「星のや飛鳥」2027年7月22日開業へ!世界遺産・明日香村に全35室オールスイート、約5万㎡を使い「日帰り奈良」から滞在型観光への転換を狙う




星野リゾートは2026年9月25日、奈良県明日香村で建設を進める「星のや飛鳥」を、2027年7月22日に開業すると発表しました。同日から宿泊予約の受付も開始しています。

これまで開業時期は「2027年」とされていましたが、今回、開業日を正式決定。あわせて客室構成や宿泊料金、ランドスケープなど、施設の詳細も明らかになりました。

「飛鳥・藤原の宮都」は2026年7月26日に世界文化遺産へ登録されており、星のや飛鳥は、世界遺産となった飛鳥を「見る場所」から「滞在する場所」へ広げる宿泊拠点として開業することになります。

星のや飛鳥、2027年7月22日開業


項目 内容
施設名称 星のや飛鳥
所在地 奈良県高市郡明日香村大字真弓
開業日 2027年7月22日
予約開始 2026年9月25日
敷地面積 49,997.48㎡
建築面積 5,294.69㎡
延床面積 5,501.28㎡
客室数 35室・全室スイート
客室面積 約70~260㎡
客室タイプ 4タイプ
建物 平屋を中心とした低層・分棟型
主な施設 ダイニング、大浴場、スパ、レセプションなど
コンセプト 「気に満ちた丘の辺」
宿泊料金 1室1泊19万3,000円~(税・サービス料込、食事別)
アクセス 近鉄吉野線「飛鳥駅」から車で約4分
ホテル計画 東環境・建築研究所
ランドスケープ オンサイト計画設計事務所

約5万㎡に客室は35室。土地全体を滞在空間に



星のや飛鳥で目を引くのは、約5万㎡の敷地に対して客室数が35室にとどまることです。

建物を集約・高層化するのではなく、明日香村西部の谷あいに低層の客室棟や共用施設を分散配置します。延床面積は約5,500㎡で、敷地全体を建物で埋めるのではなく、地形や庭、農的な景観を含めて一つの滞在環境をつくります。都市型ホテルとは対照的な、極めて低密度な開発です。

その象徴となるのが、敷地中央に設ける「段々の庭」です。

明日香村の棚田をモチーフに、水田、芝、畑、草地などを高低差のあるランドスケープとして構成。客室や散策路から、季節によって変化する風景を眺められるようにします。

ホテルから飛鳥の景観を「見る」のではなく、飛鳥らしい風景の中にホテルそのものを組み込む計画です。

全35室をオールスイート化、最大約260㎡



客室は全35室をオールスイートとし、4タイプを用意します。広さは約70~260㎡、最大天井高は約4mです。瓦屋根や石、庭など、明日香村の歴史的景観を形づくる要素を空間デザインに取り入れます。



約105~107㎡の「あかね」には、壁面に石を配した「石室風呂」を設置。最上位の客室は約260㎡に達し、一般的なホテルの客室とは大きく異なる構成になります。



古墳や歴史的意匠をそのまま再現するのではなく、石、瓦、地形、棚田といった土地の特徴を、現代の宿泊空間へ翻訳する考え方です。

世界遺産登録で、プロジェクトの意味も変わった


前回記事から最も大きく変わったのが、周辺の位置づけです。前回時点では「飛鳥・藤原の宮都」は世界遺産登録を目指す段階でしたが、2026年7月26日、第48回世界遺産委員会で世界遺産一覧表への記載が正式に決定しました。

これにより星のや飛鳥は、「世界遺産候補地に誕生するホテル」から、

「世界遺産となった飛鳥に滞在するためのホテル」へと立ち位置が明確になりました。

ただし、星野リゾートの進出は世界遺産登録を受けて始まったものではありません。

明日香村と星野リゾート、10年をかけて進めた計画


星野リゾートと明日香村の連携は2016年に始まりました。
時期 主な動き
2016年 企業立地に関するパートナーシップ協定
2019年 地域活性化包括連携協定
2025年9月 「星のや飛鳥」を2027年に開業すると発表
2026年7月 「飛鳥・藤原の宮都」世界文化遺産登録
2026年8月 持続可能な地域社会形成に向けた包括的連携協定
2026年9月25日 開業日・施設詳細を発表
2027年7月22日 開業予定
両者は約10年にわたり、協定や人材交流を通じて地域との関係を構築してきました。

