奈良県大和郡山市は、近鉄郡山駅前の商業施設「asmo大和郡山(アスモ大和郡山)」跡地で進める「近鉄郡山駅前店舗等公共駐車場共同開発事業」について、優先交渉権者を大和リース株式会社奈良支店に決定し、事業仮契約を締結しました。正式契約は2025年12月の市議会で審議される予定で、2026年の着工、令和10年度中(2028年度)の開業を見込んでいます。
1. 駅前整備の背景

大和郡山市は、近鉄郡山駅舎の移設に合わせて駅前広場やバスロータリーを整備する「近鉄郡山駅周辺整備事業」を進めています。その中心となるアスモ大和郡山は、旧西友大和郡山店を引き継ぎ2015年に開業した商業施設でしたが、2025年10月31日をもって閉館しました。
当初、市は日本アシストと公民連携で建替えを進める計画でしたが、同社が2025年初頭に撤退を申し入れたことで事業は一時停滞しました。
2. 土地取得方針と計画の立て直し
日本アシストの撤退を受け、大和郡山市はアスモ跡地を駅前整備の中核として位置づけ、市が土地を取得し、公的な管理のもとで再整備を進める方針を決めています。建物は2025年から解体工事に入る予定で、その後の複合施設整備へ向けて事業者選定が進められました。
3. 旧西友・アスモの沿革
跡地には1980年11月に「西友大和郡山店」が開店し、地上5階・地下1階、店舗面積8,024㎡の大型店舗として45年近く営業していました。しかし、ウォルマート傘下での事業再編やイオンモール大和郡山との競合を背景に、2015年4月に閉店しました。
同年11月には日本アシストが土地建物を取得し「アスモ大和郡山」として再開業しましたが、商環境の変化や施設老朽化の影響により、2025年10月31日に閉館しました。
4. 大和リースが優先交渉権者に
大和郡山市は2025年4月、新施設の設計・建設・運営を担う事業者を選定するため、公募型プロポーザルを開始しました。2社が参加を申し込みましたが1社が辞退し、2025年10月22日に大和リース株式会社奈良支店が優先交渉権者に選定されました。
大和リースは、大和ハウスグループの商業不動産ディベロッパーで、全国で「Frespo」「BRANCH」などの運営実績があり、PPP(公民連携)事業にも強みがあります。
5. 新施設の整備内容
大和郡山市と大和リースは事業仮契約および基本協定を締結しており、新たな複合施設は次の機能を備える計画です。
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公共駐車場:約200台
駅前の交通結節機能を高め、車利用者の利便性向上を図ります。 -
子育て世代活動支援センター
行政サービスを駅前に集約し、子育て支援の拠点として活用します。 -
食品スーパー(生鮮3品)
日常的な生活利便性を駅前に確保します。 -
飲食店・サービス店舗
駅前のにぎわい創出と回遊性向上が期待されます。
事業方式は定期借地権方式が想定されており、市は土地を保有したまま民間事業者が施設の整備と運営を担います。
6. 今後のスケジュール
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2025年12月:市議会で正式契約を審議
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2025年以降:市が土地を取得する手続きを進行
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2026年:複合施設の着工
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令和10年度(2028年度)中:複合施設の開業
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2030年度:近鉄郡山駅の移設および駅前広場整備の完了予定
アスモ跡地の再開発は、2030年度の駅舎移設に向けた重要な先行プロジェクトであり、駅前空間の段階的な再編が進められる見込みです。
【出典元】




