JR東日本は、2025年3月4日付けのニュースリリースで、2030年度に東北新幹線の新型車両「E10系」を導入すると発表しました！E5系およびE2系の後継車両として設計され、2027年秋以降に落成し、走行試験を実施した後、営業運転を開始する予定です。最高速度は現行と同じ320km/hを維持しながら、安全性や快適性、環境性能の向上を目指します。
東北の自然をイメージしたデザインを採用
外観デザインは、東北地方の山々をイメージした「津軽グリーン」と「イブニングエルム」の2色を基調とし、車両間には「桜の花弁」を模した曲線を取り入れました。デザインを手がけたのは、JR東日本の車両として初めて起用された海外デザインファーム「tangerine」。日本らしさを表現しつつ、洗練された新幹線のデザインを創出しています。
地震対策を強化し、安全性を向上
E10系では、次世代新幹線試験車両「ALFA-X」で培った技術を活用し、地震対策を強化します。逸脱防止用L型車両ガイドや左右動ダンパを採用し、地震時の揺れを吸収することで脱線や損傷を防ぎます。また、ブレーキ距離をE5系より15％短縮し、緊急時の安全性を向上させるほか、将来的な自動運転の導入に向けた機能搭載の準備も進めるとしています。
環境負荷の低減にも力を入れており、新幹線営業車両として初めて、冷却モーターが不要なブロアレス誘導電動機（自己通風型誘導電動機）を採用。さらに、車両駆動インバータに高効率SiC（シリコンカーバイド）素子を使用し、エネルギー消費の削減を図ります。また、車両の状態に応じた適切な保守を行う「スマートメンテナンス」システムを導入し、持続可能な鉄道運行を実現するとしています。
「TRAIN DESK」導入で快適な車内環境を提供
新型車両では、より快適な移動空間の提供を目指し、「TRAIN DESK」を発展させたサービスを導入します。座席のシート配列を2列＋2列とし、隣席とのスペースを拡大。座席間にはディバイダを設置し、遮音性やプライバシーを向上させるとしています。さらに、全席に電源コンセントとUSB電源を完備し、Wi-Fiルーターの増設によって通信環境も改善。大型荷物置き場の拡充や、車椅子に乗ったまま車窓を楽しめるスペースの設置など、バリアフリー環境の向上も図ります。
物流サービス「はこビュン」の柔軟性を向上
E10系では、物流サービス「はこビュン」の利便性を向上させるため、5号車に荷物輸送専用ドアを設置します。これにより、途中駅での積み下ろしが可能となり、新幹線を活用した物流の柔軟性が高まる見込みです。
今後のスケジュール
JR東日本は、2027年秋以降に試験車両を落成し、各種走行試験を実施した上で、2030年度内の営業運転開始を目指します。また、札幌延伸が予定されている北海道新幹線の運用車両についても、E10系をベースに検討するとしています。
次世代の新幹線として、安全性・快適性・環境性能を向上させたE10系。JR東日本は、新たな時代の移動手段として、より価値ある鉄道サービスの提供を目指しています。
