※以前に発表された将来イメージ。提案レベルだったので、現計画とは異なる可能性があります
堺市の中心市街地・堺東エリアにおいて、市街地再開発に向けた動きが本格化しました。東急不動産を代表企業とし、三菱地所レジデンス、関電不動産開発で構成する共同企業体（JV）が、北瓦町一丁地区市街地再開発準備組合の事業協力者に選定され、今後、再開発事業の基本計画策定を支援します。
対象地区は、南海高野線「堺東」駅から徒歩約4分に位置する北瓦町一丁地区です。堺市役所や官庁街、既存商業地に近接する堺市の中枢エリアで、堺市が2024年7月に策定した「堺東エリアの市街地整備に向けた基本的な考え方」において、先行的に取り組む3ゾーンの1つである「瓦町公園周辺ゾーン」に位置付けられています。
約1.0haの再開発、商業・住宅・広場を一体整備へ
※以前に発表された将来イメージ。提案レベルだったので、現計画とは異なる可能性があります
北瓦町一丁地区の面積は約1.0ha。用途地域は商業地域で、建ぺい率80％、容積率400％と、都心型の土地利用が可能な条件を備えています。地区内には瓦町公園（街区公園）や地下自転車駐車場といった公共施設も含まれており、これらを含めた一体的な再編が検討されます。
計画では、商業・サービス機能、都市型住宅、交流・憩いの広場などを組み合わせ、地区の新たな拠点を形成する方針が示されています。また、若年層や子育て世代の定住を意識した住環境整備や、既存商店街と共存する形での商業機能配置も想定されています。
回遊性と交通機能の改善も検討対象に
建物の更新にとどまらず、周辺エリアとのつながりを強化する点も計画の柱の一つです。阪神高速道路周辺を含めた歩行者動線の整理や、駐車場・駐輪場の再配置など、回遊性と交通利便性を高めるための検討が行われます。
堺東エリアでは、駅前でありながら人の流れが分断されている箇所が多く、再開発を通じた都市構造の再整理が求められてきました。本事業は、そうした課題への対応も担うことになります。
2030年前後の完成を視野、段階的に事業を進行
今後のスケジュールとしては、
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2026年度：都市計画決定
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2027年度：市街地再開発組合設立認可
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2028年度：権利変換計画認可
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2029年度：明渡しおよび工事着手
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工事完了の翌年：組合解散
という工程が想定されています。事業は長期スパンで進められ、2030年代初頭の完成が視野に入ります。
堺東の現在地：「更新タイミングを逃したした中心市街地」
堺東は、政令指定都市・堺市の行政・商業機能が集積する中枢エリアです。立地条件だけを見れば、高度利用が進んでいても不思議ではありません。しかし現状は、低未利用地の点在、老朽化した商業ストック、回遊性の乏しさ、若年層・子育て世代の流出といった、地方中核都市の中心市街地が共通して抱える課題をほぼ網羅しています。
重要なのは、需要そのものが消失しているわけではない点です。需要は存在しているものの、それを受け止める都市機能が更新されてこなかった。その歪みが、瓦町公園周辺ゾーンに集中的に現れています。
なぜ東急不動産JVなのか？「最大化」よりも「成立」を優先した判断
今回選定された東急不動産、三菱地所レジデンス、関電不動産開発の3社は、大都市圏と地方中核都市の双方で再開発を成立させてきた実績を持ちます。地権者調整や行政協議を含む難易度の高い案件を手堅くまとめ上げてきた点が評価されたと見られます。堺市が重視したのは、話題性や象徴性よりも、確実に進む計画であるかどうかだったと考えられます。
目指すのは「延命」ではなく「正常化」
堺市が示す整備方針は、地区拠点の創出、まちなか居住の促進、商業機能の活性化、回遊性・交通利便性の向上、持続可能な運営といった基本項目で構成されています。これらはいずれも新奇な施策ではありません。しかし、これらの「当たり前」を実装し直さなければならない段階に都市があること自体が、堺東の置かれた現実を物語っています。堺市の狙いは、一度途切れた都市機能の更新サイクルを、再び回し始めることにあります。
地味だが、都市の将来を左右する1ha
北瓦町一丁地区の約1.0haは、面積としては決して大きくありません。しかし、行政・商業・居住が交錯する堺東の中心部において、この再開発が成立するかどうかは、堺市が今後10年、都市として踏みとどまれるかどうかを占う重要な分岐点となります。しかし確実に進むこの再開発は、堺東再生の「第一歩」として、その行方が注目されます。
【出典元】
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東急不動産株式会社 ニュースリリース（2025年12月12日）
「堺市北瓦町一丁地区市街地再開発事業における事業協力者選定について」
