阪神5700系電車は、阪神電気鉄道が所有する各駅停車用の通勤形電車。愛称はジェット・シルバー5700。旧型ジェットカーの5001形、5131形・5331形の置き換えを目的として投入が始まり、2015年8月24日に営業運転を開始しました。
ジェットカーの愛称は、『従来の車両をプロペラ機にたとえるならこの車両はジェット機に匹敵するぐらいの加速・減速の良さである』という比喩から名付けられました。阪神5700系は、最高運転速度は91 km/hですが、起動加速度は4.0 km/h/sで圧倒的な加速力を誇ります。この特徴的な車両性能は、平均駅間距離が非常に短い阪神本線の各駅停車専用車として最適化された為で、こまめに停車し、急加速、急減速を繰り返進み、素早く待避駅に滑り込み、優等種別から逃げ切る為のカリカリ特化型セッティングとなっています。

阪神5700系ジェットシルバーのサイドビューです。ジェットカーとしては約半世紀ぶりにステンレス車体が採用されました。

ドア周りは「一期一駅」のおもてなしの心と青い地球をシンボリックにイメージした青い大円のグラフィックを配されています。これはドアの位置を容易に把握しやすくさせるとともに普通用車両の「やさしさ」を表現しています。

阪神5700系電車(ジェット・シルバー5700)は、2016年に阪神の車両としては初となる鉄道友の会の「ブルーリボン賞」を受賞しました。

側面の行き先表示器の様子です。フルカラーLEDが採用されている他、関西の鉄道車両では初めて次駅表示に対応しました。

車内の様子です。インテリアデザインは、吊り革、座席、床など、摂津灘をイメージした水模様が施されています。これは、車内でも一目で「普通列車」だと判るように配慮された為です。

シートの様子です。座席は片持ち式のオールロングシートで、出入口付近のスペースを拡大するために座席数はこれまでの8席から7席に減少しています。また、ドア間は2+3+2人掛けのレイアウトで途中2箇所にスタンションポールが設置されています。

シートの掛けごこちは、10年ほど前の「新世代車」に比べると柔らかく短時間乗車が勿体無い位です。

モケットデザインはこんな感じです。

最近の鉄道車両の標準的な装備となった大型の袖仕切りです。ただし、この5700系は他には見られない特異な形状をしています。

袖仕切りの一部が「くの字」型をしており、肘掛けの代わりになっています。

車いすスペース付近の様子です。

妻面の様子です。貫通扉は、ほぼ全面ガラスとなっています。

貫通扉には「ジェットシルバー5700」のロゴマークが。

優先座席付近の様子です。

優先座席のモケットは緑色で、つり革の色も緑色です。

妻面の化粧板は白色の木目調となっています。

床面のデザインは水面に写る太陽光をイメージさせるグラフィックが描かれています。

天井付近の様子です。蛍光灯グローブは省略され、直管蛍光灯型のLED照明が採用されました。

つり革は背の低い方でも使いやすい様に高さの異なるタイプが混在しています。

乗降ドアーの様子です。引き込み防止の警戒色はドアの左右端に配されています。床面の警戒色も申し訳程度の小ぶりなモノとなっています。

ドア横の扉開閉ボタンの様子です。使用可能な状態になると点灯します。

東芝インフラシステムズ製の32インチハーフワイド液晶方式の車内案内表示器です。阪急の最新型、1000系、13000系と同様のタイプです。

モニターは4ヶ国語対応、画面を分割して、案内表示と広告表示を同時に映す事も可能です。

このハーフワイド液晶モニタ、やはり非常に見やすいですね。メーカーのカタログを見ると42インチモデルも出ているので、より大型のハーフワイドモニタが登場する日が来るかもしれません。

もう一度、5700系の車内を見通した様子です。大型の仕切り袖ですが、奥行きが若干短いので予想よりも圧迫感を感じませんでした。

旧型の青胴車の置き換えの為に増備が始まった5700系。全ての旧型青胴車の置き換えが完了すれば、比較的車齢の若い車両群で統一される事になります。高架化の進展と合わせて、新型車両が行き交う光景を見ていると、下町の軒先ギリギリをかっ飛ばしていた。従来の阪神のイメージが刷新される事になりそうです。


