福岡市地下鉄七隈線、6両化が事業化へ!概算事業費は250億円→360億円、2027年度着手・2030年度の運行開始を目指す



福岡市地下鉄七隈線の6両編成化が、事業化に向けて大きく前進しました。

福岡市交通局は2026年9月9日、市議会生活環境委員会に「七隈線6両編成化に関する検討状況」を報告しました。現在の4両編成に中間車2両を追加し、駅施設や橋本車両基地を改修。2027年度に事業着手し、2030年度の6両編成運行開始を目指します。

概算事業費は約360億円。2023年時点の試算約250億円から約110億円増えました。それでも6両化が具体化した背景には、2023年3月の博多延伸後、七隈線の利用者が当初想定を上回るペースで増えていることがあります。

七隈線6両化の概要


項目 内容
現在 4両編成
6両化方式 既存編成に中間車2両を追加
概算事業費 約360億円
車両 約200億円
駅施設・車両基地 約160億円
事業着手 2027年度
6両運行 2030年度の開始を目指す
駅改修 ホーム端部整備、ホームドア設置など
車両基地 橋本車両基地の留置線延長
福岡市の公式資料では、2030年度から6両編成の順次運行開始を目指す工程が示されています。

さらにテレビ西日本(TNC)は、2030年度から年間最大8編成を6両化し、2034年度までに全25編成を6両編成とする方針と報じています。

250億円でも慎重だった計画が、360億円で動き出す



七隈線の6両化は、以前から検討されていました。2023年6月の福岡市議会では、ホームドアや信号設備などに約130億円、車両購入に約120億円、合計約250億円が必要と試算されていました。

当時の福岡市交通局は、多額の費用と相当な整備期間を要することから「課題が大きい」と説明。まずはオフピーク乗車の呼びかけなどで混雑緩和を図る姿勢を示していました。

それから約3年。今回示された概算は次の通りです。
2026年9月時点 概算
車両 約200億円
駅施設・車両基地 約160億円
合計 約360億円
2023年の試算から約110億円、44%増となりました。

新旧では費目の区分が異なるため個別項目の単純比較はできませんが、プロジェクト全体の負担が大きく増えたことは明らかです。それでも6両化が具体化した最大の理由は、博多延伸後の需要増です。

博多延伸で利用者が急増、需要予測も上振れ


出展:Wikimedia Commons:福岡市地下鉄路線図。(CC BY-SA 4.0)

2023年3月、七隈線は天神南駅から博多駅まで延伸しました。その後、輸送人員は急速に伸びています。
年度 1日あたり輸送人員
2023年度 約12.6万人
2024年度 約14.5万人
2025年度 約15.6万人(決算見込み)
2030年度 約19.1万人(最新実績を基にした参考値)
福岡市地下鉄長期ビジョンでは、2025年度の輸送人員を14.9万人と想定していましたが、実績見込みは15.6万人。すでに約7,000人/日上振れしており、最新実績を基にした参考値では2030年度に約19.1万人まで増える可能性が示されています。

博多延伸によって七隈線は、福岡市西南部と天神を結ぶ路線から、博多駅を介してJR、新幹線、地下鉄空港線へ接続する都市圏の幹線交通へと役割を広げました。その変化が、利用者数の急増として表れています。

まず増発、それでも足りなければ6両化


出展:Wikimedia Commons:七隈線博多駅ホーム(撮影:そらみみ様/CC BY-SA 4.0)

福岡市は6両化に先行して、列車本数の増強を進めています。

博多延伸後、朝7~9時台について2023年8月に2本、2024年3月に3本を増発しました。さらに車両増備を進め、2026年秋と2027年春にもダイヤ改正による増便を予定しています。

現在21編成の車両を25編成体制へ増強し、まずは列車本数を増やして対応。その先の抜本策として6両化を実施。4両から6両になれば、編成両数は1.5倍になります。

増発には運行間隔や折り返し能力などの制約があります。一方、編成そのものを長くすれば、1列車あたりの輸送力を直接引き上げることができます。七隈線の混雑対策は、「列車本数を増やす」段階から、「1本あたりの輸送力を増やす」、抜本的な対策を行うことになります。

既存4両編成に中間車2両を追加

 

今回の計画では、新たな6両編成を丸ごと導入するのではなく、既存の4両編成に中間車2両を追加する方式を採用します。TNCが報じた全25編成の6両化を前提にすると、新たに必要となる中間車は単純計算で50両です。車両関係には約200億円を見込み、車両製作と並行して駅施設や車両基地の改修を進めます。

駅ホームは既存空間を活用、橋本車両基地も改修


出展:Wikimedia Commons 七隈線の橋本車両基地(撮影:Rsa様/CC BY-SA 3.0)

駅側では、現在旅客用として使われていないホーム端部のバックヤードを活用します。床・壁・天井などを仕上げ、新たに使用する部分へホームドアを設置。ホームをゼロから大幅に延伸するのではなく、既存駅内に確保されている空間を旅客用に整備することで6両編成に対応します。

橋本車両基地でも、4両編成を前提とした留置線を2両分延長し、6両編成を収容できるようにします。

2027年度着手、2030年度の運行開始を目指す

福岡市が示した工程は次の通りです。
年度 主な動き
2026年度 車両増備・増発、6両化の検討
2027年度 6両編成化事業に着手
2027年度以降 車両製作、駅・車両基地の設計・工事
2030年度 6両編成の順次運行開始を目指す
これに加え、TNCは福岡市の方針として、2030年度から年間最大8編成を6両化し、2034年度までに全25編成を6両化する計画と報じています。当面は増発で需要増に対応し、その間に車両製造と施設改修を進める二段構えの計画です。

博多延伸で変わった七隈線、その輸送力を次の段階へ



博多延伸によって七隈線は、福岡市西南部と都心を結ぶ路線から、博多駅を介して広域交通ネットワークへ接続する路線へと役割を変えました。そして、その変化は当初予測を上回る利用者増として現れています。

約250億円でも課題が大きいとされていた6両化が、概算約360億円に膨らんだ段階で具体化したことは、七隈線を取り巻く需要環境が大きく変わったことを象徴しています。

まず増発で当面の需要を吸収し、その先に6両化を投入する。2030年度から始まる次の輸送力強化は、博多延伸によって成長した七隈線を、その需要規模に合わせてアップデートするプロジェクトとなります。




出典

  • 福岡市議会・生活環境委員会「七隈線6両編成化に関する検討状況について」(2026年9月9日)
  • 福岡市議会・2023年6月22日本会議議事録
  • 福岡市「令和8年度当初予算案等の概要・交通局」
  • 福岡市地下鉄「中期経営計画2025-2028」
  • テレビ西日本(TNC) 七隈線6両編成化関連報道
 

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