商圏や交通アクセスを考えると事業化のハードルが高い。これに対し、スポーツや集客施設には、島内需要だけでなく島外から利用者を呼び込める可能性が示されました。

こうした市場評価を踏まえ、神戸市は今回の4.37haを住宅用地とはせず、文化・教育・スポーツを中心とする用途に限定しました。

六甲アイランドは、住宅、業務、商業、文化施設などを計画的に配置して開発されましたが、その後は大型商業施設の撤退などもあり、島外から人を呼び込む機能はかつてより弱まりました。

今回の公募は、住宅をさらに積み増すのではなく、来訪目的となる機能を新たに加えることで、六甲アイランドの都市機能を再構成しようとする取り組みと見ることができます。

文化・教育・スポーツ+飲食・物販 複合型の提案も視野

公募条件では、特定の施設種別までは定められていません。

文化、教育、スポーツを中心に、体験型施設なども含めて幅広い提案が可能です。また、一般利用できる飲食・物販施設の併設も求められています。

このため、単一用途の施設というよりも、集客施設を核に複数の機能を組み合わせる事業が提案される可能性があります。

4.37haという敷地規模を生かせる一方、貸付期間は20年間に限られます。大型施設ほど建設費が膨らみ、投資回収期間も長くなるため、施設の規模や構造、運営方法には一定の制約がかかります。

どこまで大規模な投資を行い、どのような収益源を組み合わせるのか。事業者が提示する具体的な事業モデルは、今回の選定で最も注目される部分です。

AOIA跡地周辺でも土地利用が具体化



AOIA跡地周辺では、今回の4.37ha以外でも土地利用が動き始めています。神戸市が実施した別の市有地2,657.45㎡の土地利用条件付き入札では、学校法人八代学院が4億1,000万円で落札しました。同法人は、教育・研究機能や地域連携機能を備えた新校舎を整備し、2027年1月着工、2028年4月の運営開始を予定しています。
AOIA跡地周辺の主な動き 内容
今回の公募 約4.37haの文化・教育・スポーツ等施設用地
八代学院 約0.27haに教育・研究施設を整備
市場調査 AOIA跡地約7.5haを対象に実施
マリンパーク周辺 スポーツ・レジャー機能などの活用が進行
それぞれは独立した事業ですが、全体を俯瞰すると、長く未利用地が残っていた六甲アイランド南部で土地利用が段階的に具体化していることが分かります。教育・研究、スポーツ、レジャー、集客施設といった機能が加われば、住宅中心だった南部エリアの土地利用も変化する可能性があります。

9月中旬、焦点は「誰が、何を提案したのか」


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今回の4.37haは、AOIA跡地の中でも特に規模の大きな区画です。市場調査では住宅の事業性が確認された一方、神戸市は文化・教育・スポーツを中心とする集客用途を選択しました。民間事業者の採算性と、行政が求める都市機能をどこで両立させるかが、この公募のポイントです。

2026年8月下旬に資格審査とプレゼンテーションを行い、9月中旬に優先交渉権者を決定する予定です。

次に注目されるのは、どの事業者が選ばれ、4.37haにどのような施設と事業モデルを提案したのかです。




出典

  • 神戸市「六甲アイランド(文化・教育・スポーツ等施設用地)市有地貸付の実施」
  • 神戸市「六甲アイランド 向洋町中9丁目(AOIA跡地)の土地利用に関するサウンディング型市場調査結果」
  • 神戸市「六甲アイランド市有地貸付 神戸市公告」
  • 神戸市「六甲アイランド市有地 土地利用条件付き入札」
 

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