大阪公立大学・中百舌鳥キャンパス第3期整備、工事費参考額は約57.4億円 大型実験棟2棟を新築、ECI方式で再始動


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公立大学法人大阪は、大阪公立大学中百舌鳥キャンパスの第3期整備事業について、ECI方式による技術協力業務の公募型プロポーザルを開始しました。

水圏環境や構造材料に関する大型実験棟2棟を新築するほか、既存学舎3棟を改修します。工事費の参考額は57億4399万6000円(税込)。2026年7月21日に公告し、参加申請を8月6日まで受け付けます。

今回の公募は、約57.4億円の建設工事を直ちに発注するものではありません。実施設計の段階から施工予定者を参画させ、施工方法や工程、コストを具体化するための技術協力業務です。技術協力業務の契約上限額は1500万円となっています。

新築2棟、既存3棟を改修

第3期整備では、「水圏環境・循環棟」と「構造材料棟」を新築します。あわせて、A10棟、A13棟、A14棟の一部を改修し、木工所などを解体します。
区分 施設 整備内容
新築 水圏環境・循環棟 S造、地下1階・地上2階、延べ1973㎡
新築 構造材料棟 S造2階建て、延べ1584㎡
改修 A10棟 S造平屋、延べ918.76㎡のうち204.34㎡
改修 A13棟 RC造4階建て、延べ7066.25㎡のうち4593㎡
改修 A14棟 RC造4階建て、延べ5637.52㎡のうち3992㎡
解体 木工所 W造平屋、延べ50.14㎡
解体 高圧ガスボンベ庫 CB造平屋、延べ9.64㎡
新築面積は計3557㎡、改修面積は計約8789㎡で、整備対象は合わせて約1万2346㎡に上ります。

水圏環境・循環棟には、大型水槽などを使った実験環境を整備します。構造材料棟は、構造物や材料の力学特性を研究する施設となる見通しです。一般的な講義棟とは異なり、大型実験設備や特殊な荷重条件、設備配管などへの対応が必要となるため、施工前の調整が重要になります。

施工者の技術を設計段階から取り込むECI方式

今回採用するECIは「Early Contractor Involvement」の略で、施工予定者を実施設計の段階から事業に参加させる発注方式です。

技術提案によって選ばれた優先交渉権者は、設計者や発注者とともに施工方法、仮設計画、工程、資材調達、工事費などを検討します。その後、価格や契約条件について合意できれば、工事請負契約を締結します。

工事費約57.4億円は、現時点で確定した契約額や落札額ではなく、今後の設計と価格交渉の基準となる参考額です。

公募資料によると、技術協力業務の履行期限は2027年6月30日。工事請負契約は同年4月末を予定しています。技術提案書の提出期限は2026年10月5日で、選定結果は10月23日に通知される予定です。

稼働中のキャンパスで新築と改修を並行


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中百舌鳥キャンパスでは、学生や教職員が通常通り活動する中で工事を進める必要があります。A13棟とA14棟は、建物を使用しながら改修する「居ながら工事」ではありませんが、A10棟は改修範囲への立ち入りを制限しつつ、工事対象外の部分は授業などで引き続き使用します。

大型実験棟の新築と既存棟の改修を並行して進めながら、学生の動線、安全対策、騒音、振動、資材の搬出入などを調整しなければなりません。こうした施工条件の複雑さも、施工者の知見を早い段階から取り込むECI方式を採用した背景の一つと考えられます。

新築棟は2029年、改修棟は2028年に引き渡し

新築する水圏環境・循環棟と構造材料棟は、建築工事を2027年10月31日までに終え、2029年1月31日に引き渡す計画です。

建築工事の完成から引き渡しまで約1年3カ月の期間があります。具体的な作業内容は明らかにされていませんが、大型実験設備の搬入、据え付け、試運転、研究環境の調整などを見込んだ工程とみられます。

A10棟、A13棟、A14棟の改修工事は2028年2月29日に完成し、同年3月31日に引き渡す予定です。

実施設計は昭和設計が担当し、2027年3月末までにまとめる計画です。コンストラクション・マネジメント業務は日建設計コンストラクション・マネジメントが担当しています。

2024年の一括公募は応募者ゼロ

中百舌鳥キャンパスの整備事業は、2024年にも公募されました。

当時は、中百舌鳥キャンパスの第2期・第3期整備と、大阪公立大学工業高等専門学校の移転整備などをまとめた大型案件として発注されました。しかし、参加申込者がなく、2024年4月25日に公募は不調となりました。

その後、公立大学法人大阪は整備事業を分割し、個別に発注する方針へ転換しました。今回の第3期整備も単独事業として切り出し、施工者を設計段階から参画させるECI方式に組み替えています。

発注規模を分けるとともに、施工条件や工事費を事前に詰めることで、建設会社が参加しやすい事業構成へ見直した形です。

なお、2024年の公募では、水圏環境・循環棟と構造材料棟に加え、独立した「風洞実験棟」も新築対象に含まれていました。今回公表された計画では、風洞実験棟は独立した施設として記載されていません。機能を別の建物に統合したのか、今後別途整備するのかは現時点で明らかになっていません。

工学系機能を中百舌鳥へ集約


2024年に開設した工学部新棟(B7棟)

大阪公立大学は2024年、中百舌鳥キャンパスに工学部新棟のB7棟、生産技術センターのA8棟、流体力学・構造材料棟のA9-1棟を開設しました。

これに伴い、杉本キャンパスから機械工学、電子物理工学、電気電子システム工学の教員43人が中百舌鳥キャンパスへ移転しました。

一方、建築学、都市学、化学バイオ工学の3学科、教員53人は杉本キャンパスに残っており、2028年に中百舌鳥キャンパスへ移転する予定です。第3期整備は、旧大阪府立大学と旧大阪市立大学に分散していた工学系の教育・研究機能を集約する上で、重要な役割を担います。

焦点は施工者の確保と工事費

最大の焦点は、2024年に応募者ゼロとなった整備事業に、今回は施工会社が参加するかです。

ECI方式を採用することで、設計が固まってから施工上の問題が判明するリスクを抑えられます。一方、約57.4億円という工事費参考額の中で、大型実験施設の特殊設備、既存棟の改修、キャンパスを運用しながらの施工を成立させる必要があります。

資材価格や人件費の上昇、実験設備の仕様、工事中の安全対策によっては、今後の価格交渉が難航する可能性もあります。

第3期整備は、単なる校舎の建て替えではありません。大阪公立大学の工学系研究機能を再編し、中百舌鳥キャンパスを教育・研究拠点として強化する事業です。2024年の不調を踏まえて再構成した今回の公募で施工者を確保し、工事費と工程を現実的な水準にまとめられるかが注目されます。




出典

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