ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング/熊本テクノロジーセンター
報道各社が伝える所によると、ソニーグループが熊本県合志市に半導体の新工場建設を検討してるとの事です。新工場は、熊本県合志市が計画する新たな工業団地内が建設の候補地で、2025年度以降に稼働する見込みです。スマートフォンのカメラなどに使う画像センサーを製造するとみられ、投資額は8000億円規模になる可能性があります。世界的な需要の高まりを受け、生産能力を増強してシェア(占有率)拡大を図る戦略で、新工場は2023年に着工し、2025年度以降の稼働を想定。稼働時期は需要の回復を見ながら調整する可能性があります。
ソニー熊本テクノロジーセンター(左)と建設中のTSMC熊本工場(右)
ソニー熊本工場の隣接地には、TSMC(JASM)が熊本工場を建設中で、2024年末までの稼働開始を目指しています。TSMCの製造子会社には、ソニーやデンソーも出資しており、画像センサーに必要なデータを演算処理するロジック半導体を生産します。画像センサーはレンズで取り込んだ光を電気信号に変換する画素と、ロジック半導体が一体となっており、ロジック半導体がなければ生産できません。ソニーはTSMCからロジック半導体の供給を受ける予定で、ロジック半導体の調達基盤を整えた上で画像センサーの新工場を建設し、生産能力を増強します。
CMOS画像センサーは、スマホのほかADAS(先進運転支援システム)を搭載した自動車が普及する中、世界的に需要が拡大しています。ソニーは画像センサー市場では世界トップの40%以上のシェアを持っていますが、サムスン(18%)など競合他社の追い上げが激しい状況です。
ソニーグループでは、2021~23年度に画像センサーの生産設備に9000億円を投資する計画で、長崎県諫早市の工場でも増床工事を進めており、2023年にも画像センサーの増産に乗り出す予定です。また、TSMCの熊本工場新設のタイミングに合わせて熊本に新工場を建設する事で、サプライチェーンを確立し生産能力を向上させる事で、世界トップシェアを堅持する構えを見せています。
九州ではTSMCの熊本進出を機に半導体関連メーカーが相次いで生産拠点の新増設を進めており、さらなる産業集積や経済効果に期待が高まっています。また、コロナ禍で世界的な半導体を経験した日米欧の各国は、経済安全保障の観点から重要性を再認識する事となり、世界各地でで投資競争が激しさを増しています。
現時点での情報
・ソニーグループが熊本県合志市に半導体の新工場建設を検討
・スマートフォンのカメラなどに使う画像センサーを製造する
・TSMC熊本工場から画像センサーに必要なロジック半導体の供給を受ける
・ロジック半導体の安定調達を確立し生産能力を増強してシェア拡大を図る
・投資総額は8000億円規模
・2023年着工
・2025年度以降の稼働を想定
・稼働時期は需要の回復を見ながら調整する可能性がある
→https://jp.reuters.com/article/sony-idJPKBN2T00DH
→https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC160JM0W2A211C2000000/
→https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20221217-OYTNT50015/
→https://www.j-cast.com/kaisha/2022/12/27453246.html?p=all
→https://www.zaikai.jp/articles/detail/2434
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