東京都葛飾区で、人気サッカー漫画『キャプテン翼』の世界観を取り入れた、新たな球技専用スタジアムの構想が具体化しています。
葛飾区は2026年10月9日、施設の基本理念や役割を示す「スタジアムのあるべき姿」を公表しました。計画地はJR新小岩駅から徒歩約7分の「東新小岩運動場」で、東京23区初となるJ1規格の球技専用スタジアムを目指し、2027年度から事業化に向けた検討を本格化させる方針です。
構想では、サッカーの試合開催に加え、世界的な知名度を持つ『キャプテン翼』を活用した観光誘客や地域交流を推進。試合のない日にも人が集まる施設を整備し、新小岩周辺のにぎわい創出と地域経済の活性化を目指します。
新小岩駅徒歩7分、1万5,000人規模のスタジアムを構想
建設候補地は、葛飾区が2024年3月に取得した約6.8haの運動場。現在は陸上競技場や野球場、テニスコートなどがあり、2026年2月には都市計画公園として計画決定されました。新たな構想では、スタジアムを中心に公園や広場、交流施設などを整備し、地域住民も日常的に利用できる空間を目指しています。
| 項目 | 計画概要 |
|---|---|
| 計画地 | 東京都葛飾区東新小岩1丁目18番1号 |
| アクセス | JR新小岩駅北口から徒歩約7分 |
| 敷地面積 | 約6.8ha |
| 施設 | J1規格を視野に入れた球技専用スタジアム |
| 収容規模 | 1万5,000人以上を想定した試算 |
| 概算整備費 | 約230億〜330億円 |
| 主な機能 | スタジアム、公園、飲食・交流・展示施設など |
| 構想策定 | 2027年3月予定 |
| 事業化検討 | 2027年4月以降 |
| 完成・開業 | 未定。2032〜2035年度を目指すとの報道 |
なぜ「キャプテン翼」なのか? 世界的な人気を地域の集客力に

出展:葛飾区商店街連合会
『キャプテン翼』の原作者、高橋陽一氏は葛飾区出身で、都立南葛飾高校の卒業生です。作品に登場する「南葛」の名称も母校に由来しています。葛飾区では、京成四ツ木駅の装飾やキャラクター銅像の設置など、作品を生かした地域振興を進めてきました。また、高橋氏が代表取締役社長を務める「南葛SC」も、葛飾区を拠点にJリーグ参入を目指しています。今回の構想は、こうした地域とのつながりを生かし、新たなスポーツ・観光拠点の形成を目指すものです。
2026年10月の検討委員会では、『キャプテン翼』の権利管理会社が作品の活用に協力する意向を表明。南葛SCも、作品の世界観を体験できる「キャプテン翼ミュージアム」の設置を要望しています。
狙いは、サッカー観戦に加えて国内外の作品ファンを呼び込み、試合のない日にも人が訪れる施設にすることです。 世界的な知名度を観光需要につなげ、周辺の飲食店や商店街への経済波及効果も期待されています。
試合のない日も人が集まる「365日型スタジアム」へ
葛飾区が掲げる基本理念は、「365日、まちが沸く。世界とつながる、葛飾のスタジアム」。スタジアムを競技施設としてだけでなく、公園、観光、地域交流、産業振興の拠点として活用することを目指しています。| 主な機能 | 想定される内容 |
|---|---|
| サッカー | Jリーグ公式戦などを見据えた競技・観戦施設 |
| 観光 | キャプテン翼の展示・体験施設、国内外からの誘客 |
| 公園・飲食 | 広場、カフェ、地域住民の憩いの場 |
| 産業・交流 | 地元企業の技術展示、イベント、大学との連携 |
| 防災 | 災害時の地域支援機能 |
特徴的なのが、葛飾区に集積するものづくり企業や伝統産業との連携です。スタジアムを地元企業の技術発信や交流の場として活用し、スポーツによる集客を地域経済の活性化につなげます。
また、四つ木・立石に点在する『キャプテン翼』関連スポットと新小岩を結び、観光客の区内回遊を促す効果も期待されます。一方、天然芝の保護や周辺住宅地への配慮から、大規模コンサートなどの開催には制約があります。そのため、公園や飲食・展示施設を充実させ、試合のない日にも人が訪れる仕組みづくりが重要になります。
整備費は最大330億円。事業化の鍵は民間資金とスポンサー収入
構想実現に向けた最大の課題は、建設費の調達と完成後の運営です。葛飾区が民間事業者へのヒアリングを基にまとめた試算では、1万5,000人規模の屋外型スタジアムと周辺公園の整備に約230億〜330億円が必要とされています。
概算整備費と年間運営収支
| 項目 | 試算額 |
|---|---|
| スタジアム整備費 | 210億〜300億円 |
| 公園等整備費 | 20億〜30億円 |
| 整備費合計 | 230億〜330億円 |
| 年間営業収入 | 約2.87億円 |
| 年間営業支出 | 約4.57億円 |
| 年間営業収支 | 約1.7億円の赤字 |
葛飾区は、施設の命名権や広告収入などで年間約2億円を確保できれば、安定的な運営が可能と見込んでいます。
その鍵を握るのが、世界的な知名度を持つ『キャプテン翼』のブランド力です。国内外からの観光客誘致に加え、企業のスポンサー獲得につなげられるかが、事業の採算性を左右します。南葛SCも整備費や運営資金の調達を担う方向で検討していますが、事業主体や費用負担の詳細は未定です。葛飾区は民間資金やノウハウを積極的に活用し、公的負担を抑えながら事業化を目指す方針です。
2027年3月に構想策定、同年4月以降に事業化検討へ

出展:京成電鉄
葛飾区は2027年3月までにスタジアム構想を策定し、同年4月以降、事業者公募などを含む事業化の検討を進める予定です。今後は施設規模や資金調達の具体化に加え、試合開催時の交通混雑や騒音対策など、周辺住宅地との共存も重要な課題となります。新小岩駅から徒歩圏という立地に加え、世界的な知名度を持つ『キャプテン翼』は大きな強みです。サッカー観戦だけでなく、国内外の作品ファンを呼び込み、観光や地域経済の活性化につなげることが期待されます。
数百億円規模の整備費をどう確保し、試合のない日にも人が集まる施設を実現できるか。 2027年度からの事業化検討では、構想を具体的な事業として成立させるための条件が焦点となります。
出典・参考資料
- 葛飾区「スタジアムのあるべき姿を策定しました」(2026年10月9日)
- 葛飾区「東新小岩運動場の敷地活用について」
- 葛飾区議会「スタジアム構想に係る民間事業者等ヒアリングの実施結果について」(2026年1月・PDF)
- 南葛SC「スタジアム整備計画に関する要望書を提出」(2026年4月3日)
- 建設通信新聞Digital「東京・葛飾区のJ1サッカー場構想、来年4月以降に事業化」(2026年10月13日)
- 読売新聞「キャプテン翼の世界観をスタジアムに導入へ」(2026年10月8日・転載)
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