明日香村は、歴史的風土の保存を目的とした厳しい土地利用規制が敷かれている地域です。一般的な大型リゾートをそのまま持ち込むのではなく、低層・分棟型とし、建築と景観を一体化させた計画になった背景には、こうした地域特性があります。

狙いは「日帰り」から「滞在」への転換



星のや飛鳥の役割を考えるうえで重要なのが、奈良観光の滞在時間です。

奈良は大阪や京都からアクセスしやすく、豊富な観光資源がある一方、日帰りで周遊しやすい立地でもあります。明日香村も、石舞台古墳、高松塚古墳、キトラ古墳、飛鳥寺など重要な史跡が集積していますが、観光客が史跡を巡った後、その日のうちに大阪や京都へ移動することは珍しくありません。

星のや飛鳥は、そこに**「泊まる目的」そのものをつくる施設**です。

昼間に史跡を巡るだけでなく、夕方から夜、早朝まで飛鳥に滞在する。宿泊に加えて、食事、体験、地域交通などへ消費が広がれば、観光客1人あたりの地域滞在時間と消費額も変わります。

今回の施設計画を見ると、星のや飛鳥が目指しているのは、単に世界遺産に近い高級ホテルではありません。

飛鳥で過ごす時間そのものを宿泊商品にすること。

ここがプロジェクトの核心です。

「星のや奈良監獄」と合わせ、奈良に2つの星のや



2026年6月25日には、旧奈良監獄を活用した「星のや奈良監獄」が開業しました。

そこへ2027年7月、星のや飛鳥が加わります。
施設 滞在のテーマ
星のや奈良監獄 明治期の近代建築、旧監獄という歴史資産
星のや飛鳥 古代史、世界遺産、棚田、農村景観
奈良市では近代建築、明日香村では古代史と農村景観という、まったく異なる奈良の魅力を宿泊体験へ転換します。

2施設を組み合わせれば、「奈良市で1泊、飛鳥で1泊」といった周遊型の滞在も考えられます。

奈良県内に星のやが2施設ある、というだけではなく、異なる時代と地域を宿泊でつなぐ2つの拠点が形成されることになります。

2027年7月、世界遺産・飛鳥に新たな滞在拠点




星のや飛鳥は、約5万㎡の敷地にわずか35室という低密度な施設です。建物を大きく見せるのではなく、瓦屋根の低層棟を谷あいに分散させ、その間に棚田をモチーフにした庭を配置。そこへ石、瓦、地形、食、体験を組み合わせ、飛鳥の土地そのものを宿泊価値へ変えていきます。

世界文化遺産となった飛鳥に必要なのは、観光客数を増やすことだけではありません。

「見る場所」から「時間を過ごす場所」へ。

2027年7月22日に開業する星のや飛鳥は、明日香村、そして奈良観光が日帰り型から滞在型へ広がるうえで、重要な宿泊拠点の一つになりそうです。




出典・参考資料

・星野リゾート「『星のや飛鳥』2027年7月22日開業予定。世界遺産『飛鳥・藤原の宮都』の地、奈良県・明日香村に誕生する10施設目の星のや。」2026年9月25日
・星野リゾート「星のや飛鳥」公式サイト
・星野リゾート「明日香村と星野リゾートの10年の歩み」
・星野リゾート「持続可能な地域社会形成に向けた包括的連携協定」2026年8月11日
・文化庁「『飛鳥・藤原の宮都』に係る世界遺産委員会決議について」2026年7月26日
・MBS NEWS「奈良観光『日帰り型からどうやって滞在型に移行していくか』」2026年9月25日
・奈良テレビ放送「星のや飛鳥」関連報道 2026年9月25日

 

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